DXD 「絶望に抗う戦士達」 01 「作戦会議」
※ソ連兵椛さんの名前と階級を変更します。
ご本人には連絡しています(階級[兵長] セリフ[ 椛兵長「・・・・・・・」]
とある世界。その世界のある平穏な村に「トライバル」という少年がいました。
彼もまたその平穏な日々を静かに過ごしていました。しかし・・・、悪夢は突然に訪れました。
ある日の夜、仕事を終え村に帰宅すると今まで見たことのないような異様な化物達に村が襲撃されていました。
彼は、弓や拳銃で敵を射抜き村を守ろうと、必死になって応戦しました。
しかし、迫り来る敵の数に押され、遂に彼は意識を失ってしまいました。
遠のく意識の中、彼は一人の少女と出会います。彼女の名は「博麗霊夢」(はくれいれいむ)。忘れられしものが行き着く{幻想郷}の巫女。
彼女はトライバルに「幻想郷で起きている異変を解決してほしい。」と頼み、物語はそこから始まりました。
この物語は、{幻想郷}を舞台にトライバルと、幻想郷の住人達が迫り来る魔王軍との戦いを描いた物語____。
そして___その戦いの中、決して語られることのない。ある、防衛軍の物語。
トライバルと、その仲間達が暮らす拠点。その一角に、黒い犬の横顔を模した旗がはためく、石レンガ造りの拠点がそびえ立っている。
{DXD防衛軍}幻想郷に流れ着いた者達が、魔王軍と戦うために結集した部隊がいました。
・{DXD兵士宿舎}・
ピピピ、ピピピ、ピピピ………………
現在午前6時半、兵士宿舎のとある一角。個人部屋の一室にアラームの音が鳴る。
???「うう、う~~~ん・・・」
四角いベットの側に置いてある目覚まし時計に手を伸ばし、寝ぼけているせいか2、3回失敗した後、ようやくアラームを止めた。そして寝ぼけ眼の状態で、ムクリとベットから起き上がると洗面台に向かった。
大釜に溜めておいた水で顔を洗い、眠気とともに水をタオルで拭き取った。洗面台に備え付けられて鏡にさっぱりしたサファイア色の目が映る。
自分の名前は田中風技。ここ{DXD防衛軍}の兵士だ。階級は「兵長」第8偵察部隊の隊長だ。
短く切った黒髪を整え、気合を込めて頬をパンッと叩くと、壁にかけてある服に着替える。
田中「さて、今日は昼から拠点強襲がある日だったな。朝のミーティングの準備もあるし、今日は忙しくなるかな」
空色のシャツに黒のズボンを身に着け、いったん部屋を出て行く。向かう場所は厨房だ。
・{DXD兵舎厨房}・
DDコック長(非戦闘員)「さて、そろそろ朝飯の用意を始めるか。・・・おや?」
コックが朝食の準備のため、厨房に向かっていると誰かが調理している音が聞こえてきた。
厨房に入ると、エプロンを身に着けた田中が野菜を切り分けていた。
DDコック長「あっ、田中隊長。おはようございます・・・って、調理は我々がやりますのに!」
田中「ん、別にいいって。俺が作るのはミーティングに参加するメンバーの分だし。コック長は一般兵の分があるだろ? このくらいは作っておくさ」
サラダ用とスープ用の野菜を切り分け、次に鶏ささみを茹で始める。今日の朝食のメニューは「トースト・ベーコンエッグ・鶏ささみと野菜のサラダ・野菜スープ・ゆで卵」の予定だ。
DDコック長「隊長、いつもすみませんね。隊長も忙しいはずなのに・・・」
コック長は申し訳なさそうに頭を下げる。その後、他のコック達も集まり始めた。
田中「俺の趣味のひとつさ。さ、コック長もそろそろ自分の作業につきなって。」
コック長は、「わかりました」と、最後にもう一度頭を下げてから朝食の準備を開始した。
田中は鶏ささみが茹で上がると、氷水でにつけて粗熱をとる。その後、細かく裂いて食べやすくしておく。ささみを茹でたお湯に切った野菜と調味料を入れて、さっと煮込んでおく。
と、次にベーコンエッグの仕込みに取り掛かろうとした時、誰かが厨房に入ってきた。
???「あ、田中兵長。おはようございます」
彼の名前は、霧島大佐。銀色の髪、目は灰色の青年。自分と同じように、この世界とは違う世界からやってきた者だ。階級は「司令」水色と白をメインにした服装を身にまとっていた。
