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第273話 アズールの家族

side アズール


「壊れてたもんがどんどん直っていったぞどうなってるんだ?」


 ガラスも天井も壁も新品みたいに綺麗になった。もしかしてこれも魔法なのか? だとしたらとんでもないぜ。


「あ~これ保険魔法だね。ということはムスケル先輩がやらかしたのかぁ」


 アラードが苦笑いしていた。どうやらこの現象を起こせる相手に覚えがあるようだな。


「どういうことだ? マゼルに結局何があったんだ?」

「僕も直接見ていないから何とも言えないんだけど……ねぇそのマゼルくんがどんな状況だったか僕に教えてくれる?」


 質問したら逆に問い返されてしまった。風紀委員が相手なら答えたほうがいいのか? まぁ悪いことしてるわけじゃないしな。


 だから俺はわかる限り説明した。途中からネガメとモブマンも一緒に話してくれたぜ。


「なるほど。つまりトイレに行ったマゼルくんが中々戻らないからと心配した女の子たちも様子を見に行ったと。だけどその女の子たちも戻ってきてない上にルル先輩の目撃証言、そして相手は、ハハッ、なるほどね」


 アラードは一人納得したように頷き笑っていた。俺にはさっぱりわけわからないぜ。


「結局マゼルはどうなるんだ?」

「う~ん多分問題ないかな。僕の予想だと色々勘違いがあった可能性が高そうだし、ただムスケル先輩はまた(・・)反省文かなぁ」


 俺の質問にアラードが答えた。どこか愉快そうにも見えたぞ。そのムスケルというのは何度も反省文書かされるほど問題起こしてるのか?


 だが壊れていた物をあっという間に直した魔法はとんでもないな。これがこの学園の上級生のレベルなのかよ――


「じゃ、僕はこのままちょっとルル先輩を探すことにするよ」


 アラードはそう言って手をヒラヒラさせて去っていった。なんだか飄々とした感じがする男だったな。


「ねぇ結局どうするのよ?」

「マゼルがどこいったかわからないままだもんねぇ」


 メドーサとリミットが疲れた顔を見せた。言われてみればそうだな。


「シグルにもう少し詳しく調べて貰えばわかるかも」

「そうかこういう時狼の嗅覚は役に立つね」

「うむ。助かるな」


 アニマがシグルに言ってマゼルの匂いを更に追ってもらおうとしていた。ドクトルやガロンの言うようにこういうときは頼りになるな。


「アズール――本当に学園に入っていたんだな」


 その時、俺の耳に聞き覚えのある声。そう、覚えはあるができれば聞きたくなかった男の声が届いた。


「お前のような無能が入学出来るとはな。全く学園も余計な制度を設けた物だな」

「……兄貴」

「え? 兄貴ってあんたの?」


 思わず声が漏れた。それにメドーサが反応していたな。しかし、嫌なタイミングで再会するとはな。


 そうこいつは俺の兄、ダニエル・ブレイズ。昔から苦手で、嫌いだった。それはこいつも一緒だろうけどな。


「私は反対だった。お前のような無能が試験を受けることにな。だが父は試験を受けない方が外聞が悪いと思ったのだろう。そう思うならとっとと家から追放してしまえばよかったというのに」


 憎々しげに俺を睨みつけ語る。こいつは昔からこうだった。自分の力に絶対の自信を持ち俺を見下す。


「ちょっとさっきから聞いてれば幾ら兄弟だからって言いすぎじゃないの?」

「そうよ。それに私たちだって試験を受かってここにいるんだからね」

「お前ら……」


 メドーサとアズールが俺の横に立って言い放った。


「試験に受かった? 所詮Zクラス等お情けで入れたような物だろう。そんなゴミが集まるような場所なら入らないほうがマシだ。このブレイズ家の面汚しが」


 だが二人の発言を気にすることもなくこいつは俺に侮蔑の言葉をぶつけてきた。


「――貴方はわざわざそんなことを言うためにアズールに会いに? 見たところ二年生のようですが上級生の割に随分と大人げないのですね」


 ドクトルが会話に割って入ってきた。上級生の兄貴に対して臆することなく意見を口にした。


「ふん。無能な落ちこぼれ同士傷のなめ合いをして過ごしているってわけか。見下げ果てた連中だ」


 だが俺のために兄貴に意見してくれたドクトル相手に、こいつは小馬鹿にしたような態度で返した。頭に血が上るのを感じた。


「……悪いが兄貴。俺は何を言われようと構わねぇけどクラスの仲間のことを悪く言うのは見過ごせねぇぜ! あ――」


 その時俺の全身が発火した。しまったつい熱くなって! 


「アチチッ! アチッ!」

「ちょアズール!」

「ふん。このバカが――」


 全身が燃え上がる俺に兄貴が近づいて来るのが見えた。そして――


「熱支配魔法――ヒートエクスペンション!」


 兄貴が魔法を行使する声が聞こえ途端に俺の全身が爆発しそのまま地面に転がることとなった――

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