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第282話 魔力0の大賢者、新たな情報を聞く

「監獄行きって穏やかじゃないね……」

「たしかにね。しかもその理由が――家族殺し」


 イロリ先生の生徒が事件を起こしたというのにも驚きだった。だけどその内容には更に驚いた。


「当時はこの都でも随分と話題になったらしい。ただ家族殺しという部分だけ一人歩きしているようで詳細はあまり知らされていないんだ。僕も色々調べてみたことあるけどこれといった情報は出て来ないし学園内でも情報制限されているような感じでね」


 う~ん話だけ聞くとかなりの大事件な気がするんだけどね。それにしても家族殺し――僕からしたら信じられない話でもある。


 でもそれは僕の家族が皆優しくて恵まれた環境にあったからかもしれない。思えば前世は……。


「マゼルどうかしたのかい?」

「え? えっとなにか変な顔してました?」

「いや、どことなく難しい顔になってたからさ」

「あぁ、ごめんね。ちょっとその事件が気になってしまってね」


 ヘンリー王子はやっぱり察しがいいね。つい昔のことを思い出しちゃったな。


「確かに気になる事件ではある。それと関係しているかもしれないんだが――僕と同じ三年のギャノン・アインドルという男には気をつけておいてほしい」

「気をつける……僕は知らない相手だけど何か問題あるのですか?」

「あぁ。今話した問題を起こした生徒の一人が彼でね。ただ彼については処分は長期の停学で済んだようなんだ。だからこそ留年となり僕と同じ学年にいるのだけどね」


 そうか。ヘンリー王子が学園に入る前の事件ということだし普通に過ごしていればとっくに卒業している筈だもんね。


「ギャノンには色々と黒い噂が絶えなくてね。そんな相手だから今はまだ知らなくてもマゼルならどこかで絡む可能性もある。正直生活態度にも問題があるのだけど成績はいいんだ。尤もそれも何かしら卑怯な手を使ってるという話もあったりするし絡まれると面倒な相手ではある」


 だから僕に注意して欲しいと忠告してくれているんだね。


「うん。気に留めておくよ。でもよくそれで問題にならなかったね」

「直接問題を起こしてないのと今言ったように成績はいいというのも大きいかな。それと――マゼルは【大魔の蒼月】という名前に聞き覚えは?」

「いや初めて聞いたかな」


 前世の記憶にもない名称だね。


「そう。でも仕方ないかな。マナール王国ではそこまで活発でなかったからね。でも他国だとあの魔狩教団と肩を並べる程の勢力を誇る――犯罪組織だ」


 あの魔狩教団と? しかも犯罪って穏やかじゃないよね。


「もしかしてその組織も魔法を憎んで狩りを?」

「いや。寧ろ逆なんだ。大魔の蒼月は魔法史上主義――極端な程にね。そういう意味では思想は魔狩教団とは真逆と言える。組織に所属しているのは魔法こそが全てであり魔法を扱えないものや魔法に関する能力が低いものは人権など認めず全て奴隷にすべきだと考えるような奴らでね」


 な、なるほど。それは極端だし魔狩教団とは相容れないよね。


「実は今話したギャノンの家がその大魔の蒼月に所属しているという噂もあってね。この組織は魔法至上主義という点で悲しいことに魔狩教団とくらべて共感してしまう者も多いようなんだ。特に貴族間でね……それを利用して闇マーケットを開催したりしてるとか……とにかくこの組織の影響力もかなり大きい。ギャノンはもしかしてそれを利用して問題を不問にしているかもしれない」


 それがヘンリー王子の教えてくれたことだった。それにしても魔法学園にも色々厄介事がひそんでいるんだね。


「とにかく魔狩教団のことも含めて引き続き僕も調べて見るからマゼルも気をつけて、といっても大賢者のマゼルには余計なお世話かもしれないけどね」

「そ、そんなことないよ~」

「はは。それとアリエルのことも気にかけてもらえると嬉しいかな。さてそれじゃあ僕もそろそろ行くよ」


 そしてヘンリー王子は改めて皆と顔を合わせて挨拶した後寮を後にした。


 ヘンリー王子、今の様子だとアリエルのことも心配だったのかもね。何せアリエルは一度教団に狙われてるからね。


 でも教団だけじゃなくて別の組織もか……陛下とのこともあるし僕も注意を払っておかないとね――

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