第374話 魔力0で最強の大賢者、Cクラスとの対戦開始
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「どうして俺たちが俺たち試合に出れないんですか!」
モブマンの声が僕たちの方にまで聞こえてきた。見るとレッド先生に抗議するモブマンの姿があった。
「お前たちでは実力不足だと判断した」
「ですが事前の話では僕たちが出ることになっていた筈です」
レッド先生の答えにネガメも納得してないようだった。どうやら誰が出るかはあらかじめ決まっていたようだね。でも今になって急に試合に出れなくなったということか……。
「何か揉めてるようだな」
ガロンもCクラスの様子に気づいたようだね。モブマンやネガメはZクラスの皆とも仲良くしているから気に掛けてくれてるのかも。
「お前ら相手のことなんて気にしている場合か。試合に出れるのは五人だぞ。さっさとメンバー決めておけよ」
イロリ先生が僕たちにそう告げてきた。確かに先生の言うとおり、試合に出るのは五人だから最初のメンバーを決めないといけない。試合中に交代は認められているんだけどね。
ただ怪我など特別な事情での一時交代を除けば、一度下がった選手はその試合ではもう出れないから気をつけないといけないね。
モブマンとネガメの事は気になったけどCクラスのことに口を出すわけにもいかないし、とにかく僕たちは誰が試合に出るか話し合うことにした。
「とりあえずマゼルは決定よね」
「異議なしだな」
「ま、しゃあねぇか」
何かものの数秒で僕が出るのは決まってしまったよ。それから更に話は続いたのだけど。
「先ずは出たい奴が優先でいいだろう。というわけで俺だな」
アズールが自分を指さして言った。確かにアズールのやる気は高いね。
「折角だから俺も出てみたい。アニマはどうだ?」
「え? う、うんそれなら出てみる!」
次の声をあげたのはガロンでアニマにも声を掛けていた。それが後押しになったのかアニマも試合に出る意思を固めたみたいだ。
「私も私も~体を動かしておけば消化にいいしその後の食事も美味しいもんね」
「リミット結局食い気なのね……」
メドーサが呆れたように目を細めていた。昼が終わったばかりだけどリミットの意識は夕食に向いているようだね。それがモチベーションに繋がるならいいのかもね。
「他に出たいのはいないのか?」
「……」
「僕もとりあえず試合を見せてもらいますね」
「私もとりあえずパス」
「出る必要がないなら待機しますとお答えします」
決まった五人で出るなら他の皆はとりあえず控えに回るという反応だったね。シアンも言葉には出さなかったけど首を横に振っていたからね。
「よっしゃ! だったらこの五人でぶっ飛ばしてやろうぜ!」
「ぶっ飛ばしてしまったら反則ではないか?」
拳を鳴らして張り切るアズールに対してガロンが冷静にツッコミを入れていたね。
「あはは、ルールの範囲内で頑張ろうね」
「る、ルールを守るのは大事だよね。頑張ろうねメーテル、シグル」
「ガウ!」
「ピィ~!」
僕の話を聞いてアニマもメーテルとシグルに呼びかけていた。シグルとメーテルも張り切ってるのを感じるよ。
「それじゃあ頑張って勝利しよう!」
リミットが発破をかけるように拳を振り上げ僕たちはグラウンドに向かった。流石にこっちでは魔導球用のコートが準備されているね。ラインも引かれていてしっかりした作りの的も設置されている。
「お前らが相手か。ま、誰が来たってZクラスなんざ相手にならないけどな」
五人の一人が唇を歪ませながら言ってきた。他の四人どこか小馬鹿にしたような顔で僕たちを見ている。勿論その中にモブマンとネガメはいない。Cクラスの生徒が控えている場所を見ると二人とも納得の言っていない表情をして立っていた。
「残念だったな。あの二人は試合にはださない。お前らと顔見知りなようだしな。わざと負けるよう邪魔されたらたまったもんじゃない」
「――二人はそんな卑怯な真似はしないよ。僕だってそんなこと望んでいないし」
「よく言うぜ。知ってるぜ? お前は卑怯な真似で魔法が使えると色んな奴を騙してるんだろう? でなきゃ魔力も無い奴が魔法を使えるわけ無いからな」
「……えっと」
何か冷や汗が滲んできたよ。魔法が使えないのは事実だからね……。
「では試合を開始するぞ。それぞれ代表を一人決めて指定の位置に立て」
レッド先生に促され誰が最初に出るか決めることになったのだけど。
「とりあえずマゼルにやってもらうか。最初が肝心だからな負けんなよ!」
アズールの言葉に皆も異論はなかったようで先ず僕が出ることになったよ。
「アズール。あまりプレッシャーを与えるものじゃないぞ」
「そうそう。気楽にねマゼル」
「と、とられたら頑張って取り返します!」
皆の声を受けながら僕が指定された位置に立った。相手は男子だ。レッド先生が空中に放りなげた魔導球を先に取った方から先行になる。
審判はレッド先生が行うようだね。一方で得点係はそれぞれのクラスから一名ずつ担当するのでZクラスからはシアンが向かった。相手も女生徒だね。
そして――笛の音がなりレッド先生がボールを放り投げた。タイミングを見て飛ぼうと思ったのだけど対面した男子の指から魔法で放出された糸が伸びてボールを絡め取った。
「よっし先行!」
「まだだよ!」
ボールには確かに糸が絡まっているけどまだ空中にある。彼の魔法は杖とは関係ないからボールを保持したことにならない。
だから僕は地面を蹴って飛び上がり杖を使って絡まっていた糸を解き球を奪い取った。杖を使っているからこれで僕たちが先に攻められる。
「な、なんだと!」
「やったなマゼル!」
対峙した相手が随分と驚いていた。そのまま着地し杖でボールが落ちないようバランスを取りながら相手の陣地に向かう。
「あっという間に相手の魔法を解除するなんて流石だねマゼル」
「うむ。見事なものだ」
リミットとガランの感心した声が聞こえてきたけど、物理的に解いただけなんだよね――
「いっそこのまま先制点決めちまえマゼル!」
背後からアズールの声が聞こえた。守備となったCクラスの生徒は魔法で何とか僕の動きを阻止しようと狙ってきたけど全て躱しシュートエリアに入り的にボールを当てた。
「や、やりました先制点です!」
「流石だねマゼル」
「よっしゃこのままの調子で行こうぜ!」
僕が戻ると皆が笑顔で出迎えてくれた。アズールとガロンが僕の背中や肩を叩きながら喜んでくれている。何だかいいねこういうのも――
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