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居眠り卿と純白の花嫁  作者: 中里勇史
カーリルン公領へ

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帝都へ

 ウィンは一路、帝都に向けて疾走した。正確には、疾走しているのはロレルだが。もちろん、ロレルは走り続けられない。宿場町で替え馬を調達するしかない。

 替え馬の詰め所の役人は、ロレルが付けている高価な馬具を見て仰天した。本当に交換するのかとウィンに確認する。

 「しばらく預かっててくれ。皇帝陛下の馬だからね。大事にしてくれよ」

 そう言うと、受け取った替え馬に、もたもたとよじ登った。だが、ウィンの指示通りに動いてくれない。しばらく手綱を引いたり足で馬体を挟んだりしているうちに、馬が何かを諦めたようにウィンの指示に従い始めた。

 走らせた。揺れる!

 大して速く走らせていないのに、揺れが激しい。そのとき初めて、ロレルがあまり体を揺らさないように走っていたことに気付いた。フォロブロンやベルウェンやアルリフィーアがロレルに感嘆して褒めそやす理由をようやく理解した。


 「ロレルには随分気を使わせていたんだなぁ」

 「で、ウィン様。帝都に戻って、勝算はあるんですか?」

 「勝算なんてあるわけないよ」

 「それじゃその場の勢いだけで突っ走ってるんですか?」

 「アデンがたきつけたんじゃないか」

 「いや、それにしたって……」

 「考えたってどうにもならない。できることなんか何もない。単に当たって砕けろ、さ」

 「アルリフィーア様にあれだけ言って、『やっぱダメでした』じゃかわいそうですよ」

 「リフィは頭のいい女性だ。ダメだってことくらい分かってるさ。そういう女性だよ」

 急ぎたいのはやまやまだが、ウィンの技量では慣れない馬をそう速くは走らせることができない。そのうち馬も疲れたが、ウィンも疲れた。結局、ソウンで一泊することにした。


 疲れ果てたウィンが親孝行亭の一室で眠っているころ、馬に乗った一人の男がソウンを通り過ぎてダルテマイア街道を北上していった。

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