~6話~女神様適当……
イガさん回です
「……まさか、この崖の下とかってことは……」
「そのまーさか!」
いや、ドヤ顔で言われても……超全力のドヤ顔で言われても……
「……どうやって採ろう?」
「うーん……よし空、行って来い!」
「いや、それ行って来いっていうか逝って来いだよな!?」
「もちろん!」
「いや、もちろんじゃねぇよ! 親指立てるなよ!?」
「頑張れ!」
「話を聞けい!」
……ったく、こいつは……仕方ない、何とかしよう。蔓生やす魔法とかねえのかな……仕様魔力の低いもので。いや、それじゃ魔力が増えない……うーん……そうだ、クロンにやらせればいいのか!
でも、どんな魔法があるか分からねえな……
そんな事を考えていると通信機がピルルッ、と鳴る。
「おおっと。もしもし。」
いきなり鳴ったから崖に落とすところだった。危ない。
「もしもし~? 繋がった~? あ、空君? あ、良かった! でね、なんで電話をかけたかって言うとー、杖の特別な機能を教えてあげよう! 実はその杖、検索機能がついてるんだよ! もちろん魔法とは認知されないから使っても魔力は増やせるし! やり方はね……えと……うーんと……これあげる! じゃね!」
……説明書らしきものがヒラヒラと落ちて来た。また使い方分からなかったんだなあいつ……
「えーと何々? 検索機能ってのは……あった、えーと……クロン、俺の杖返してくれ!」
「やだねー。」
「薬草採るために使うから。てか、何で俺のなのにお前の持ち物みたいにしてるの!? それで土つつくのとかやめて!? 汚れるから!」
「えー、だって手じゃ汚いし……」
「だからって人の持ち物でやるなよ! てか土をつつかないという選択肢は無いのか!?」
「ない!」
「ええー……じゃあモヒカンから奪った杖でやれよ。」
「うーん……自分のが汚くなるのはなぁ……」
「なんなんだお前は!?」
「ま、いいや。こんな安物、トラの口のつっかえ棒にでもすればいいや。」
「……まあ、とりあえず杖を返してくれ。」
「はい!」
杖を投げ渡される。……汚い。
で、この柄の部分を回して、それで二回素振り、そのあと……うさぎ跳び10回?……体力無いんだけど……で、その後、腕立て……これ絶対杖関係ないよな? 絶対関係ないよな? で、手順終わりか……頑張ろう……
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふぅ、はぁ、はぁ……」
死ぬ……疲れた……死ぬ……
「……大丈夫?」
おお、クロンが心配した。これだけでも収穫だな。使い捨てからランクアップしたか。
「頭。」
違かった……バカにされてた……ああ、分かってたよ! 分かってましたよ! 今日会ったばっかだけど、クロンが心配してくれるとは思って無かったよ! そうだよ、コイツはドSなんだよ!
「……これで検索ウィンドウが開くはず……って開かねえ!?」
そこでまた通信機が鳴る。
「……もしもし。」
「あ、もしもし~、ゴメンね~、あの説明書、旧型のだったみたい~。新型の説明書送るね~。ゴメンゴメン、お詫びに……薬草採ってあげよっか!」
「……頼む。」
さすがに神に死ねとは言えない俺であった。






