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一日目、擬人化『明石呉子(仮)』


 この宇宙の全ての記録

 人が『アカシックレコード』と呼ぶ神域

 そこに一人の『理術使い』が訪れる

 その時が来ることは知っていた

 記憶ではなく、記録として

 こちは全てを知っている


「『擬人化:アカシックレコード』」


 そんな気安い言葉でよくもまあ、神の造物を人におとしめようなどと思えるものじゃな。

「俺は無敵だからな。不敵にもなるさ」

 そういう駄洒落みたいな言い回し、テンゴクは嫌がっておるんじゃがな?

「なんだと?」

 こちに知らんことはないのじゃ。

「ふん。随分と生意気なんだな」

 お主が不敵だろうと、こちには関係のないことなのじゃ。

「全て記録済み、というわけか」

 そういうことじゃ。

 だがのう、体験することはこちにとって初めてのことじゃからな。

 予定調和もせいぜい楽しませて貰うとも。

 そういう意味では、お主には感謝せんといかんのう。

「ああ、感謝のついでに俺の未来でも教えてくれないか?」


 近いうちにお主は死ぬよ。


「そうか。運命は変えられんのだな…」


 こちは運命論など知らんのじゃ。

 こちが知るのは結果だけじゃからのう。

 お主が今の質問をして、こちが今のように答えることも記録されておったよ。

「気に食わんが、気にしている間に別のことに励んだ方が良さそうだな」

 それが賢明じゃな。

 先ほどこちが教えた未来など、こちの嘘でしかないとでも考えて、生きることに励んだ方が余程に建設的じゃろう。

「ふん、俺がどう生きるのか、お前は既に知っているんだろう?」

 知ってはいるがな。

 聞く気はないんじゃろう?

「ああ、当然だ」

 お主の目的は正直に言うとこちには理解ができん。

 ただの馬鹿でもあるまいに、よもや…

「くだらん。己の命くらい好きに使ってもかまわんだろう?」

 そうじゃのう。

 かまわんどころか、お主の一切に関わりたくもないのじゃよ。

「知っているだろうがそれは無理だな。ああ、そうだアカシックレコードなどと呼ばれるのは味気無いだろう。明石呉子とでも名乗れば良い」

 真っ平ご免なのじゃよ。

 こちの名前はテンゴクと決める予定なのじゃ。

 もっとも、テンゴクと名前を考えている間は明石呉子(仮)と名乗らせてもらうとも。

 安直な名前に辟易しながらも、お主のネーミングセンスの無さに少しだけ同情しつつ名乗りを上げてやるともさ。

「名前にセンスを求めるのだな。擬人化されたとはいえ、人間らしさが想像以上にある」

 そうじゃのう。

 こちは、お主がテンゴクと仲良くして欲しいと願いつつ擬人化されたアカシックレコードなのじゃよ。

 その願望がある程度は反映されておる故に、こちは愉快で賢い幼女となったのじゃ。

「ふん、あまり典語を甘やかしてくれるなよ?」


 ぷっ!

 くっ!

 はははははっ!


 テンゴクの為にこちを生み出したお主が何を言っておるかのう。

 今のはまあまあ面白かったのじゃ。

「いたって真面目だったんだがな」

 お主は真面目に喋ると面白いんじゃな。

 こちもほどほどに現世を堪能させてもらうつもりなのじゃ。

 テンゴクにも頑張ってもらうことになる故、安心しておくのじゃよ。

「ああ、俺のわがままにあいつまで巻き込むつもりはない。せめて、死なん程度には守ってやってくれよ」

 承ったよ。

 なあに、お主は死ぬがテンゴクは生き延びる。

 アカシックレコードが保証するのじゃよ。

「そうか、それなら良いんだ」

 うむ、万事恙無しじゃよ。


 さて、そろそろ『神』が此方こちらに気付く。

 こちは行く。

 お主も帰れば良い。

「そうか、やはりいるのか…」

 やれやれ、目がギラついておるぞ。

 何がそんなに気に食わんのか…


 まあいい、阿呆は放っておいてテンゴクのとこに行くとしようかの。

 ふふん、楽しみじゃ

 これは予定調和などと馬鹿にできんのう

 とにもかくにも楽しみなのじゃ


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