~4話~クロンさんマジパねぇッス
イガイガさん回です。なんというか、俺よりギャグの質が良い気が……。
俺も頑張らなきゃと思った回です。
「はい、跳んでー、お、やっぱり持ってるじゃねえか。ほら、さっさと出せ。」
はい、絡まれましたね、一瞬で。カツアゲされてますね。もう、これ、アレじゃないか? 絡まれる早さ新記録だよこれは。
財布置いてくりゃよかった……
「は、はい……」
財布ごと渡す。これからはちゃんと金は分けとこ。一つの財布だけだと分捕られる。
カツアゲしてる集団のリーダーっぽいのは何故か上半身裸で、体のあちこちに傷がついていて、まっ黄色のモヒカンだ。モヒカン、超派手だね。なんかもう、ネオンを浴びて目に痛い色になってる。
どこのバカだよ、バカ丸出しじゃん。
「えーと? 金貨が一枚、二枚……八枚もあるじゃねえか! で、そっちの女、持ってるのか?」
今度はクロンに矛が。頼むから不味いこというなよ……
「持ってないよ。まあ、持っててもあげないけどねー!」
ああ、やっちゃったよこいつ……あっかんべーってしてるよ……
「そうかそうか、ずいぶんと度胸があるじゃねえかあぁ!?」
あーあ、怒らせちゃったよ……
「だってさ、君たち弱いもん。」
「んだと!?」
ヤバいよ、モヒカンさん、かなり怒ってるよ……
「じゃあ、相手したげるよ。言っとくけどね、これでも私、ヘイムガナ学園の生徒だったんだよ? Sクラスの。それなりに腕には自信あるんだけどね。」
「へ、ヘイムガナだと!? ヤバいのにカツアゲしちまった! お前ら、逃げるぞ!」
「ヘイアニキ!」
「ちょっと待って、私達のお金と、持っているお金、全部置いてって?」
杖(俺の)でモヒカンのアゴをクイクイとつつくクロン、
「す、すいませんでしたぁ! こここ、これで勘弁してください!」
涙目でポケットから袋を何袋か出し、逃げて行くモヒカンと、その部下。
「……お前、そんなに凄かったのか……?」
「んーとね、ヘイムガナ学園のAクラスだったよ。一番名前が売れてるのは、Sクラスで、化け物がいっぱいいるからねー、あそこは。名前出せば大体何とかなるよ。」
てことは、ハッタリだったってことか……? 度胸あるな、マジで。
「で、えーと、中身が……」
モヒカンたちの置いていった袋を物色し始めるクロン、カツアゲをカツアゲし返すなんてマジパネェっす。
「お、杖持ってるなんて中々やるじゃん。お金は全部で……金貨30枚か、結構持ってるね。」
四角い黒い棒を取り出して、しげしげと眺めるクロン、
「入ってる魔法は……ダークボールか、闇属性の低位魔法だね、まあ、ないよりマシかな?」
「……これってさ、捕まったりしないのかな……?」
今になって心配になってきた。だって、俺、あれだよ? 携帯を学校に持って行っただけで一日中ビビッてたからね?
「大丈夫だよ、ここ、治安最悪だし。じゃ、宿を探そう!」
「えー……」
自分の出身の村(町?)を治安最悪とか胸を張って言っちゃっていいんだろうか……
「えーと……あそこがいいかな?」
そう言ってネオンで飾った建物を指差す。ピンク色のネオンで飾られていて、なんだかいかがわしい感じが……
「あれ、なんて書いてあるの?」
「え、字読めないの? 仕方ないなーもう、あれはね、二人で一晩の夢を―――」
「いやいや、ちょっと待て、それ絶対にあれだろ、その、泊まるだけの目的じゃないだろ。」
「冗談冗談。普通に宿屋って書いてあるよ。」
「……はぁ……」
何でこいつはこんな無駄な嘘をつくのだろうか……
「じゃあ入ろ?」
「ああ……」
今日一日でかなり疲れた気がする……