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居眠り卿と純白の花嫁  作者: 中里勇史
ラフェルス副伯領へ

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デウデリア

 アディージャが帝国直轄領の街デウデリアに再び降り立ったのは、春にしては妙に暑い5月初旬だった。

 馬車での長旅はさすがに応えた。ストルン街道は整備がいきとどいているので揺れは比較的少ないが、やはり馬車旅はつらい。

 疲れ果てた体を引きずるようにして、アディージャはウリセファが待つ娼館に向かった。あの娘との約束を果たさなければならない。


 3カ月ぶりに会ったウリセファは、さらに妖しい美しさを増していた。女のアディージャが見てもぞっとするなまめかしさだった。

 アディージャが連れてきた帝都の娼館の主人も、ウリセファの妖艶さに圧倒された。

 「こ、これでまだ15歳……なのか?」

 ウリセファは幼さの残る華奢な体つきながら、その美貌が作り出す表情は大人の女だった。男を虫けらのように踏みにじる女王の風格があった。

 帝都の娼館の主人を横目で見ながら、ウリセファはふっと笑った。3カ月前まで、精気を失い、人形のようにぐったりして毎晩男にただ犯されるだけだった娘が、男に色目を使うようになっていた。真っ赤な紅を引いた唇の間から舌をちろりと出して、自分の唇をいやらしく舐めてみせた。

 「こちらが帝都のお方ですか? で、私を買っていただけますの?」

 買われる側のウリセファが、むしろ値踏みするような目で帝都の娼館の主人を見ながら問いただす。

 帝都の娼館の主人はその言葉でようやく我に返ると、商売人の顔に戻った。

 「買おう。いくらでも出す。お前には帝都がふさわしい」

 それを聞いたウリセファは、にやりと笑った。真っ赤な紅を引いた唇が、艶やかに、なまめかしくうごめいた。

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