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潮時
食料が尽きて2日たった。水はあるのですぐには死なないが、危険な状態だった。子供に優先的に食料を与えたので、多くの大人は3日間食べていない。
それでも、トルトエン副伯軍の強襲をよくしのいでいた。城門を破ろうとする敵兵を矢で、投石で、熱湯で撃退した。多方面から梯子で城壁を登ろうとした敵兵を撃退した。
そして、今日もなんとか守り切れた。
ウィンとラゲルスは、眼下の敵陣を見下ろしてから夜空を見上げた。
「そろそろ、じゃないかな。ラゲルス」
「そろそろ、ですなぁ」
「それじゃ、今夜が潮時だね」
「ですな」
「それにしても腹がへったね」
「ですな……」




