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01.邂逅

 なんてことのない公立中学を卒業して、私は晴れてこの春に高校生となった。

 高校は隣町で一駅分の距離があり、私と同じ中学からこの高校に進んだ生徒は少なかったようだ。

 人間関係をリセットするつもりで、私は真新しい制服に身を包む。決して中学でいじめられていたとか、そういうことではない。けれど特別仲の良かった友人がいたかと言われると、それも違う。

 だから心機一転なのである。


 グレーのブレザーは大人びた落ち着く色合いで、そこに黒のワイシャツ、そして胸元に彩る深い緑色のりぼんが品良くまとまっていて可愛い。スカートもブレザーと同色で、ヒラリと舞うようにその場で一周ターンを決めれば、涼やかに広がる。


 今日から高校生。さてどんな学校生活になるだろうと心を躍らせながら通学のバスに乗り込んだ。

 残念なことに私の家から駅までは地味に距離があり、駅まで歩くよりバス停の方が近い。

 このバスは高校前にも停留所があるので、バス通学の方が適しているのだ。


 車内は静かだ。見れば一番奥の席に男性が乗っているだけだった。

 いくら田舎とはいえ、通勤通学の時間帯にこれだけ人がいないのも不思議である。

 と、男性とカチリと目が合った。その瞬間、耳元でちりん、と鈴の音。


 ビックリしたが声は出さなかった。周囲を見渡しても鈴の音の鳴りそうなものなど見当たらず、私はまた奥の席の男性を見やる。


「どうして」

 今度はさすがに声に出してしまった。

 奥の席に男性など座っていなかったのだ。

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