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全員集合しいろいろと話し合われたが、結局のところ新しく紹介から送られてきた、開拓領地に後から来た人間たちの代表というのは結局決められなかった。というのも、基本的に誰を代表にしたところで角が立つ可能性が高いから、である。それぞれの人間関係が希薄であり、それぞれ送られてきたほとんどが立場的に関係ない人間が多い、というのが問題になる。
仮に誰かを代表にした場合、その人物とそれ以外の格差、というのができる。これ自体は結局リーダーという立場、まとめ役という立場を決める関係上当然できてしまうのは仕方がないのだが、全く他人だからこそそういうのを作ると悪影響が出てくる、ということになる。ある程度見知った、例えば村一つの集団がまとめてきた、とかならば逆に決めやすい。なぜならその場合元々からのまとめ役がいたわけなのだから。しかし、新しく決めるとなると、その人物がまとめ役となる理由に問題が出てくる。単純にその人物がまとめ役の立場に就く実力があるから、であったとしても他の関係ない人物がそれを理解できるとは限らない。そもそも関係ないのだからまとめ役としての立場に就ける実力があるかなどしるはずもない、ということである。ならばどうしてその人物がまとめ役になるのか、と考えた場合、例えば住んでいた場所、領地の違いであったり、あるいは職業的なもので優劣を図っているのではと考えたり、またはそれこそ賄賂など領主側との関係性が影響しているのでは、と邪推されるかもしれない。
もちろんそうでないわけであるし、きちんとした理由で明確な指針を発表すればいいわけだが、それでもやはり不満や疑問は出るだろう。そういうことでやはり決めづらいと言うことになる。
「………………」
「フェリシア? どうした?」
「いえ。理由が公になっていないから決めづらい、あるいは探しにくいんですよね?」
「まあ、そうだな」
「なら公にして募集するのはどうですか?」
フェリシアたち、領主側の人間が個人を選び決めてそれをまとめ役につかせる、というわけではなく、まとめ役をやりたい人間を彼らの中から募り、その中から一人を選ぶ、という方法で決めるということだ。
「…………ふむ」
「募集ですか……悪い選択ではないかもしれませんね」
「そうですね。問題はそれをする場合の選別内容でしょう」
「テスト……試験の類だな。問題はまとめ役に必要な素質か」
「そのあたりの話は俺にはわからん」
「ああ、無理。頭悪いし」
「……こちらもちょっと無理ですね」
「…………私は別に関与しないから」
「そちらで自由に決めてくれ」
そういった学業的な部分、知識、学ぶといった内容に関して理解のある賢哉やアルバート、アミルやフェリシアならばまあそういった部分のことに関しては理解が及ぶが、さすがにそういった分野に触れない一般的な平民には届かない。まあ、商業的な部分に関わっていれば少しは違うが、開拓領地の人間に元奴隷に元盗賊といった人物たちには理解の及ばない範囲である。そしてエルフにドワーフは関与する気がない。
しかし、試験となると今度は別の問題が出てくる。それがまとめ役を決めるために試験する内容だ。賢哉が考えている試験はペーパー、彼の知る学校におけるテスト、入試試験などの類になるわけだえる。だがそれでは当然まとめ役としての資質、つまり人をまとめその意見を聞き入れ、そしてそういった内容から賢哉たちに意見を述べられるか、と言った部分を調べることなど難しい。できないとは言わないが、やはり難しいと言わざるを得ない。そういう物は机上と実地では話が違ってくることが多いのだから。
「知識はテストとかでわかるだろうが、まとめ役として活動できるかは別だよな?」
「無理ではないですよ?」
「ええ?」
「……恐らくは考えられてる内容が違うと思います。商会ではこういった場合、面接や実地での短期小規模での試しをしたりが一般的です」
「ああ、さすがに問題を出して答案に解答記述ってわけじゃないんだな……」
「そういうものをやるはずがないでしょう……」
この辺りのことは賢哉とそれ以外の側での知識の問題だろう。まあ、フェリシアはどちらかというと賢哉寄りだが、それでも完全にテスト用紙だけですべてを決めるという考え方ではない。とはいえ、そこは常識の血が異世界の違いの問題なので何とも言えないところである。
「内容も問題ですが、だれがそれを実施するのかの問題もありますね」
「……ケンヤ様は忙しいから流石に無理ですね」
「まあ、これ以上仕事を増やされても困るな。できなくはないだろうが……」
「他が犠牲になるようではさすがに。そもそもただでさえ開拓領地のことは任せられている状態です。他の人に分担……できませんからね」
「そこは仕事として幾らか回していくしかないのではないでしょうか?」
「そうですね。お嬢様の言う通り、ケンヤ様だけに頼っている状態では危険ですから、領地の人間に回せるものは徐々に回していく、というようにするしかないでしょう。今は人が増えてきていますからそうする余裕もありますし」
「その分仕事が増えるから結局あまり変わってなかったりするけどな……」
賢哉の仕事は完全に終わらせ後は修繕を任せる程度になった、というのもあったり、賢哉自身がやる必然性がなく増えた人に任せられる、という状態になった者もある。しかし、仕事の効率上の問題だったり、人の手ではどうしようもないものであったりと、結局賢哉に任せる状態を続けざるを得ないものもあったり、新しいいろいろな問題の解決のために賢哉の仕事として割り振られ仕事が増えたりといろいろとあって結局大して減っていないのが現状である。
徐々に人が増え、ある程度経験を積んできた人間が増え、ようやく賢哉の割り当ての仕事がそれなりに減ってきて他の物事もできる余裕もある、と思われるところだが、実際どうなるかはわからないしうまくいくとも限らない。それに、開拓領地の接する未開拓地域、暗黒領域はいろいろと問題がある。一応賢哉のおかげでその問題が開拓領地に来ないようにはしているが、何が起こってもおかしくない。それこそ……開拓領地から外に出ずとも、向こうからやってくることはある。
三年目。開拓領地にて、様々なことが成されそれなりに慣れてきた彼らでも、やはり予定外、予想外となる出来事は起こり得る。いまだに彼らとは関係していない魔族と獣人、彼らが関係した問題が開拓領地とかかわることになるのである。