彼はかつて敵対組織に捕まり、「始祖ウイルス」(すべてのウイルスの祖)を注射され、脳に電子チップを植え付けられている。[ウイルスを自己強化する程度の能力][電子頭脳を使い、あらゆることを可能にする程度の能力]が使えるようになり、幻想郷に来た際、[万物の風を操る程度の能力]を開花し、計3つの能力を扱えるそうだ。また、自身の部隊もかなり優秀で、航空戦闘機部隊、戦車部隊、戦艦艦隊など、多くの部隊を指揮している。昔から付き合いのある者達からは[ジーク](零戦)と呼ばれ、自分は彼を大佐さんと呼んでいる。
田中「大佐さん、おはようございます。今、朝食の準備してますのでもう少し待ってくださいね」
田中はトーストとゆで卵を準備しつつ、大佐さんに挨拶した。
大佐「あっ、自分も手伝いますよ」
田中「ありがとうございます。じゃあ、飲み物の準備をお願いします。大佐さんの淹れたお茶、美味しいですしね」
大佐「わかりました。他にも準備しておきますね」
そう言うと、大佐は紅茶やコーヒー、ミルクにお茶などの飲み物の準備を始めた。
大型のフライパンに油を引き、卵とベーコンを焼き始める。ジュージューと、焼けるいい音が厨房に響く。人数分のベーコンエッグが出来ると、皿に乗せて他の料理と一緒に台車に乗せる。
大佐さんと料理を運び、集合場所である会議室に運んでいく。
大佐「そういえば、今日は敵拠点の攻略の日でしたっけ?」
田中「そうですね。今回の作戦の規模だとあまり多くは出撃しないと思いますが、どの部隊がするんですかね」
大佐「この辺りだと軍曹さんの部隊か、翔さんの部隊ですかね・・・あ、噂をすれば」
大佐さんが不意に立ち止まった。自分も立ち止まり、大佐さんの見ている方向を見てみると2人の青年がこちらに気づいて向かって来ていた。
???「お、田中に大佐。朝から準備が早いな」
彼の名前は晃毅軍曹。いつも迷彩の戦闘服を身に着けていて、額に軍用のゴーグルを付けている方だ。階級は「軍曹」彼は魔法を扱え、MPを吸収する能力や、ファントム(分身)を操る能力を保有している。また、かつての戦いでエンダードラゴンの側にいた際にその能力を身につけることができた。自分は彼のことを軍曹と呼んでいる。自分の彼の過去に別の世界で自身の娘を失っていて、そのことから魔王軍に強い恨みを抱いているのだが、それはまたの機会語るとしよう。現在はエンドワールドと幻想郷を行き来している。
???「あ、それ今日の朝食か。メニューはなんなんだ?」
軍曹の隣で台車の中を覗いているのは、久留翔。階級は「少佐」エメラルドグリーンの髪、人懐っこそうな玉虫色の瞳をした青年だ。彼の故郷は魔王軍に滅ぼされてしまい、途方に暮れていた際ボスに拾われ、その後この防衛軍に入団したそうだ。戦いの最中、ゾンビに噛まれてしまったがどういうわけか適合し、今はゾンビの力を身に着けている。彼の部隊は変わり種の者が多く、他の部隊からは「モンスター部隊」と呼ばれている。ちなみに、自分は彼を翔さんと呼んでいる。
田中「今日は洋食風にしてみました。今から会議室に運ぶので、一緒に行きますか?」
晃毅軍曹「そうだな。遅れちゃまずいし、行くとするか」
翔「今日はもいっぱい食べとかないと、他の奴らが美味しそうに見えてくるしな」
大佐「それはまずいのでは・・・?」
というわけで、4人で会議室へと向かう。着くまでの間、最近の近況や、作戦などを話をしていたら会議室に到着した。
・{DXD作戦会議室}・(食事可)
会議室の石の机に、軍曹さんとともに食事を並べていく。大佐さんには飲み物を準備してもらい、つまみ食いをしようとした翔さんを止めていると、会議室に3人の人影が近づいていた。
???「あれ?もしかして遅刻したかな」
???「いや、時間的にはまだ大丈夫のはずだが・・・」
???「今日の朝ごはんはなーにかなあ♪」
会議室に入ってきた3人。
1人目は、ダブルクロス・クトゥルフ。彼は、自身がかつて暮らしていた世界では{狩り人}という仕事をしていたらしく、今も当時使っていた鎧を愛用していた。幻想郷に来て以来、魔術の力に魅せられオリジナルの魔法も現在では使用できるほどだ。接近戦が得意で、三次元的な身のこなしの持ち主だ。彼は正式な部隊員ではなく、組織から依頼し、それを{クエスト}として請け負っている。まあ、今では仲間であることには変わりないだろう。自分は彼をダブルさんと呼んでいる。
