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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第382話 前半終了

――ピイィィィイイイ!


 グラウンドにホイッスルの音が響き渡った。前半終了の知らせだった。結果として審判がキャンベル先生に変わってから僕たちは一点も相手から取られることなく逆に六点を追加して終わった。


 その結果Zクラスの合計点数は十点に一方でCクラスは二点から変わっていない。


「おかしな判定さえなければこっちのもんってことだな」

「うむ。キャンベル先生が審判を変わってくれてよかったな」

「た、確かにすごくやりやすくなった気がします!」


 皆も表情が活き活きしてるね。試合がやりやすくなったことが大きいのかも。


「あ、あの皆ごめんねぇ」

「リミット! 気がついたのか」

「あ、あはは。うん、さっきね。何かもうしわけないけどね」


 リミットが罰が悪そうな顔で僕たちに謝罪してきた。魔法を使ったことでしばらく気絶していたんだよね。


「気にすんなって。それにあれはちょっとスカッとしたしな」


 後ろに手を回し笑って言葉を返すアズール。皆もリミットが気に病まないよう声を掛けていたよ。


「マゼルもごめんね。話を聞いたけどあれからも色々と大変だったんだよね?」

「確かに色々あったけど今は試合も滞りなく進んでいるよ。リミットもあまり気にしないで。ただ魔法の使い方は今後は気をつけた方がいいかもだけど」

「あ、うん。本当そこは反省してるよ」


 ポリポリと頬を掻いてリミットが答えた。一応そこだけは伝えておいた方がいいかなとは思ったけどリミット自身反省点として考えているみたいだね。


「ふざけんじゃねぇぞ! 俺等が使えないっていいてぇのかテメェは!」


 その時、怒号が周囲に響き渡った。見ると試合に出ていた男子生徒の一人がネガメに掴みかかっていた。


「でも実際点差が開いているではありませんか。誰か(・・)の力添えがなければ何も出来ない証拠ですよ」

「グッ!」


 だけど掴まれてるネガメも一切引いていない。どうしようか迷ったけど少し様子を見てみようと思った。


「ネガメの言うとおりだぜ。このまま試合を続けても大差で負けるだけだろう。だから選手を交代した方がいいって言ってるんだ」


 ネガメに続いてモブマンもそう訴えていた。


「それで? お前ら二人も出せってか? テメェらなんざが出たところで同じだろうが! あのマゼルってクズの味方をするに決まってる!」

「だったらそう思った時点で下げてくれて構いませんよ。だけど誓っていいますよ。僕たちは貴方みたいな恥知らずな真似は絶対にしません」

「テメェ!」


 ネガメに掴みかかっていた生徒が拳を振り上げた。これはマズイ! と思ったけどその時笛の音が響いた。


「そこ! もしそれ以上続けるなら試合は没収だ! Cクラスの反則負けで報告するぞ!」


 怒鳴ったのはキャンベル先生だった。その声で殴りかかった生徒の手も止まる。


「ん、んだよそれ。こっちのクラスの問題に首突っ込んでくるなよ!」

「何を言ってる。学園内で起きていることに教師が口を挟むのは当然だろう。しかも今は授業中だ。そのような暴力行為が認められるわけがない」


 キャンベル先生の叱咤を受け生徒がネガメから手を放した。悔しそうではあるけど流石にそれを言われては手は出せないのだろう。


「レッド! 貴様も貴様だ! Cクラスの担当教師は貴様だろう。それなのに傍観を決め込むとは何事だ!」

「な!」


 ビシッと指を突き出しキャンベル先生がレッド先生を咎めた。レッド先生が悔しそうに肩を震わせている。


「こ、このバカ共が! 俺に恥ばかりかかせおって! 大体お前らが不甲斐ないからZクラスなんざにいいように点を取られるんだろうが! 揃いも揃って全員Cクラスの面汚しだ!」

「おいおい、今度は生徒に当たり散らしてるぜ。本当どうしようも、て、マゼル?」


 アズールの声が聞こえてきたけど僕はそのままCクラス側に歩みを進めた。


「教師としてその言い方はないんじゃないですか?」

「あ?」


 思わず口を出していた。レッド先生の視線がこちらに向き不快そうに顔を歪めた。


「何だ貴様は関係ない奴はすっこんでいろ!」

「教師は生徒を導くものでしょう? それなのに教師である貴方がその役目を放り出して生徒に当たり散らすなんて、そんな教師失格な真似をしていいのですか?」


 僕はレッド先生から視線を逸らさず言った。


「……この! Zクラスのクズが俺に説教を垂れるだと! 貴様、どういうつもりだ!」

「だが間違ってはいないだろう」


 怒鳴り散らすレッド先生に向けて言葉を割り込ませたのはキャンベル先生だった。


「私から見ても今のお前はみっともないが過ぎるぞ。大体審判でありながら偏った判定を下していたことを棚に上げて偉そうに言える立場では無いはずだが?」

「グッ!」


 レッド先生が喉をつまらせ顔を歪めた。図星をつかれたといった表情だった。


「全く変われば変わるものだな」


 次に聞こえてきたのはイロリ先生の声だった。レッド先生を見ながら更に続ける。


「前のお前はいい意味で熱かったと思ったがな」

「……お前がそれを言うかイロリ。ダメ教師に変わり果てた分際で――なのに、なんで今さら生徒の為になんて動いてんだよ」

「――別に、そんなつもりはねぇよ。たまたまそうなっただけだ」

「――チッ、もういい」


 そう言ってレッド先生がくるりと振り返りそして――


「……さっきはいい過ぎた。悪かった。もうこの試合には口は出さん。ネガメとモブマン、お前らも当初の予定通り試合に出るのを認める」


 そう言ってレッド先生が皆から距離を取った。もしかしたら先生にも何か思うところがあったのかもしれないよ――

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