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ifEND・華雄編

(`・ω・)華雄はifENDでは桃香の所に居るはずですがまあ、ififENDと言う事で。


終わった……


闘いが終わった。


長かった闘いが……


「黄巾党の乱」


「反董卓連合」


「群雄割拠に始まった三国の闘い」


そのすべての闘いが、曹魏の勝利で……


そして「三国同盟」と言う形で遂に終結した。


私の、いや私達の…一刀の闘いが……




「はーーはははははは。どうだ、飲んでいるか?華雄」


一人、のんびりと飲んでいる所に春蘭がやって来た。

かなり飲んでいるらしく千鳥足だ。


「飲んでいる。と言うよりお前は少し控えろ」

「何を言う?こんな時に飲まないで何時飲むと言うのだ?」

「飲むなとは言っておらん。控えろと言っておるのだ」

「かたい事を言うにゃ。にゃはははは……ぐう」


そうして春蘭は遂に潰れた。地面に大の字に倒れ、いびきをかきながら寝ている。


「ああもう……、姉者は可愛いなぁ」


秋蘭はそんな春蘭に萌えながら抱きかかえて去って行き、ようやく落ち着いて飲めると思ったが其処に今度は霞が千鳥足でやって来た。


「何や華雄。自分、何一人でたそがれとんねん?」

「霞か。別にたそがれている訳じゃない、大勢で騒ぐのが苦手なだけだ」

「かあ~~、変わっとらんな。もうちーと社交性ちゅーもんを持ち―な。この分じゃ詠や月っちも苦労しとんのやろな」

「大きなお世話だ」


そう言えば霞は虎牢関で劉備に降ってからは月様達に会う機会が無かったんだな。


「月様達なら華琳殿の所に居る筈だ。久しぶりに会って来たらどうだ?」

「おお、ええなぁ~。ほな、そうさせてもらうわ。おっと、それとぉ~~」

「何だ?」


霞はニヤニヤと薄笑いを浮かべながら近づいて来る。嫌な予感がする、こいつがこんな顔をする時は大抵良からぬ考えをしてる時だからな。


「御遣いはんは優しゅーにしてくれたか?」

「なっ!…何の事だ!?」

「またまたぁ~~。抱かれたんやろ自分」

「貴様ぁーーーーっ!」

「はー、ははははははははは。赤うなってからに、乙女やないかーー!」


霞はそんな風に高笑いをしながら走り去って行く。

くそっ、興ざめだ。少し頭を覚ますとするか。


私は宴に湧きあがる笑い声を背に森の中へと歩いて行く。





            -◇◆◇-


聞こえて来たせせらぎを頼りに歩いていると小川の傍に立っている人影が見えて来た。

誰かと目を凝らすとそれは月明かりを受けて光る、ぽりえすてるの服を着ている一刀だった。

声をかけようとしたがその姿を見て私は愕然とした……



……何だこれは………

本当に一刀なのか?いや、確かに一刀だ、間違いは無い。

なのに、なのに何故……


何故気配が感じられない?

今、間違い無く目の前に居るというのに……



「かず…と?」


パキン


踏みつけた枯れ枝が音を立て、一刀は振り返りそして笑顔を浮かべる。


何だ、何だその顔は?お前の笑顔はもっと暖かった筈だ。

なのに何だ、何なんだ!その哀しそうな笑顔は!?


やはりそうなのか?……

予感はあった、だが信じたくなかったし信じもしなかった。

当然だ!お前が、天の御遣いが居たから華琳殿の所には人々が集まった。

雛里だって御遣いに会う為に旅に出たと言っていた。

恋もねねも月様を助けるというお前の言葉を信じたからこそ華琳殿に降ったのだ。

月様もお前を信じ、詠だって憎まれ口を叩きながらもお前を信頼している。

美羽も七乃もお前が居たから今でも笑っていられる。



そして私も……

私はお前を信じたからこそ此処に居る、お前を認めたからこそ共に戦った!

お前を……お前だからこそ私はお前を愛した……なのに、なのに…


なのにお前は私を置いて逝くのか?



            -◇◆◇-


「華雄」


鋭い視線で俺を睨みつける華雄の瞳から止まることなく涙が零れ続けている。


ああ、俺はどうしようもない奴だな。

こんなにも想ってくれている女の子を泣かせている。

こんなにも大事な女の子を置いて逝こうとしている。


この世界に愛する彼女達を残して一人消えようとしている。


俺は一歩、また一歩と華雄に近づいて行く。華雄は逃げようとはせず、ただ俺を睨み続けている。


そして彼女の元に辿り着いた俺は優しく華雄を抱きしめる。

胸の中の華雄の体は小刻みに震え、小さな嗚咽が聞こえて来る。



            -◇◆◇-

 

