12話目 疑惑 第17師団の思惑か
おばちゃん、そう言うことかって、何か悟ったことがあるのか。
"断定はできないけど多分そうだわ。
聞きたい? "
おしえてくれよ。
"わかった。リュウ君だけにこっそりとね。
だからもっとこっちに来て。
他の人には聞かせたくないの、重要な事だから。
耳打ちできる距離まで来て。"
控室に入ってきて、俺とおばちゃんはそれぞれの荷物二つ分の距離を於いて立っていたが、おばちゃんが内緒話をしたいから近くまで来いというので、俺は素直におばちゃの隣に移動した。
おばちゃんは俺の片耳の近くに手を当てがって、ひそひそ話を・・・・・
えっ、俺の手に抱き付いてきた。
あぁっ、メロンになりつつある例のものが2個もむにゅ~っと。
これはやばい、俺は反射的に、御子息様が暴れ出しそうになるのをかばって、前屈状態に。
"エレン教官を見て、暴れ出しそうになった罰よ。
私ので暴れさせてやるわよ。"
あぁぁぁっ、俺が迂闊だった。
おばちゃんとなら離れていても念話で2人っきりの話ができるんだったぁ。
"もう、リュウ君はエッチなんだから♡。
エレン教官の揺れるのを見て、私のを触りたくなったなんて。
さぁ、遠慮なくどうぞ。
さっ、さっ。"
おばちゃんはそう言うとさらにぐりぐり押し付けてきた。
傍から見ると教室ぐらいの広さの場所で60人近い人目があるというのに、何を乳繰り合ってんだぁと言われるところだ。
しかし、皆はエレン教官と肉壁ちゃん女子のやり取りに思いを深めているのか、誰も俺の惨事に気付く者はいないようだった。
"ぷっは~っ。気持ちよかった♡。"
えっ、おばちゃんが?
"リュウ君が私のぷよ~んを喜んでくれたのがうれしくて。"
まっ、それは、ねっ。
えっ、とぉ。
それよりもさっきわかったとことを教えてよ。
"その前に、第17師団の最前線の現状を知ってもらわないと。
まぁ、私も噂で聞いただけなんだけどね。"
第17師団の最前線、俺たちが初めての実地訓練で、魔族の偵察部隊と思われるものと接触したところだよね。
"そうよ、よく覚えたいたわね。
褒美にもう一度ぷよ~んをくらえぇぇぇ。"
おばちゃんは一度放した俺の腕を再び抱き締めてぐりぐり。
"えへへへ。うれしい? リュウ君。
でっ、その第17師団なんだけど、ここ一年で魔族軍に攻められっぱなしで、徐々に戦線が後退しているっていうのよ。"
負け続けているっていうのか、第17師団が。
"それも正面から戦って、負けて後退するんだったらまだ対策のしようもあるんだけど。増援部隊を送るとか。
なんか、側面からちくちく、突然後ろに現れてファイヤーボールをぶつけられたり、いつの間にか正面に大きな落とし穴を仕掛けられて、進軍しようとしたら一個中隊がまるまる埋まったり。
何かいやらしい攻撃を受け続けて、それで士気が下がって、そこに魔族軍が攻撃を仕掛けてくるものだからズルズルと後退しているっていう話なのよ。
特に突然後方に現れてちくちくされるのが応えているらしいわ。"
第17師団に対している敵が精神的に揺さぶってきているっていうとか。
普段は攻められても押し返せるのに、精神的にも肉体的にもちくちく削られているから、押し返すどころかズルズルと後退せざる負えないって言うことか。
"そういうことらしいわ。"
それで、そのちくちくいやらしい攻撃をしてくる敵にどう対処しているんだ、第17師団は。
"そんないやらしい敵がいるのは当然わかっているんだけど、その姿を捕らえたことは一度もないとのことよ。
昼夜を問わず、徹夜で交代して索敵してもその実態を一度も捉えていないんだって。
それどころか、いきなりファイヤーボールを頭に食らって、アフロヘアーに。
まぁ、突然の攻撃を食らってそのまま逝っちゃうことはあまりないとのことだけど。
探していた敵は見つからず、逆にファイヤーボールを食らってアフロヘァー、毛根のやられた頭の天辺付近はやがて抜け落ちてザビエル君状態に、将来を悲観し退役して教会に転職という流れが第17師団の中で蔓延し始めているとかしていないとか。"
うあぁぁぁ、いきなりお前は一生ザビエル君だなんて言われたら、将来を悲観するわな。
徐々にだったら諦めも付くけどね。
何度ザビエル君の兄弟になっても普段と同じように暮らしていけるエンはやっぱり、心臓に鋼が生えてるってことか。
めげずに小遣い貯めて毛根を復活させているしな。
あいつの小遣いはすべて毛根に注ぎ込んでいるんだってよ。
"リュウ君のお小遣いはこれから私がすべて預かるから、毛根の復活に使うなんて無駄遣いはさせないから。
これからは「リュウとジェンカの幸せ駄菓子屋設立基金」に預けることになったから。
