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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第351話 狙われたドミルトン

 俺たちは結局あの眼鏡から金を取るのも諦めてその場から立ち去った。くそやっぱり校舎で!


「え? 先輩たち僕と遊んでくれるのぉ?」

「いや! 勘違いだじゃあな!」


 何か見た目幼そうだし弱そうだからと間違ってSクラスの奴にも声かけちまった! 俺は慌ててその場を後にしたぜ。どんなに弱そうでもSクラスはSクラスだからな!


「おいクラーク。いい加減にしてくれよ。面白そうだから付き合ってるってのにさっきから面倒くさいことばかりになってんだろうが」

「う、うっせぇ! とにかく次だ次!」

「……何でここに二年生がいる」


 ふと背後から女の声がした。一年の女か。俺としては流石に女を直接脅すのはどうかと思ったが、こうなったらもうなりふりかまってられねぇな。


「おう一年! おれたちは二年の――ゲッ!」

「あれ? 確か貴方は?」

「ちょ、ちょっと階を間違えただけだ! それだけなんだからなぁああぁ!」


 女の横にあのマゼルがいやがった。それをみて俺は脇目も振らず逃げ出した。くそ、我ながら情けねぇ!


「はぁ、はぁ、畜生。何であいつが本校舎にいやがるんだ」

「畜生はこっちの台詞だぜ。真っ先に逃げやがって!」

「たく、もうつきあってらんねぇよ!」


 結局二年の階に戻ってきた俺たちだが、連れの二人は俺に付き合うのは嫌になったようだ。踵を返して俺をおいてどっかに行こうとしてる。


 だが、ここで逃げられてたまるかよ。


「お前らいいのか? ギャノン先輩に睨まれても知らねぇぞ」

 

 俺がそう言うと二人の動きがピタリと止まった。


「おい、クラーク。それはどういう意味だよ」

「ギャノン先輩が俺たちになんかするとでも?」

「あぁそうだ。実はな」


 俺は二人に現在置かれてる状況について説明した。二人の顔がみるみる内に青ざめていく。



「おいふざけんなよ! それ俺等に何も関係ねぇだろうが!」

「いやいや。俺につきあってここまでやってきたんだからもう仲間だろう? 俺たちは一蓮托生。今更後には引けねぇんだからな」

「そんなの知らねぇよ! 聞いてねぇし!」


 俺が話すも二人は不満を顕にした。だがそんなのもう関係ねぇ。


「そう思うなら好きにしろ。だが俺はもしギャノン先輩に詰められたらお前らのことも話すぜ。一緒に手伝ってくれた仲間がいたが無理だからとギャノン先輩を裏切って逃げ出したってな」


 俺がそう伝えると二人が言葉を失った。これでこいつらも理解出来ただろう。


「覚悟が決まったならお前らもちょっとは考えろ。どうにかして金を集めねぇといけないんだからな」

「んなこといったって……ん?」


 俺と話していると連れの一人トーマの視線が動いた。


「おい聞いてるのか?」

「聞いてるって。それより一年を狙うより手っ取り早い方法があるかもだぜ」


 そう言ってトーマが指さした先にはドミルトンの姿があった。そういえばマゼルの件があってからこっちもある程度抑えていたが、トーマの言うように手頃な相手から手を付けるのが手っ取り早いか。


「灯台下暗しだったな。丁度イライラしてたし憂さ晴らしにも丁度いいか」

「流石弱い奴にはトコトン強気なクラークだな」

「うるせぇよ。いいからお前らも付き合えよ」

「……仕方ねぇ。ギャノン先輩に睨まれたくないしな」


 そして俺たち三人は廊下を歩いていたドミルトンに声を掛けた。


「よう。ちょっと付き合えや」

「え? その、僕はちょっと予定が……」

「うるせぇ! いいから黙って来やがれ!」


 そして俺たちはドミルトンを連れて空き教室に入った。この時間ここに来る奴はそうはいねぇ。あのマゼルも下にいたからな。ここに顔を出すことはないだろう。


「あの、僕に一体?」


 壁に背をつけた状態で怯えるドミルトン。いいねこの表情。これだよ。本当は一年にもこの顔を見せてほしかったんだがな。


「じつはちょっと金が必要になってな。お前に用立ててほしいんだよ。何大した額じゃない。ほんの金貨五十枚(・・・)程だ」

「おいおいちゃっかり増えてんじゃねぇか」


 連れの一人が笑いながら言った。確かにギャノン先輩に収める金額は金貨四十五枚だがな。五枚は手間賃として俺等が貰う。


「そ、そんなの無理ですょぉ」

「あん? 無理じゃねぇよ! 手元にないなら親からでもなんでも頼み込んで用意しやがれ!」


 ドミルトンの襟首を掴んで持ち上げた。ドミルトンが足をバタバタさせて苦しみだす。


「おいおい流石に殺したらまずいぜ?」

「馬鹿。そんなことするかよ」


 俺が手を放すとドミルトンが落下して尻もちをついた。しかしこいつ本当に弱っちいな。


「それで。どうすんだ?」


 俺はそのままドミルトンの頭を踏みつけてやった。き、気持ちいい。これだよ。俺が一年相手に求めていたのはこの構図なんだ!


「おいトーマ。この勇姿しっかり撮っておけよ」

「勇姿ってただ弱いもの相手に強気になってるだけだろう?」

「うるせぇ! いいから撮っとけよ」


 俺はトーマに要求した。こいつは撮影魔法というのを使える。両手を窓のようにして魔法を行使すると窓の中の映像が記録できる魔法だ。


 これで撮った記録はいつでも呼び出して鑑賞出来る。壁に映して大勢の前で晒すことも――そうだ!


「いいこと思いついた。こいつの服ひん剥いちまおうぜ」

「は? まさかお前そんな趣味が!」

「ちげぇよ! こいつの情けない姿をトーマの魔法で撮っておくのさ。おいドミルトン今からお前を脱がして記録してやるからな。お前が金を用意できないっていうなら情けない全裸姿を全校生徒の前で公開してやるからな!」


 そう言って俺と連れのもう一人がドミルトンの制服に手をかけた。トーマはその様子をゲラゲラと笑いながら撮影している。


「や、やめて! やめてよ!」

「うるせぇ! いいから脱ぎやがれ!」


 そして俺は先ず制服の上着を引っ剥がし更にシャツを無理やり脱がしてやったんだが――


「は? な、何だこれ? 何で背中に刺青(タトゥー)が?」


 そうドミルトンの背中には刺青があった。しかも見ていてなんとも言えない圧迫感を覚えるようなもので、形は魔法陣のようであり中心には大きな目玉が一つ刻まれている。

  

 な、なんなんだこいつ。弱っちい癖にどうしてこんなもの――


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