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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第一章 幼年編

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第38話 魔力0の大賢者、ダンジョンの仕掛けを見破る

前回のあらすじ

大賢者の汗で皆が回復した。

「いくらなんでも第一層でこれはおかしくないかい?」


 僕がトロルをぶっ飛ばした後、姉御さんがそんな疑問を口にした。


「確かに……大抵のダンジョンでは第一層にはそこまで強力な魔物は出ないはず……」

「うん、だからそんな強敵は出てないよね?」

「ごめん、大賢者様はちょっと黙ってて」

「……はい」


 あれ? 何か僕だけ蚊帳の外っぽくなってしまったよ……。


「お兄様、皆さんお兄様に頼りっぱなしじゃ悪いと思っているのですよ」

「う~ん、でもそんな大したことしてないと思うけどな」

「マゼル、自覚が無いのか……」


 う~ん自覚はあるんだけどね。魔法は使ってないという自覚がね。

 でも、そこまで慎重になるということは、もしかして魔獣や魔物も今は大分強くなっているのだろうか? でもあっさり倒れたよね。


 そして話し合ってる皆は、やっぱりここから一旦出たほうが、とか、しかし何かおかしな点があるならしっかり調査しておいた方がなどと意見を出し合ってる。


「……う~ん、ざっと察した感じだと、別にこの層におかしな点はないけどね」

「え? 察した?」

「は! そうか! 大賢者様ほどのお力があれば、あの伝説の盗賊魔法が一つ、超探知魔法とも称されるパーフェクトサーチが使えてもおかしくないわ!」


 いや、ただ気配から察しているだけなんだけど……むしろ魔法だったらダンジョンの全層を完璧に調べることが出来そうだし。


「大賢者様から見ても何もありませんか?」

「うん、そうだね。精々ちょっと大きめの部屋に悪魔っぽい石像が立ってるぐらいだよ」

「「「「「「いや、全然おかしいし怪しいよ!」」」」」」


 えぇ~? そうかな~? この手の石像は前世からダンジョンによく置いてあったし、そんなおかしくないような?


「して、その石像はどちらに?」

「え~とね」


 適当な壁に指で彫って簡易的な地図を作った。それにも何故か驚かれた。ダンジョンの壁に一瞬にして地図が描かれるなんて凄い魔法だ! とか。


「いや、これで驚くのは大げさすぎない?」

「何をいいますか。普通ダンジョンの壁というのは傷をつけるのも困難なものなのですよ」


 え? そうなの? あれれ~? 前世ではよくダンジョンの壁を突き破ってショートカットとかやってたんだけどなぁ。


「それに一瞬にして、こんな見事な地図が描かれるなんて……」

「てか、これやられると俺の仕事が……」


 アッシュさんが少し凹んでた。盗賊は地図の作成が得意だからね。元盗賊が冒険者としてスカウトされるのもそういった利点があるからとも言われてるみたい。


「それにしても、これを見ると石像までは結構離れてそうだな」

「これだけの魔物が発生してるとなると、当然ここに行くまでに結構な数と遭遇してしまうわよね……」


 頭を悩ませているね。どうやら魔獣や魔物とあまりあいたくないみたいだ。


「それなら、このルートでいけばいいよ」


 だから僕は指でオススメのルートを教えてあげることにした。皆が目を丸くさせる。


「なんでそのルートがいいんだぁ?」

「今ならこの通りに行けば魔物にも魔獣にも会わないで済むからね」

「なるほど、パーフェクトサーチで魔物の居場所がつかめる大賢者様なら、安全なルートぐらい一瞬でつかめるというわけですね!」

「なにか頭を悩ませていたのが馬鹿みたいだな」

「ですが、魔法だけではなく知力も高いお兄様だからこそです。普通であれば例え魔法で周囲の状況が掴めても、正しいルートを導き出すまでには至りません」

「魔物も常に動いているわけであるしな」


 ラーサと姫様が感心してくれた。ここにいる魔獣や魔物の行動パターンはなんとなく判るし、これぐらいはね。


 そして僕が提示したルート通り進むことで、大した危険もなく目的の部屋にたどり着いた。

 正方形の部屋のど真ん中に悪魔のような姿をした石像が置かれている。


「やっぱり、これは混沌の石像ね……ダンジョンで時折現れる、トラップみたいなもので、これが出現すると層全体の脅威度が増すのよ」

「なるほど……これの為に異様に強い魔物や魔獣が現れたのだな」


 へぇ~そうなんだ。何か前世でもよく見たけど、脅威度か……そうなのかな? あまり気が付かなかったけど……アシッドスライムがこの石像があるときにはアクアレギアというちょっとだけ酸が強いスライムになったりしたことあるけど、その程度かな?


