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転生したら『迷惑系美少女』になっていたので、普通に生きることを目指します  作者: ぜんだ 夕里


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59.クリスマスを祝おう!

「はぁ、もうすぐ今年も終わりか……」


 期末テストが終わり、冬休みを間近に控えたある日、教室でぼんやりしていた俺の耳に、元気いっぱいな声が飛び込んできた。


「ねぇ美玲ちゃん、クリスマス会やろうよ! せっかく冬休み直前だし!」

 声の主は、いつもパワフルな結月。彼女は目をキラキラさせながら鼻息が荒い。


「せっかく仲いいメンバーで集まってパーティしたいんだよね!」

「クリスマス会……? 確かに楽しそうだけど……どういうメンバーで?」

 俺が尋ねると、結月は勢いよく宣言する。


「翔と西園寺さんと神崎くんも誘う!」

「ああ、そのメンツね……面白そうだけど、大丈夫?」

「大丈夫大丈夫! 場所は私んちでやるから! きっとすごく盛り上がるよ!」

 結月は楽しそうに言い張り、「美玲ちゃんも来てね、絶対だよ!」と食い気味に迫る。


(まぁ、クリスマスを友達と過ごすのも悪くないか……)


そう思った俺は素直に頷く。

「うん……いいよ。じゃあそのメンバーでやろう!」


――――


 翌日、結月が「OK取れたよ!」と笑顔で報告。どうやら翔は「まぁクリスマス暇だし」と乗り気(?)だし、西園寺麗華は「クリスマス会というものに興味があるわ。行ってあげる」と気取った態度。神崎駿も「いいね、楽しそうだ」と即答したらしい。

 それで結月の家に午後集まり、夜までワイワイする流れが決定。


「お菓子や料理はこっちで準備するから、みんなでケーキ用意しようよ!」

 結月がリーダーシップを発揮している。


「まさか西園寺さんまで来るとは……」

 俺はちょっと驚きつつ、冬休み入り前の一日をどう過ごそうかと考えていた。結月の家って前に動物騒動があったから大丈夫かな、という懸念もあるが、クリスマス会なら外野もおとなしくしてくれる……だろうか。


 そして迎えたクリスマスの夕方。俺と翔は一緒にケーキを持ち、神崎はシャンメリーを抱え、西園寺は何やらオシャレなチーズやお菓子を持参して、結月の家へ到着。

 玄関を開けると、結月が張り切った声で出迎えてくれる。


「メリークリスマス! いらっしゃい!」


室内にはツリーこそ小さいものがあるが、リビングに飾り付けもしてあってすごく雰囲気がいい。


「おお、結構力入れてんな……」

 翔が感心する。

「いいね、クリスマスって感じだ」

 神崎が微笑しながら言う。

「まぁ悪くないわね」

 西園寺は上から目線をキメてる。


「みんな、適当にくつろいで! 私、オードブルとか作ったから食べてね!」

 結月がエプロン姿で台所から顔を出し、テーブルにはチキンやサラダ、ピザなどが整然と並んでいる。「すごい……結月、意外に女子力あるんだな……」

翔が感心すると、結月は照れながら「まぁこれくらいはね!」と胸を張る。


 さて、パーティ開始の乾杯を合図に、ワイワイ食事を始める。クリスマスソングをBGMにケーキを切り分け、「うまい!」とか言い合いながら盛り上がる。神崎が案外テンション高めで「これ美味しいね!」と連呼しているのが面白い。

 そんな中、西園寺が持参したウィスキーボンボンをみんなに配ろうとする。


「これ、ちょっと大人の味よ。誰か食べる?」

 結月が恐る恐る一粒口にすると顔をしかめた。

「うわ、結構お酒キツい……」

 神崎や翔は普通に食べている。

「まぁ、これくらい平気だろ」


「ちょっと私も食べてみようかしら」

ところが、西園寺がパクパク食べ始めたら、あっという間に顔が赤くなり「……んふふ」と危険な雰囲気に。


「おい、ウィスキーボンボンってそんなに強いの?西園寺、大丈夫か?」

翔がドン引きしながらツッコむ。

「そ、そんなはずないわ……酔うわけない……あはは……」

 西園寺はどんどん上機嫌になる。口調までトロンとしてきた。


「美玲、あなた、歌いなさいよ……私も歌いたい……」


 西園寺が支離滅裂に絡んでくる。西園寺は酔っぱらうと歌を歌いたい欲にかられるのだろうか?歌い魔だ。

「え、えっと……歌ってもいいけど……なんで急に?」

困惑する俺に、西園寺は腕に組みついてくる。

「クリスマス会でしょ!? 歌うに決まってるじゃない!」


「じゃあクリスマスソングとかみんなで歌おう!」

 結月も翔もノリノリだ。結局、即興カラオケ会が始まる。


 西園寺は酔っ払いテンションで「ジングルベーッル、ジングルベーッル……ふふふ……」と外し気味に歌い、俺は必死にメロディを合わそうとするが、カオスなデュエットに。翔や結月も笑い転げている。


