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妄想設定作品集三  作者: 蒼和考雪
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13話 評価

「…………アーシュ、かなり使えるな」

「そんなこと最初に仕事に連れて行ったときからわかってるでしょ……」

「そうだぞリーダー。今更だ」

「まあ、確かにな」


 ローデス、マカベラ、クルベの三人組は元々パーティーを組んでいた冒険者たち。少し前の仕事にて自分たちにはできない敵の発見を行うための人員としてアーシュをパーティーに入れ、それから他の仕事も行ってきた。そうしてアーシュという存在、その能力に関して知り、アーシュの存在は高く評価された。


「敵の発見が簡単になるとあんなに楽になるとは思わなかった……」

「造園があるかどうかがわかるだけでもとんでもないわね」

「どうやって把握してるんだろうな。凄いぜ」

「本人は耳がいいと言っているな。本当に耳だけで全部把握できるのか?」

「私に聞かれても」

「前に色々と教えてもらった……裏話とか」

「裏話?」

「ギルドの裏話とか、通ってる女の所の裏話とか……」

「………………」

「………………」

「いろいろと渡したのになあ、全部売られてるとか……」

「ああ、うん」

「それは災難だな……」


 女に貢がせるだけ貢がせられて、その結果捨てられるというのはこの世界でもよくある話。アーシュとしては他社の恋愛ごとに口を出すつもりはなかったのだが、クルベの方が訪ねてきたので真実を教えたのである。脈なしで貢がせられていると。そのほか、何か知っていることとしてギルドにおける依頼の裏話、ギルド職員の弱みとかそういうことをクルベに話していたりする。とうぜんながらクルベはそれらを悪用するつもりはない。何故ならその内容がいろいろな意味で危険すぎるゆえに。


「ギルドの裏話って?」

「知らないほうがいいぜ? 使いどころもないし」

「……まあ、下手に力のある場所に首を突っ込まない方がいいからな。しかし、アーシュはそれを理解しているのか?」

「あの子、頭いいわよ?」

「そうなのか?」

「そもそも頭がいいから私たちのパーティーに入ったんでしょ……」

「そうだな」


 自分たちのパーティーの人数を考慮すれば少なくともか単純に仲間に入ることを選ぶパーティーとしてはあまりよくない。人数が多いパーティーの方がいいはずだ。しかしアーシュはこのパーティーを選んだ。ローデスたちが知るアーシュの耳の良さ、様々な噂を、話を聞き取る能力を知っていれば少なくともローデスたちの会話で性格を知ったうえでの判断だと推測はできる。もちろんローデスたちがアーシュのような能力を持つ仲間を求めていたというのも理由の一環だが、やはり性格が考慮されたのは間違いないだろう。


「そういえば、アーシュから鍛えてくれと提案されてな」

「鍛える? どういうこと?」

「アーシュは敵を発見する能力、その把握などはできる。だが、戦闘は俺たちに任せっきりだ。それを気にしているらしい」

「そんなの適材適所だろ」

「そうそう。だいたい自分じゃできないから私たちに任せてるんでしょ? 私たちも自分にできないことをアーシュに任せているわけだし」

「噂をまとめて教えてくれるのとか凄いよなあ……」

「それでもだ。戦闘面で役に立たないというのは気にしてるんだろう。それに、斥候として周囲の捜索をするうえでアーシュに身の危険があるのは事実だ。あいつは耳がいいから気づくのは速いが、そこから反応するのが遅い。危険が迫ったらわかるがその危険に対処する術がない。だから鍛えることは必要だと俺も思う……どう思う?」

「ん? いや、いいんじゃないか?」

「そうね。別に悪いことでもないし。でも、戦闘には参加させないわよね?」

「それは当然だな。いくら多少自衛ができる程度に鍛えたからと言って、俺たちについてこれるわけがない」

「あんな子供についてこられたら困るわな」

「……子供っていう年齢でもないみたいだけどね。ま、大人でもないけど」

「ともかく鍛える分にはいいわけだな。俺がやるべきか?」

「んー……いっそ三人でローテーションでいいんじゃない? 強さでいえばローデスが一番鍛えるうえでいいだろうけど、見合う能力に関しては私がいいでしょ? よく話す関係ならクルベの方がやりやすいかもしれないし?」

「そうか……そうだな」


 単純に鍛えるだけ、強さを求め来たるのであれば、ローデスと戦い戦い方を学ぶのが一番だろう。しかし戦い方、戦闘の仕方の相性という点ならば男より力がないマカベラの技術的な戦い方の方がいいかもしれない。また、教えるという点で話をよくするクルベが相手なら学びやすくあるかもしれない。ともかくアーシュはその能力、向上心などいろいろな点で大きく評価されており、ローデスたちにとっては得難い有能なパーティーメンバーとして認定されていた。

 アーシュにとってはそれは結構いいことなのだろう。しかし、アーシュはいずれ冒険者から外れる可能性を視野に入れている。これだけ評価され認められているのは嬉しくもあり、同時に別れるときに心苦しくも思うものであるかもしれない。

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