「だったらこれ壊したほうがいいんだな?」

「そんな簡単な物じゃないわよ。混沌の石像を壊すには聖なる力が必須で、相当強い光の加護を受けた武器とか高位の神官の魔法とか――」


――ドゴオオオオォオォオオォオン!


「…………へ?」

「え?」

「「「「「「……え?」」」」」」

「あれ? もしかして、壊したら不味かった?」


 何かあっても良くない物らしいからとりあえず壊しておいたんだけど、あれ? この反応不味かった?


「「「「「「あっさり壊しちゃったよ!」」」」」」

「うわ! やっぱり壊したら不味かったの!?」


 皆の驚きぶりが半端ないし、ちょっと浅はかだっただろうか?


「お兄様、ご安心ください。壊したのは勿論大正解です! むしろお兄様ならこれぐらい壊せて当然です!」

「うむ、ただでさえあれだけの治療魔法が使えるのだからな」

「……冷静に考えたらそれはそうね。大賢者様なら聖なる力を付与して破壊するぐらいむしろ出来ないと考えるほうがおかしいもの」

「愚問だったかもね」

「おみそれ致しました」


 う~ん、正直聖なる力なんて全くつかってないんだけど、また妙な評価をされてしまったよ。

 

 何はともあれ、これでダンジョンの脅威度は下がるらしい。その後探索してみたら、ダンジョンウルフやグリーンスライム、レッドハットなんかに変わっていた。


 おかげで僕の出番はあまり必要なくなったね。次元の空間に素材とかを放り込むぐらいかな。


 途中宝箱なども回収した。アッシュさんが生き生きした顔で罠の解除をしていたよ。


 そして三層、四層と下っていく。ここからリザードマンが出るようになったね。そこそこ賢い蜥蜴色の強い人型の魔物だ。


「リザードマンは心臓が弱点だからそこを穿けば簡単に倒せるよ~」

「本当だ。心臓を狙えばすぐに倒せるぞ!」

「伝説の鑑定魔法パーフェクトアナライズですね!」


 いえ、ただの知識です。

 とりあえず弱点をつくことでリザードマンとの戦いは随分と楽になったみたいだ。

 

 そして宝箱のある部屋へ。だけど、そこでアッシュさんの動きが止まった。


「まいったな、この罠はかなり複雑だぞ。俺でも厳しいかも……」


 どうやら罠の解除に苦戦しているようだね。罠といえば盗賊だけど、掛かってる罠にも色んな種類があるからね。


「悔しいけど、ここは大賢者様に頼るしか無いよ」

「え? 僕?」

「うん、お願い」


 お願いされちゃったよ。参ったな魔法なんてまるっきり使えない上、罠の解除とか苦手なのに。


 でも仕方ないか。何か期待されてるし。え~と宝箱をこうして。


――ドッカーーーーーーン!


「「「「「「いきなり大爆発!?」」」」」」

「そ、そんな、お兄様! お兄様~~~~!」

「え? 何?」

「「「「「「ピンピンしてたーーーーーー!」」」」」」


 うん、確かに見た目は派手だったけど、大した爆発じゃなかったね。


「流石大賢者様……」

「だが、成功とは言えんか」

「そうだな~あの爆発じゃ中身もバラバラだろうし」

「大丈夫中身はちゃんと回収したよ」

「「「「「「どういうこと!?」」」」」」


 僕が宝箱の中身を見せたら何かやたら驚かれたよ。


「は! そうか、これがかの有名な大賢者様の罠解除の魔法! ダイナミックトラップイベイジョン!」


 フレイさんがまた感動しているけど、そんな大層なものじゃないし。ただ罠が解除できなかったから爆発が起きた瞬間に中身を取り出して手でガードしただけだからね!


 ちなみに中身は魔力が上がる指輪だった。話し合った結果ラーサがほしそうにしていたから僕が嵌めて上げたらすごく感動してくれた。そんなに喜んでくれるなら爆発の中しっかり回収した甲斐があったよ。


 その後この階層でまた似たような罠があって僕が同じ様に中身を取り出したらある程度魔法から身を護るアミュレットだった。


 これは姫様に使ってもらうことに決まったら随分と喜んでくれたよ。


 そして遂に僕たちはボスがいる地下五層にたどり着いた――

次でボスです。


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