(ま、まぁ楽しそうだからいっか……)

 半笑いのまま歌い続ける俺。わいわいと宴会的雰囲気になる。こういうのもいいかもなと思ってしまう。


 そんな楽しい時間も束の間、リビングのドアが突然勢いよく開いて、おっさんの野太い叫び声が響いた。


「メリークリスマスぅぅぅ!」


 振り向くと、そこには赤い服を着た男がチェーンソーらしきものを持って立っているではないか!エンジン音が「ブオンブオン」唸っており、クリスマス感というよりホラー映画のような光景だ。


「ひぃいいいっ!?」

 結月が悲鳴を上げ、「なんだあれ!?」と翔が椅子から飛び起きる。神崎は「やばい、殺人鬼か……!?」と冷や汗。西園寺は酔っ払っていたが、赤服の男を見た瞬間に「ひゃあ……」と気絶してバタッと床に倒れ込む。


「メリークリスマスだぞぉ!」


 陽気な口調でチェーンソーを振り回し、空気を切る音がすさまじい。刃が回転していて、本当に危険そうだ。


(やばい、本物か!?)


 俺もパニック状態。酔いながら寝転ぶ西園寺を守ろうとするが、まさかこんな狂気がここに来るなんて……!


「う、うぁあ……やめてぇ……!」

 結月は完全に涙目。既に腰が抜けてしまい、テーブルにしがみつく形だ。「なんで私の家にこんな奴が……」と半ば号泣。西園寺はピクリとも動かず酔いどれ気絶中。


「むちゃくちゃだ……とにかく止めなきゃ!」


 俺と神崎と翔は覚悟を決め、3人で一斉に男へ突進する形に。相手は一瞬驚いたようだが、チェーンソーを持ち上げかけたところで、神崎が腕を押さえ、翔が背後から足をかけ、俺が背中に飛びつく。


「くらえぇ!」「やめろぉ!」「覚悟!」

 3人で寄って集って男をぼこぼこにする。もはやタコ殴りだ。男も突然殴りかかってきた3人に怯んだのか、しゃがみこんでいる。

 エンジン音が凄いが、気合いで押さえつけると男は「わわわ、痛い痛い!やめてぇ!!」と奇声を上げ、チェーンソーを落とす。ともかく凄まじい光景だ。

 最終的に3人掛かりで床に抑え込み、テープか何かで腕を拘束しそうになったその時、男が言う。


「ま、待て……俺だよ……結月の父だ……」


「……えええええええ!??」

全員絶叫である。


――――


 男の赤い服をよく見たら、いかにもサンタコスを意識したものだが、かなり粗雑な作りだ。顔を確認すると確かに結月の面影がある。

「パ、パパぁ!?」

結月が涙を浮かべて震えながら叫ぶ。

「すまん、サプライズで盛り上げようと思って……」

結月パパが釈明する。


「いやいや、チェーンソー振り回すとかありえんでしょ……」

「俺たち完全にホラー映画かと思ったんすけど……」

神崎と翔は呆れて苦笑いしている。


「娘たちがクリスマス会やるなら、本格的な大きなツリーを用意してやろうと思ってな。裏山にいい木があったから切り出して……サプライズで持ってきたらこうなった」


 要するに『木こり的な行為でチェーンソーを使い、帰り際にサンタ服で登場したが、誤ってチェーンソー回しっぱなしで突入した』という流れらしい……


「そ、そんなの……怖いに決まってるじゃない!普通わかるでしょ!」

 結月が涙をこぼしながら父を怒ると、結月パパもしょんぼりである。

「すまん、俺も悪ふざけが過ぎた……でも、もっと盛り上げようと……」


 最終的に俺たちもチェーンソー男をタコ殴りにしてしまったことを謝罪し、相手もサプライズで脅かしたことを謝り合う形に落ち着く。西園寺は気絶したままだが、結月が水をかけたりして目を覚まさせる。


「う……うぅ……なんなの……殺人鬼がこの家に来たような……」

 寝ぼけた西園寺はそんなことを言うのだった。


 ともかくみんな「ごめんなさいね」「いえ、こちらこそ」とペコペコし合いながら、改めてクリスマス会を続行する。


「なんかとんでもないクリスマス会になったな……」

「まったくだよっ……!」

 結月と翔が言う。俺も未だに手の震えが止まらないのだった。


(こんなパーティは初めて……猿や猫よりはるかに怖いかもしれん……)


 最後はサンタ服の結月父が用意した立派なツリーをリビングに設置し、みんなで記念写真を撮る形でパーティは終幕。


「まさかこんな形で親御さんに会うとはね……」

神崎も苦笑である。でも、なんだかんだクリスマスは盛り上がった。


「来年もパーティしようね!」


 結月が宣言して、今年のクリスマスは幕を閉じたのだった。

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