表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら『迷惑系美少女』になっていたので、普通に生きることを目指します  作者: ぜんだ 夕里


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/149

58.期末テスト!

「いやあぁぁぁ……期末テストなんて聞いてない……!」


 俺は教室で、配られた試験日程表を見て絶望の雄叫びを上げていた。文化祭や修学旅行の余韻も冷めやらぬうち、もう期末テストが迫っているなんて、理不尽すぎる。

 しかも、もともと頭がそこそこ回るはずの前世の男としての記憶があるはずなのに――なぜかこの体だと、勉強内容が覚えられないのだ!教科書を読んでもスルスル記憶が抜け落ちるような感覚に苛まれている。


「はぁ、また赤点の危機だよ……」

 横の席で苦笑するのは結月と翔。彼らは比較的頭が回るタイプだけれど、油断すると赤点を取りかねないという事情もあり、同じく大慌て中だ。


「どうするよ、今回。私たち、前に鬼教官こと西園寺を呼んで対策してもらったけど……あれは地獄だったし……」

 結月が震える声で回想。そう、以前にも西園寺の熱血(鬼?)指導で泣く目を見たことがあった。翔も「もうあんなスパルタ合宿はゴメンだ……」と顔をしかめる。


「じゃあ、今回は自力でやろうよ!」

 俺は思い切って提案する。

「そ、そうだね! きっとみんなで力合わせれば何とかなるよ!」

結月も力を込めて言う。

「じゃ、放課後に勉強会か」

翔も気だるげに決めてくれた。


 翌日の放課後、俺たちは結月の家に集まることになった。理由は簡単で、彼女が「勉強道具置くスペースあるし、お菓子もあるし!」と誘ってくれたからだ。翔曰く「お前んとこは何が来るかわからんから嫌だ」とのことらしい。

(失礼な話だが、気持ちも分かる……)


 結月の家に到着すると、わりと広めのリビングに通され、部屋のテーブルを囲んで座る。

「よーし、ここで集中してやろう!」

 結月が意気込む。俺も参考書を取り出す。

「理科と英語がヤバいんだよね……」

「適当にやればいいか」

 翔は気のない態度だけど、やる気がないわけじゃなく、実際に数学やら社会を広げてやる気を見せる。


(こんな平和な雰囲気なら、何とかなりそう……)

 胸をなでおろす俺。わいわいお菓子をつまみながら問題集を解き進め、意外と学習が捗っていくように思えた。


「ねぇ、ここどうするの?」

「あ、それはこの公式……」

 雑談しつつ教科書を行き来し、笑い声も上がる。

「もうちょっと真面目にやろ!」

結月がたしなめるが、翔は気だるげに返事をする。

「これくらいの緩さがちょうどいいだろ」

俺は問題集に向かいながらほんのり嬉しくなる。

(これが普通の勉強会だよね……)


――――


 意外にも数十分は平和に勉強が進んだ。「やば、俺も結構覚えられそう!」と翔が言い、結月が「すごいじゃん」と褒めてくれる。俺も英単語が少し頭に入った気がして、「いけるかも!」と手応えを感じ始めた。

 しかし……

 いきなり「にゃー」という声が足元からする。覗き込むと、黒猫が一匹! それだけではない……ドアや窓の隙間から次々数十匹もの猫がぞろぞろ入り込んでくるではないか。

「わ、わああ!? 猫がいっぱい……!」

 結月が椅子から転げ落ちそうになって悲鳴。翔は頭を抱える。

「くっ、またかよ……」

俺はもう呆れを通り越して苦笑するしかない。

(やっぱりこうなった……)


 猫たちは「にゃーにゃー」と鳴きながら部屋を歩き回り、参考書や筆記用具を踏み越え、ゴミ箱まで漁り始める。「こら、やめろ……」と追い払おうとしても、数が多すぎて大変だ。

 結月の家の中が一気に猫カフェ状態……いや、見境のない大パニック状態に。

(楽しい勉強会が……)


 さらに、窓を開けっぱなしだったのか、猿が複数匹入り込む。

「うっそ、また猿!?」

 俺たちは絶叫。

 しかもその猿たちが「キキキ!」と奇妙な鳴き声を上げながらダンスめいたステップを踏み始めるではないか。どこで覚えたのか分からないが、リズムに合わせて踊るように見える。その姿に結月は呆然。

「え……何これ……サルダンス?」

「パリピかよ……」

 翔が吹き出す。


 しかし事態はそれで終わらず、カラスが窓からバサバサと複数匹入り込み、猫や参考書を掴んで家の中をぐるぐる飛び回るというカオスな光景が展開される。

「ちょ、待て、俺の英語のノート返せー!」

 翔が追いかけるが、カラスは天井付近を旋回して冷やかしのように鳴いている。猫はキャーキャー逃げ回り、猿はダンス継続……もうカオスの極みだ。


 大騒ぎすること数分、なんとか窓を全開にして動物たちを追い払うのに成功する。小さな傷跡や毛が部屋中に散乱し、結月は青ざめる。

「うぅ……私の部屋が……」

 掃除機を取りに走る。翔や俺も仕方なく手分けして片付ける。

 そんな中で、結月がぽつりと漏らす。

「……西園寺さんがいないと、こうなるのかな」

「やっぱあの鬼軍曹がいると、動物がビビって来ないのかもな。勉強のたびに締め出されてたし……」

 翔もと呆れたように言う。

「でもさ、あんなスパルタ勉強は嫌だよ。もうトラウマだし……」

「私もトラウマ……だけど、今回はフリーダムすぎる……」

 結月は苦笑。まぁ確かにどちらも極端というか、もう少し中庸が欲しい。


「とりあえず、勉強会どころじゃなくなったな……」

 俺たちは脱力するしかない。片付け後にはエネルギーも尽きかけており、しょうがないので少し教科書を読み合わせて終了となる。

(これでテストどうなるんだ……)


 数日後、期末テストが実施される。俺は前日に必死に独学もやったが、正直自信はない。結月も翔も冷や汗をかきながら試験会場に入り、ペンを握る。

 テスト数日後の返却タイミング、先生が「えー、今回の期末テストの結果……赤点回避者リストはこちら!」と黒板に貼り出す。俺たちは心臓がバクバク。


 なんと俺はギリギリで赤点を免れ、結月も同様、翔も辛うじてOKというスリル満点の合否結果に。「やった……救われた……」と三人で頭を垂れて感涙する。

「結局、あれだけ動物に邪魔されても何とかなるんだな……」

「私もこのしおりの一部が役立ったんだよ!」

結月はそんなことを言い張る。いや、しおりが辞典並みだったのは認めるが……。


「そして学年トップは、またしても西園寺麗華!」

 先生が発表する。クラスメイトが「やっぱさすが……」「まじ無双だな……」と感嘆する声が響く。

 俺たち三人が「や、やっぱり……」と顔を見合わせる。あの鬼軍曹っぷりでさんざん鍛えられた記憶があるが、彼女自身も超一流の学力を持っているわけだ。

(次回は素直にお願いしようか……いや、どうしよう……)


 結局、テスト期間の大騒動を経て、俺たちは「赤点ギリギリ」というギリギリの生存を果たし、西園寺麗華はまたもや学年の頂点に君臨する――そんな結末に落ち着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