第389話 魔力0の大賢者は対抗戦でBクラスに向かう
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side ハニー
大賢者様とクラスの皆が食堂を出ました。いつも美味しそうに食堂の料理を食べてくれてとても嬉しく思います。
それにしても今度皆でお出かけかぁ。私は生徒というわけではなかったから、皆と一緒することがなかったんだよね。
だから、なんだか今からウキウキしてしまうよ。
「ハニー! マゼルは来てる!」
そんなことを考えていると息せき切りながらアイラが入ってきた。今日は遅かったんだね。
「今さっきまで食事を摂ってたけどもう既に――」
「遅かった~~~~!」
「ハニー! マゼルは~!」
「ビロス。今さっき次の授業があるからと」
「そんな~~」
アイラもビロスも大賢者様と会えなかったことが余程ショックだったようだね。本当に後一歩の差だったんだけど。
「うぅ、対抗戦が結構掛かってしまったばかりに」
「ビロス~マゼル何か言ってなかった?」
「そうだね……あ、そうそう。今度の休みに私も一緒に出かけることになったんだ――」
先程決まった話を二人に話した。するとアイラとビロスがグイッと顔を近づけてきて。
「その話、もっと詳しく!」
「ビロスにも教えてハニー!」
何かものすごい圧を感じたけど、隠しておくことでもないし二人に話して聞かせたんだよね――
◆?◆
昼食を取り終えた後、僕らは本校舎の1-Bクラスに向かった。確かBクラスと言えばアリエルがいるクラスでもあった筈だね。
「あ、先生来てんじゃん」
「意外とこういう時には時間は守ってくれるのよねこの先生」
Bクラスの前にはイロリ先生がいた。アズールとメドーサが感心したような顔を見せた。一方でイロリ先生は僕たちに気が付き気怠そうに欠伸して見せた。
「こんなことがなけりゃ適当に寝て過ごしたっていうのにな」
「そこはもう少し、シャッキリして欲しいところだけどな」
「で、でも、先生も私たちのことをしっかり見てくれてますから」
「そう思いたいところだけどね」
ガロン、アニマ、ドクトルが先生の印象を口にした。一見するとイロリ先生の態度は適当にも見えるからか、教師として信用されていない部分もあるのかもしれない。
だけど前回の魔導球の時もそうだけど、決めるところはしっかり決めてくれたり、僕たちのことを良く見てくれているのは確かだと思うんだよね。
「先生。今日の試合内容は何でしょうか?」
「あん? 言ってなかったか?」
「いや聞いてねぇよ」
「やっぱり適当だわ」
「あはは……」
僕の問いかけに対するイロリ先生の答えに、アズールとメドーサが呆れたような顔を見せているね。
「おっと来てたか。もう聞いてると思うけど今日の試合はゴーレム戦よ」
Bクラスのドアが開き中から髪の短い女性の教師が姿を見せた。そして今日の対抗戦について教えてくれたんだけど、皆初耳って顔をしているね。
「いや、今初めて聞いたわけだがな」
「はい? 何だイロリ言ってなかったのか?」
「ふぁ~忘れてた。まぁいいだろう。今聞いたらそれで」
「全くお前は――はぁ、まぁいいわ。ゴーレム戦は体育館で行うからな。うちのクラスと一緒についてきて」
そういうと先生がBクラスの皆にも声をかけていた。ゾロゾロと出てきたBクラスの生徒の中にアリエルの姿が――肩にはファンファンが乗っているね。
「マゼル! それに皆も」
「ちゅ~♪」
僕たちに気がついたアリエルが駆け寄ってきた。ファンファンも嬉しそうにしている。
「こんにちはアリエル」
「アニマ~今日は宜しくね~」
「ちゅ~」
アリエルはアニマとも随分と仲良さそうにしているね。ファンファンはアニマにもよく懐いているから、そこから親しくなったようだよ。
「シグルとメーテルも元気そうだね」
「ピィ~」
「ガウ!」
アリエルがシグルとメーテルの頭を撫でながら言った。皆随分と打ち解けているようだね。
そして僕たちはアリエルと話しながら先生の後についていったのだけど。
「全くZクラスなんとか仲よさげにして、貴方にはプライドというものがないのかしら?」
そんな声が僕たちの間に割り込んできた。見るとティアラを頭に着けた金髪の子が腕組みしてこっちを見ていた。この子は――
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