2人目はエメラルドライト。彼に関しては、実際の所謎が多い。いつも骸骨のヘルメットを身に着けており、素顔は見たことがない。服は青いコートを身に着けていて、腰には赤く輝く剣を帯刀している。かつて、戦いの最中ふらりと現れ、いつの間にかいなくなっていたらしい。と思えば、唐突に帰ってきたりと、掴みどころのない不思議な方だ。大佐さんや翔さんは以前に会ったことがあるらしい。まあ、悪い人ではないし、彼を詮索することはしなかった。自分は彼をエメラルドさんと呼んでいる。
3人目は、ソレン兵椛。髪は白髪のショートカット。その隙間からは可愛らしい犬耳がある。かつていた国での階級は「兵長」彼女はここ最近加わったメンバーだ。彼女はかなり特殊で、別の世界の幻想郷の住人で死神なのだそうだ。その世界はボス達がいた「地球」を言う星に酷似した場所で、彼女たちは「ソレン」という国に属していたそうだ。今でも彼女達の部隊はその国の軍服を愛用している。白紙の紙にその場の地図を描き、その中に書かれたモノを消し去る能力を有しているそうだ。自分は彼女を椛さんと呼んでいる。
晃毅軍曹「お、これでボス以外揃ったな」
晃毅は手を上げて3人に挨拶した。
翔「朝食の方は洋風メニューだって。美味しそうなベーコンエッグがあるな。・・・痛っ!」
ベーコンエッグに伸ばそうとした手を田中にスプーンで叩かれた。
椛兵長「あ、おいしそうですね~」
同じく、台車の中身を覗く。
大佐「皆さん、飲み物は何がいいですか?」
飲み物の準備が終わり、大佐は全員に確認をした。
田中「じゃあ、自分はお茶でお願いします」
配膳を済ませた自分は、次に作戦概要を貼り付ける額縁の準備をしながら大佐にリクエストする。
晃毅軍曹「俺はコーヒーを貰おうかな。あ、ミルクと砂糖は自分で入れるから」
席に座りながら、そう答えた。
ダブル「紅茶をもらえますか?ミルク多めのやつ」
同じく自分の席に座り、ポケットから手投げナイフを取り出し、クルクルと回し始めた。
エメラルド「コーヒーで。砂糖は2つほどかな」
翔「俺はミルクで」
椛兵長「私もミルクでお願いしまーす」
と、この場にいる全員のリクエストが済んだ頃、会議室の扉が開き2人の人物が入ってきた。全員の視線がその人物等に向けられる。
田中「ボ、ボス。おはようございます」
ボス「うむ、全員揃っているな」
ギア「では、これよりミーティングを始めよう」
入ってきた方の名は通称「ボス」この組織、{DXD防衛軍}を治めるリーダーだ。黒髪のガッシリとした体付きの男性だ。傍らに仕えてるのは「ギア」、ボスの若い頃から共に行動してきた腹心である。
かつての戦いで、右目と左腕を失い目には軍用の眼帯、左腕はパワーアームを移植している。
カリスマ性に溢れ、人を呼び寄せる才能の持ち主。今のこのメンバーをまとめられるのは、ボスをおいてほかにはいないだろう。
自分が幻想郷に流れ着いた頃、まだ小さな自衛団だったボスの組織に拾ってもらえた頃のことは今でもよく覚えている。その頃、他にも多くの仲間も居たが・・・、初期メンバーは今となっては数人になってしまった。
かつていた仲間のことを思い返していると・・・・・。
ギア「おい、田中兵長。そろそろミーティングを始めるぞ」
田中「あっ!す、すみません・・・」
ギアに注意され、慌てて木の階段で出来た席に座る。そして、全員が席に座ると、ミーティングが始まった。
ギア「現在、南方は第3、第4、第5部隊がシフト制で警備にに就いている。続いて、西の部隊は………」
ギアが現状の各状況を説明をしている。他のメンバーは、食事を取りながら内容に耳を傾けていた。
本来はマナー違反だが、昼には敵拠点の攻略をあるため同時に済ませることになったのだった。
ギア「では、本題に入る。今日の拠点攻略に関してだ」
ギアが拠点攻略の議題に触れると、晃毅軍曹が食事の手を止めた。
晃毅軍曹「で、率直に聞くが、今回はどの部隊が請け負うんだ?」
その質問にミルクを飲んでいた翔、目玉焼きをベーコンで挟んで頬張っていた椛兵長も食いついた。
翔「ここは、俺達に任せてくれよ。夕方には終わらせてくるから」
椛兵長「ええー? 私達の部隊がやりたいー。最近のヤツら弱いのばっかでつまらなかったから」
ギア「まあ、落ち着け。今回の作戦に関しては、ボスから説明がある」
ギアがそう告げると、ブラックコーヒーを飲んでいたボスがティーカップを置いた。
ボス「ああ、今回はお前達隊長クラスだけで行うことにした」
