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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第405話 魔力0の大賢者、イロリ先生の動向が気になる?

 Dクラスの対抗戦も終わって僕たちは旧校舎に戻ってきた。今日の授業はこれで終わりになるので最後にゲシュタル教授が教壇に立ってくれた。


「今日はZクラスで授業が出来て楽しかった。新鮮な気持ちにもなれたしメイリアの授業風景もみれて良かったよ」


 ゲシュタル教授がにこやかに話してくれた。教授の授業は面白かったしタメにもなったからそこは本当に良かったと思うよ。


「ま、いつもは自習だから今日は授業できて良かったかもな」

「もう教授がこのクラスの担任でよくない?」

「いや、流石にそれは、でも、確かに授業はしてくれるし、う~ん」


 アズールとメドーサの会話を聞いていたドクトルが苦笑していたよ。


「そう言ってくれるのは光栄だけど、このクラスの担任はイロりんだからね。ま、また代理を頼まれた時は楽しませて貰うよ」


 そこまで話した後、締めの挨拶をしてゲシュタル教授が退室しようとしたのだけど――


「あの、結局イロリ先生は今はどこにいるのでしょうか?」


 ゲシュタル教授が教室を出る前に僕は質問した。何となく気になったんだよね。


「――イロりんは……」


 そう呟いた一瞬、ゲシュタル教授が真顔になった気がした。朝は少しはぐらかされた感もあったから気になってはいたけど、何かあるのだろうか?


 だけど僕のそんな気持ちを他所に、教授がすぐに笑顔で振り返って――


「きっとどこかで羽を伸ばしてるんだと思うよ。全く困ったものだね♪」

「んだよ。結局サボりかよ」

「むぅ、もう少し教師としての自覚を持って欲しいものだな」

「で、でも有休を使ったというから、も、問題ない?」

「有休であればどこで休んでいてもサボりには当たらないとお答えします」


 アニマの話を肯定するようにメイリアが答えたね。確かに休みを取ってるのだからそこはね。ただ、今回は敢えて休みを取って行動しているというのは気になるところではあるのだけどね。


 だけど、先生にもプライベートはあるのだし、そこは僕が気にすることではないのかもしれないね――





◆◇◆

side イロリ


「それで、頼んでおいた情報は掴めたのか?」


 学園都市の中でも外れた位置にある路地裏で俺は一人の男にあっていた。学園都市は全体的に華やかなイメージがあるが、中心部から離れればこういった怪しい場所というのが必ず一つは存在する。


 スラム街と呼ばれるこのあたりは、一般人は先ず立ち寄ろうとは思わない場所だが、こういった地域に根付いた人間は強かだ。スラムの住人だけが持つ情報網が構築され、表では手に入らないような情報も手に入る事が多い。

 

 もっともスラム街の人間は信用に値しないとも言われている。情報が確かな物か見極める感性も必要なのが難点だ。


 そしてそういった情報を売り買いするのが目の前にいる情報屋だ。見た目はボロを纏った小柄な男だが、このあたりでは有名な情報屋でもある。


 俺はこの男にある情報を仕入れてほしいと頼んでおいた。前金でもそれなりの金を支払っている。その期日が今日だ。


「ヘヘッ、それがですぜ旦那。少々難しい案件でしてねぇ。しっかりした情報を手に入れるにはもう少し金を積んでもらわないと」


 そう言って情報屋がヒヒッと笑った。そうか、こいつ、俺を舐めてるようだな。


「そんなに金が欲しいのか?」

「そりゃ勿論。金は裏切らないですからねぇ、ヘヘッ、え?」


 俺は情報屋の胸ぐらを掴み、拳を金に変えた。俺の魔法は本来生物には使えないが、自分の肉体だけは別だ。


「は? 旦那、一体何を?」

「金が欲しいんだろう? だったらくれてやるよ。その顔面にな!」

「ちょ、ま――」

「はい、ストーップ」


 慌てふためく情報屋の顔面に拳を叩き込もうとしたその時、聞き覚えのある声がして、俺の腕が取られた。


「全く。立場をわきまえなよイロりん。殴っちゃ洒落にならないだろう? 学生の時とは違うんだからさ♪」

「――チッ、なんでお前がいるんだよ。代理はどうした」

「授業なんてとっくに終わったよ」


 そう言ってアイパーが笑ってみせた。授業が終わったなら大人しく研究でも続けてればいいだろうが。


「た、助かった。全くなんなんだこの狂犬は」

「情報屋のおじさんさぁ、確かに暴力に訴えた彼も悪いけど、金だけ頂いて何もしないっていうのは筋が通らないよねぇ」


 アイパーが情報屋に顔を近づけて目を細めた。


「あんまり適当な仕事してると、僕が全力で潰すよ、勿論暴力ではなく社会的にね」

「ハッ、スラムの住人にそんな脅し」


 アイパーが黒い笑みを浮かべて話すも、情報屋は気にもしてないようだった。だが、アイバーが耳打ちするとその顔色が変わった。


「か、勘弁してくれ! わかったわかった。話す、話すさ」

「だったら最初から話せばいいんだよ」

「そっちこそ短気が過ぎるんだよ。あんなのスラムじゃ当たり前の駆け引きだってのに、たくよぉ」


 そう言って情報屋が後頭部を擦る。そんなことは俺だってわかってる。だけどな、今はそんなくだらないやり取りに時間を割いている場合じゃないんだよ。


「結論から言うと、あんたの言っていた相手が今どこにいるかはわからねぇ」

「あん?」

「そんな顔するな。俺だってわかりませんでしたで済ますような適当なことはしてねぇよ。それに関係することだが、例の事件に関わった連中が次々に殺されてる。殺したやつは黒ローブを纏っていたから顔は不明らしいがな」


 殺された? あの事件の関係者がだと――


「ついでにもう一つだ。その事件に関与していた騎士がこの都市で店を始めたらしいぜ。もしかしたらソイツも狙われるかもな」


 そして情報屋が店についても教えてくれた。


「イロりん、随分と物騒な事件に首を突っ込んでるようだね」

「――お前はもう帰れ。いいか余計な首は突っ込もうとするなよ。アイツらにも言うな。わかったな」

「……気持ちは尊重するよ。でもイロりん、一度自分の顔を鏡でみてみたらどうだい? 今の君の目、何かに取り憑かれているみたいで少し怖いぞ♪」

「……目付きの悪さは昔からだ。放っておけ」


 そして俺はアイパーを置いてその場を離れた――

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― 新着の感想 ―
>学園都市は全体的に華やかなイメージがあるが、  中心部から離れればこういった怪しい場所というのが必ず一つは存在する。 住民の貧富差の大きい都市ならともかく 学園という教育機関の運営において何ら支障…
2025/02/11 11:37 クウノスキー
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