「なあ、華雄。お願いがあるんだけど」

「な、何だ…」


私は今、一刀の胸に抱かれている。

暖かかったあの胸の中に居る筈なのにその温もりは今では全く感じられない。

何故だ、何故、何故……


必死に一刀の温もりを感じようとしていると一刀が願いがあると言って来た。


「真名を、真名を教えてくれないか?本当はあるんだろ?」

「断る!居なくなる奴に、私を置いて逝く奴なんかに真名を預けてたまるか!」


本当はこの闘いが終わった後すくに預けるつもりでいた。

だが、いざとなると照れくさくて言いだせずにいた、こんな事だったら。


「そっか、そうだよな」


馬鹿が、そんなに簡単に諦めるな。お前は何時もそうだ。


「知りたいなら…」

「え?」

「どうしても知りたいならさっさと帰って来い、そして二度と居なくなるな!そうしたら……」


しがみ付いていた一刀の体が、顔を埋めている一刀の胸が徐々に淡い光に包まれて行く。

何故だ、こんなに好きなのに、これほどまでに愛しいのに。


「知りたいな、だから…かえっ…て、くる…よ。だから…やくそ……くだ…」

「帰って来い、必ず…必ず……」


私は一刀を抱きしめる。一分でも、一秒でも、刹那の瞬間でも一刀と共に居られる様にと。


だが、時はやはり許してはくれなかった。

私の腕の中から光の粒となった一刀は天の彼方へと昇り、そして消えていった。




「ううう、馬鹿が…馬鹿者ぉ~~。うわあぁぁ、うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!かず、と…一刀ぉーーーーーーーっ!」



私の叫びは、愛しい人の名は空へと響きわたる。

そして空には、柔らかな光を放つ月が浮かんでいた。







~時は流れ…


今私は城の中庭で樹に背をもたれている。

一刀が消えてから一年の時が過ぎていた。


あの後は酷かった。

一刀が天へと帰った事を告げるともう、宴どころでは無くなった。

泣き喚く者、怒り狂う者、華琳殿が収めてくれなければ春蘭か凪に殺されていたかもしれなかった。


華琳殿、あの方はやはり強かった。

ご自身も辛い筈なのに泣いているだけの、怒りを露わにしているだけの皆を鎮め、そして慰めた。


暫くして私達は全員一刀の子を身籠っている事が解った。

素直に喜ぶ者がほとんどだったが中には照れくさそうに悪態を吐く者もいた。


誰とは言わないが桂花とか詠とか桂花とかねねとか桂花とか。


そして私の腕の中には先日生まれたばかりの私の子が居て、気持ち良さそうに寝ている。


「それがアンタの子供?」


そう言いながらやって来たのは桂花、彼女の腕の中にも小さな赤ん坊が寝ている。

桂花がつけた真名はたしか鞘花さやかだったな、桂花らしいと言えばらしいな。


「その子の真名は?まさかアンタと同じで真名無しなんて言わないでしょうね」

「真名ならとっくにつけている。その内教えてやるさ」

「何よ、勿体つけちゃって。どうせ碌な名前じゃないんでしょ」

「さあな、鞘花よりは良い名かも知れんぞ」

「何ですってぇーーーーーっ!」

「ふええぇぇぇぇぇぇぇぇん」


桂花の怒鳴り声で目を覚ましたのか鞘花が可愛い泣き声を上げる。


「ああ、御免なさい鞘花。起しちゃったわね、かかさまが悪かったわ。ほらほら、いい子ね~~。べろべろばぁ~~~」

「ふえぇぇ……きゃっきゃっ♪」

「ふふふ、鞘花たんは本当にいい子でちゅね~~♪」


泣き出した鞘花を桂花はすぐにあやし始め、鞘花もすぐに機嫌を直す。

……と、言うよりこいつは本当に桂花か?


「じゃあ、私は行くから。鞘花たぁ~ん、お城に帰ったらおっぱいあげまちゅからね~♪」

「きゃっきゃっきゃっ♪」


鞘花をあやしながら桂花は城へと帰って行く、やれやれ静かになった。


「ふわあ~~ぁ」

「ふ、起きたか。良く寝ていたな」


目を覚ました愛しい子供を見つめ、その頬をつんつんと突いてみる。

するとその子は私の指を掴み、にこにこと笑っている。


「そう言えば約束だったな」


そして私は生れて来た子供達の中で唯一の男である我が子の真名を呼び、語りかける。


「なあ、“一刀”。私の真名はな………」




~終劇~


(`・ω・)という訳で、華雄ififENDでした。

今までとは違い一刀はそのまま帰って来るのではなく、華雄の子供として転生して来たという形です。

何故かというと華雄ENDを考えた時すんなりとこの終わり方が思い浮かんだからです。


一応、帰って来た一刀が後ろから華雄に話しかけるという事も考えたんですがどうもしっくりこない。

なので、初志貫徹。このまま書き上げる事にしました。

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