未来へ
結婚披露の宴は滞りなく終わった。
来客もそれぞれの客室へ戻り、辺りは通常の静けさを取り戻している。
朝から結婚式に披露の宴にと忙しく体は疲れているはずだった。
しかしいまだ気持ちが興奮状態なのか、ディアナはその疲れすらあまり感じてはいない。
静かな王宮の中で、ディアナはユージンと共に庭園の中をガゼボに向かって歩いていた。
二人だけの散歩を見守るのは空に輝く月のみ。
丸々とした満月から二人の上に光が降り注ぐ。
何も話さない状況も、しかしディアナは苦ではなかった。
エスコートをするユージンの腕は温かく、ユージンのそばがディアナにとって安心できる場所になっているのを感じる。
庭園の中程にあるガゼボの周辺は開けた空間だ。
そこに辿り着いた、と思った瞬間、ディアナはユージンの大きな胸に抱き寄せられていた。
「ルナリアはディアナを困らせたかもしれないが、私にとっては結果として幸運の女神だったことになるな」
耳をつけた胸から直接言葉が響いてくる。
緩く抱きしめられているその腕の中は居心地が良かった。
(女神は私たちを見守ってくれているのかしら?)
それとも、『女神の愛し子』をユエラン国へ行くように仕向けたディアナを許さないと思っているのだろうか。
(どちらでも構わないわ)
もう女神に縋ることも従うこともない。
愛し子に課せられた役割は十分に全うした。
だから、信仰対象として祈ることはあってもそれだけだ。
誰に強制されることもなく、これからは自分のために歩いていける。
ウィクトル帝国の皇后として。
……ユージンの妻として。
ディアナは腕を伸ばすとユージンの体を抱きしめた。
耳に鼓動が聞こえる。
小柄なディアナの腕は短いけれど、この腕に抱えられるだけ抱えていく。
国が繁栄するための努力も、ユージンと大事な人たちへの愛も。
二人で幸せになるために。
未来のために。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
『先視の王女の謀』ですが、本日更新した97話で完結となりました。
当初考えていた話から二転三転し、内容がだいぶ変わったため途中で迷子になりそうでしたが、無事に完結できて良かったですσ(^_^;)
連載中はブックマークや評価、リアクションをいただき本当に感謝しています。
ディアナの話はフォルトゥーナとウィクトル帝国との話でしたが、実は同じ世界観でエスペランサ王国の話も考えています。
どちらの話を先に始めるか迷って、結果としてフォルトゥーナの話にしました。
『辺境の令嬢は王子の愛を求めない』
エスペランサ王国の話は↑のタイトルを予定しています。
またどこかのタイミングでお披露目できればと思っていますので、見かけた際にはよろしくお願いいたします。
また、現在『異世界に行った、そのあとで。』という話を連載中です。
よろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです(^_^)
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2025.7.22 追記。
新しい話を二作公開しました。
一作目のタイトルは『クズ男と別れたらハイスペックな後輩に溺愛されました。』です。
こちらは全11話の短編となっており、すでに完結しています。
二作目のタイトルは『あなたに捧げる愛はもうありません。』です。
よろしければブックマーク登録や評価をしていただけますととても嬉しいです。