でも安心して、私は鬼じゃなくて可愛いお嫁さんだから、毎日アンパンを一個買えるぐらいのお小遣いは渡すつもりよ。"
いつの間にかおばちゃんが「可愛い」お嫁さんになって件について一言。
"いやなの。それじゃこれはどう。
かわいいお嫁さんはこんなことも出来ちゃうわよ。"
おばちゃんは俺の手を離して、背中に抱き付いてむにゅむにゅ。
ごめん許してぇ、本気で御子息様が爆発するから。
皆が下を向いて物思いに沈んでいるからばれてないけど、これ以上やったら軍法会議だから、服務規程違反で。
勤務時間中、戦地に赴く前に何をやってんだって。
"ふっ、これぐらいで勘弁してやるわよ。
私はリュウ君に従順な可愛い清楚なお嫁さんなんだから。
でっ、得体の知れない第17師団と対面している敵って聞いて、なんかピンとこない。
あっ、御子息さんがピンピンとしているのは知ってるから。
今晩まで我慢してね。"
誰のせいでピンピンしたんじゃ、もう。
それにここまでやっておいて、清楚はありえんだろ。
"じゃぁ、従順な可愛いお嫁さんというのは認めたのね。
うふふふっ、うれしい。"
あっ。
これ以上突っ込むと、どんどん人生の墓場に引きずり込まれそうだ。
ここはザビエル君の話に戻す、いや、第17師団の怪奇現象の方だったか。
"もう後戻りはできないからね。あがけばあがくほど蟻地獄の砂の山は上れないからね。"
えっとぉ、そっかぁ、初めてのお使い、じゃなくて。
実地訓練の時に遭遇したと思われる魔族の偵察部隊がその怪奇現象を引き起している、ザビエル君の兄弟を量産して、第17師団の戦力を低下させているんじゃないかと言うことかな。
"そっ。
そして、その怪奇現象を引き起こしている魔族の姿を唯一捉えたのがエン君で、偵察の意図を挫いたのが私たちの中隊と言うことよ。"
でも、捕らえた姿もすべてそいつらの幻影魔法の可能性もあったよね。
"その幻影魔法すら捉えていないんだから、第17師団は。"
じゃぁ、今回、俺たちの実戦訓練は魔族の怪奇部隊を探せってことなのかな。
"それだけで親しい相手に手紙を書けだの、身辺を整理しろだのとは言わないと思うの。
ザビエル君になるだけなら。"
もっと厳しい戦いがあるとおばちゃんは思うのか。
"第17師団では新たな侵攻作戦を考えているんじゃないかと思うの。
怪奇部隊を探すというより、余計な手出しをさせないためにそいつらを牽制しつつ、本体を叩き、失った地域を回復するというのが作戦の概要じゃないかしら。"
怪奇部隊を探しつつ、そいつらを叩ければよし、叩けなければそいつらを牽制しつつ魔族軍の本体を攻略する手伝いをしろっていうのが俺たちが今回特別に呼ばれた訳ってことか。
"それを出来そうなのが私たちの中隊、いえ大隊だと軍司令部は考えているんじゃないのかな。"
えっ、学生の部隊にそんなことを要求すんの。
何か良いように使われているんじゃないのかって思うんだけど。
"でも、断れないし、逃げられないわよ。
訓練とはいえ、実戦だから。
まぁ、精々活躍して金一封を二封、三封にしましようか。
二人の愛の駄菓子屋開店基金の為にもね。"
そういうと漸くおばちゃんは、俺の顔を見るためか背中から俺の隣に戻って来た。
まぁ、今度は手をつないでいるけど。
"一生、逃がさないわよぉぉぉぉ。私のお婿さん。
でへへへへへっ。"
ここにも怪奇現象がぁ。
ここまでの成果
魔力回復: 38+9%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 15時間51分
(よし早速、バンバン稼ぐぞう。ポチ、ビビらず突撃だぁ。(おばちゃん談))
(魔族と戦うことは覚悟をしていたけど、そのさらに将来、軍を退役した後の方が心配なんですけど。)
(退役した後はこんな可愛い清楚なお嫁さんと昼間はイチャイチャ駄菓子屋さんで働いて、夜は散々新妻の私を好きな様に弄ぶんでしょ。
それって、バラ色の人生でだよね。(おばちゃん談))
(俺なんて現時点で既に弄ばれているような気がするるだけど。)
(ポチは細かいことは気にしなくていいの。何度も言うけど、私の言う通りにしていればバラ色の人生が送れるんだからね、ポチは。(おばちゃん談))
(このままいくと人生が折れそうな気がするんです。
おばちゃんの攻勢に負けてスキルダウン。でも、その鼻息でボーナスUP。何故だ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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