ボスがそう告げると、大佐が片手をあげてて質問した。
大佐「となると、ここにいるメンバーで出撃するのですか?」
ギア「そういうことだ。全員、装備の確認を怠るなよ」
と、続いてエメラルドとダブルが口を開た。
エメラルド「しかし、なんで今回は部隊じゃないんだ?」
ダブル「大勢で攻め入った方が早く済むと思うが・・・」
ギア「そのことに関しては、これから話す。まず、今回の作戦はいわば、我々の実力を世間に見せる一種のパフォーマンスでもある」
晃毅軍曹「パフォーマンス?」
ボスとギア以外の全員が視線を交わす。
ギア「知っての通り、先の戦闘でこちらもかなりの戦力を削がれた。それに伴い、兵の疲労も溜まっている状態だ。それはお前達の部隊も同じだろう」
大佐「それで、今回の隊長クラスでの奇襲攻撃、ですか?」
ギア「理由は他にもある。先程も言ったが、先の戦闘で兵の補給が必要になった。だが、現状人員どころか、人里さえ見つけることが難しい。そこで、今回の作戦を公開し兵士募集をかけることになったのだ」
翔「面白そうじゃないか。やろうぜ!」
晃毅軍曹「腕がなるな、楽しみだ」
二人は今回の作戦に乗り気のようだ。
ギア「それに合わせ、今回は陽動と強襲の2グループに分かれてもらう。陽動はボスと田中兵長。強襲は翔、軍曹、大佐、ダブル、エメラルド、椛兵長だ。作戦としては、陽動部隊が敵拠点の南東にある湖付近にてボスの機体「ダイアモンド・フォートレス」にて敵戦力を引きつける。田中の機体「エアリーゼ」はボスの護衛だ。その間に、強襲部隊は強襲機「グレイト・ファング」にて降下し、残った残存勢力を駆逐する・・・・・」
その後も、作戦の内容を説明するギア。
ギア「以上が、作戦内容だ。何か質問は?」
最初に質問したのは、ダブルだった。
ダブル「陽動の戦力が少なすぎないか?あと1人は陽動に回せると思うが・・・」
ギア「今回攻める拠点は、地下空間が存在するタイプだ。その分敵兵の数も多数にいる、となれば短時間で拠点を陥落させるにはこの配置がベストだ」
軍曹「拠点制圧後は、どうするんだ?」
続いて、軍曹が質問した。
ギア「資源及び食料を接収した後、TNT爆弾により爆破する。そして、起爆はボスが行う」
田中「ダイアモンド・フォートレスの粒子拡散砲{ヴァルサリア}ですか・・・。それなら、TNTは必要ないのでは?」
田中は疑問に思い、ギアに質問した。
ギア「先程も言った通り、今回はパフォーマンスの意味合いもある。やるなら派手にいったほうが宣伝にもなるだろう」
田中「そうですか・・・・・」
ギア「他に質問はないか?ないならそろそろ出撃の準備に移る」
翔「俺はないです。」晃毅軍曹「俺も異議なしだ。」ダブル「問題ない。」エメラルド「同じく。」椛兵長「敵を狩れれば、なんでもいいでーす。」大佐「・・・」次々と返答していく中、1人だけ言葉を濁した人物がいた。
翔「・・・? どうかしましたか、大佐?」
顔色の良くない大佐を心配し、翔は声をかけた。
大佐「・・・。拠点の位置はここから北に位置していましたよね?」
ギア「ん? それがどうかしたのか」
大佐の言葉に、訝しむギア。大佐は「いえ・・」と、言った後偵察部隊から聞いたある話を全員にした。
田中「湖の怪物?」
田中の問いに、大佐が頷いた。
大佐「偵察に行った兵士からそう聞きました。なんでも、霧の中に巨大な影を見たそうです」
大佐が偵察に行っていた部隊から聞いた話によると、湖の付近は薄い霧に覆われていてその合間に巨大な影が映ったというのだ。
ギア「何かの間違いじゃないのか?」
ギアはいぶかしそうに大佐に問う。
大佐「部下は、たしかに見たと言っていました」
大佐はきっぱりと言った。
その時、ボスが二人の間に割って入った。
ボス「わかった。その件はこちらで調べておく」
ギア「ボス・・・」
ボス「作戦事態に問題はない。何かあればすぐに連絡する」
ギアは、しばらく黙ったが観念したようにため息をしてから、
ギア「・・・わかった。あんたの指示に従おう。ただ、何かあればすぐに連絡してくれ」
ボスは、「わかった」と、短く返事し会議室をあとにした。
ギア「以上でミーティングを終了する。これより3時間後、第2滑走路に装備を整え集合だ。以上、解散!」
全員「了解っ!」
「絶望に抗う戦士達」後編に続きます