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【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)  作者: 神宮寺 あおい@受賞&書籍化


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王女の気持ち

 ユージンから皇后へ就くことを断ってもいいと言われてディアナの心は沈んだ。


(なぜかしら?)


 今まであまり考えたことはなかったが、ここにきて初めてディアナは自分の心の中をのぞき込んでみる。

 自らの気持ちを知るのはある意味痛みを伴うことでもあったディアナにとってそれは大きな進歩だった。


(私はユージン殿下の妃になることは嫌? ……いいえそんなことないわ)


 ならば何が引っ掛かっているのか。


(帝国の皇后として生きていくことに抵抗がある? それも違うわね)


 女神の神託次第とはいえ、そもそもがイーサンと結婚して皇后になるつもりでこの国にやってきたのだから。


(むしろ皇后として立ててくれるなら私としてはとても助かること)


 ではいったい何がそんなに自分の心に影を落とすのか。

 自問自答を繰り返すこと何回か。

 

 そして。

 不意に。

 天啓のように。


 ディアナの心に一つの答えが浮かんだ。


(…………!?)


 ディアナが心の中で問いを繰り返している間、はたから見ればお茶を楽しんでいるように見えただろう。

 しかしディアナの内心は吹き荒ぶ嵐のように混乱している。


(私は……ユージン殿下に特別に思われたいと思っている……?)


 ディアナとユージンの関係は、表立ってはいずれ『義理の姉と弟』になる者だった。

 皇后と皇弟、ただそれだけの関係。


 しかしイーサンの件を調べる内にその関係は近くなっていった。

 特にディアナにとっては自身の境遇を打ち明けることができた稀な相手だ。


 気づかなかっただけで既にその時点でユージンはディアナにとって特別な相手だったのだろう。

 

(私は今まで自分の苦しみをアラン以外に打ち明けたことはなかったわ)


 そのアランはそもそもディアナの実の兄で、ディアナのために自身の将来を捨ててくれた人だ。

 ある意味特別な相手ではあるが血のつながりがある時点でユージンとは全然違う。


(特別……他の人とは違う存在……)


 気づけばその事実はとてもしっくりくる答えのようで。

 とても驚くと共に心の中にスッと腹落ちした。


 そしてディアナは自分の人生で一番動揺することになる。


「ディアナ嬢?」


 だから、ディアナにしては珍しくユージンの呼びかけに気づけなかった。


「ディアナ嬢?」


 先ほどよりいくぶん大きな声で呼ばれた声にもやはり気づけずにいて。


「ディアナ嬢! 体調でも悪いのだろうか?」

「は……はいっ!?」


 三度目に呼びかけられてやっと答えることができたのだが。

 問いかけに対する答えとしてはまったくそぐわない声を出した自分が恥ずかしく、珍しくも頬に血がのぼった。


「顔が赤いな……熱でもあるのか……?」


 心配そうなユージンの顔を見て、ディアナは自分がずっと自身の思考に沈み込んでいたことに気づく。


(一緒にお茶をしていながら相手の存在を忘れてしまうなんて……)


 失態、だ。

 ディアナにとっては失態でしかない。


「た……体調に問題はありませんわ。もちろん熱もありません」


 ディアナの返答にユージンが安堵のため息をつく。


「なら良かった。このところは頭を悩ませる問題が多かったからな。それも今日で一区切りだが」


 そう言ってから姿勢を正すとユージンはしっかりとディアナを見た。

 

 ユージンが何か大切なことを伝えようとしている。

 なぜかそう思って、ディアナはそらすことなくユージンの瞳を見つめ返した。

読んでいただきありがとうございます。


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