解呪
フィリアを捕らえたことによってイーサンにかけられた魅了の力を解呪することが可能になった。
とはいえことは秘密裏に行わなければならない。
その日イーサンの寝室に集まったのはディアナとユージンの二人だった。
部屋の入り口にはディアナの護衛のアランとユージンの護衛のカーライルが待機している。
フィリアが魅了の香水を今までよりも強くかけていたせいか、このところのイーサンは時々錯乱状態になっていた。
そのせいもあり、さらには解呪のためにも、王宮医師によって薬効が計算された薬で現在イーサンは眠りの中だ。
その間にディアナはマレフィクスの調合した解呪の香水を使う。
「魅了の香りはフィリア嬢以外はかかるというが、解呪の香水はどうなのだろうか?」
素朴な疑問とばかりにユージンがディアナに問いかける。
「それぞれを違う方が調合した場合は難しいと思いますが、今回はどちらもマレフィクス卿が調合しています。彼は魅了の香りをかけられた者にだけ効くようにこの香水を作ったと言っていましたわ」
「マレフィクス卿の言うことが信用できるかどうかが悩ましいところだが……」
ディアナの返答にユージンの眉間に皺が寄った。
「ここにきて彼が偽るとは思いません。そんなことをしても何の得もないのですもの」
(女神の愛し子を手に入れる契約をした今は尚のこと)
そうやって話しつつもディアナは手早く準備をしていく。
香水はたいてい手首や首筋にそのまま使うことが多いが、今回はイーサンが眠っていることもあり部屋全体に香りを行き渡らせるつもりだ。
小分けした解呪の香水にリードスティックを入れてイーサンの枕元近くに置く。
実際に香水が気化して香りが広がるには一、二時間かかるだろう。
そして今日は香水がなくなるまでこのままにする予定だった。
リードディフューザーを使いイーサンの部屋を解呪の香水で満たし続ければその効果は持続する。
「ある程度解呪の香水が効き始めたらイーサン陛下の様子も変わってくるのではないかと思いますわ。そうなれば今後のことを陛下とご相談することも可能になるかと」
「今後のこと……」
「フィリア様の罪をどう問うのか、さらにはその他のこともですわ」
ディアナはあえて言葉を濁したが、ユージンはこれから帝位継承順位第一位の立場として判断をしなければならないだろう。
『一度でも精神侵害を受けた者は帝位を継ぐ、もしくは維持することはできないと定める』
その一文が帝国法に記載されているのだから。
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