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転生したら『迷惑系美少女』になっていたので、普通に生きることを目指します  作者: ぜんだ 夕里


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24.廃校舎で肝試し!前編

「学校から少し離れた場所にある旧校舎、そこで深夜に幽霊が出るらしい……」


今の校舎とは別に、昔使われていたという廃校舎がある。すでに電気も通っておらず、物置として使われることがたまにあるだけ。夕方以降は人気ひとけがまったくない――そんな不気味な場所に、出るとか出ないとか。


「真夏に夜な夜な幽霊が出るらしいぞ」

 ――そんな噂を教室で囁く声が耳に入ったのは、夏休み前でクラスの雰囲気が少し開放的になっていた頃だ。


放課後、日野結月がキラキラした瞳で俺の方を見ながら言う。


「ねえ、美玲ちゃん……あの廃校舎の幽霊の噂、聞いた? せっかくちょっと暑くなってきたし……肝試ししない?」


俺は思わず肩をすくめる。正直、幽霊なんて本当に出るのか分からないが、そういう恐怖体験はやはり苦手だ。とはいえ、結月は楽しそうだし、どうやらこの企画に乗り気らしい。


「え、肝試し……? わ、私、あんまりホラー得意じゃないんだけど……」


「大丈夫大丈夫! 二人で入るならまだ怖くないし。というか、私、こういうの燃えるんだよね! ひと夏の思い出、みたいな!」


 まだ1学期も終わってないけど……と心の中で突っ込みながら、俺は結月の提案に頭を抱える。

 だが、彼女の興奮した表情を見ると、なんだか断るのももったいない気がする。夏祭りの時も思ったが、彼女はどうもイベントごとが大好きらしい。もはや無敵の雰囲気を漂わせている。

とはいえ、廃校舎は少し怖いし、女の子2人で行くのはどうかと思った。


「まぁ……さすがに二人だけで夜に入り込むのは危ないし、どうせなら翔を誘おう。男手があれば心強いし……」


そう口にすると、結月はぱっと手を叩いて大きく頷く。


「いいね! きっと佐々木くんも、なんだかんだ言って付き合ってくれそうだし……。あ、だったらさ、もうちょっと人数増やしてみる? この前のテストとかでちょっと仲良くなったし、西園寺さんや神崎くんも誘ってみようよ!」


「た、確かに……そういうメンバーなら寂しくないかも。西園寺と神崎は、意外な組み合わせになるけど……大丈夫かな……」


少し不安はあるが、考えてみれば、最近は試験やイベントで接点も多かった。これを機会にもっと仲良くなれるかもしれない。

俺は頭の中でシミュレーションをしつつ、「怖いのは嫌だけど……人数が多いほうがマシか」と自分を納得させる。


早速、放課後に声をかけてみると、翔は「めんどくせぇけど……ま、いいよ」とあっさりOK。神崎も「いいね、ちょっと興味あるかも」と乗り気。

西園寺麗華は最初こそ興味なさげな表情で、


「はあ? 廃校舎で肝試し? 何それ……子どもじみてるわね」


とそっぽを向いていたが、結月がにやりと笑みを浮かべ、首を傾げて言った。


「ねぇ……もしかして西園寺さん、幽霊怖いの?」


すると、彼女は一瞬言葉に詰まるようなそぶりを見せ、すぐに顔を赤らめながら言い返す。


「な、何よ……そんなわけないじゃない。別に怖いわけじゃないけど……まあ、仕方ないわね。そこまで言うなら、私も付き合ってあげる!」


むしろ「幽霊怖いの?」と言われたのが気に食わなかったのだろう。結果的に参加を承諾する形だ。……ちょろい。ちょろすぎるよ、西園寺さん。西園寺は高貴な雰囲気を漂わせているが、脳筋的な提案をしてきたり、すぐに乗せられたり……。案外単純な性格をしているのではないだろうか。


こうして、やや強引に声をかけた5人は、近々夜の廃校舎へ足を運ぶことになる。それも学校から少し離れた、人通りのほとんどない場所にある建物だ。

照明がなく真っ暗。古い机や椅子が積まれた物置として使われているだけ――そこで幽霊が出るなんて噂が広まるのも無理はない雰囲気らしい。


「……こわいなぁ、本当に大丈夫かな……」


帰り道、結月と並んで歩きながら、俺はそう呟く。

結月は笑顔を浮かべて、


「大丈夫だよ、みんなで行けば怖くない! もしかして本当に幽霊がいたら、ちょっとはビックリするけど……それも夏の思い出ってやつでしょ!」


テンションMAXな彼女を見て、俺は苦笑いするしかない。たしかに翔や神崎や西園寺がいれば、怖いだけでなく、イベントとしては盛り上がりそうだ。

ただ、何が起こるかわからない、という不安は拭えない。


こうして夜の廃校舎で肝試しという急展開が決定した。

肝試し当日、一体どんな波乱が待ち受けているのだろう――まだ1学期中だというのに、もう夏休み感満載なイベントに、俺は胸をざわつかせながら、小さく深呼吸した。


(幽霊よりも、また別のトラブルが起きるんじゃないか……でも、やるしかないよな。皆と一緒なら何とかなる、か?)


そんな期待と不安が入り混じった気持ちで、俺は結月と「また明日ね!」と手を振り合いながら、下校の道を急ぐのだった。

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