10話目 強い日差しの下での攻防 凶器 vs ラッキースケベ
"それよりもリュウ君も手紙を書いたんでしょ。"
まぁ、絶対書いとけと言われたからな。
書かないと落第、紙様に進化と言われればね。
手紙一つで酷い扱いだよな。
"誰宛てに、お父様に。"
まぁね。多分手紙なんて出しても、めんどくさくて最後まで読まないと思うけど。
頭を使うの苦手だし。
父ちゃんの脳みそは母ちゃんだしな。
下半身は野獣かな。
いずれにせよ頭を使ってないよな。
"・・・・・お父様は知的活動が苦手ってことね。
えっ、ちょっと待って。
それって脳の老化が急激に進んで痴呆症になり易くないぃ。
ただでさえ肉壁ちゃん出身者ってやばいって言うし。
ということは長男の嫁の私がお父様の面倒を見るってこと。
せっかく駄菓子屋と青空子供道場を二人で軌道に乗せるはずが。
徘徊するお父様を探して歩く日々に。・・・・・"
この間、珍しく父ちゃんから、おそらく母ちゃんに言われた通りに書いたんだと思うけど、手紙が来て早く孫の顔か見たいみたいなことが書いてあったな。
ムラっときた女の子を草むらで押し倒したら、そのまま速攻で家に連れて来いだってさ。
パートで司祭をしている母ちゃんの立ち合いで、即日に結婚式を挙げてやるだって。
何を考えているんだか。
"・・・・・・何て話の分かるお父様なの。
押し倒されたことにすればリュウ君のお嫁さんにしてもらえるなんて。
よし、やっぱりお父様の面倒は長男の嫁である私の役目ね。
良いわよ。お父様にリードを付けて面倒を見ればいいわよね。
私たちの赤ちゃんの散歩のついでに見ていればいいんでしょ、迷子にならないように。
リードの扱いは火力バカ共で訓練すればすぐ慣れると思うし・・・・・・"
「リュウ君、私は大丈夫だから。安心して。」
おばちゃんは両手を握り締めて、真剣な顔を俺に向けてきた。
何が大丈夫なんだ。
何を安心しろって言うんだ。
「他には手紙を書いた? 」
「母ちゃんに書いたな。
まぁ、元気にしているってことを一言程度だけど。」
「母親は子供のことをあれこれ心配しているから、ちゃんと近況を報告して安心させてあげた方が良いんじゃないの。」
「そうかぁ、この前きた父ちゃんからの手紙だと、俺が肉壁の穴に入ってから食費がぐんと減ったためかこのごろ母ちゃんの機嫌が凄く良い書いてあったけど。
それと同封してあった母ちゃんの手紙には報奨金をもらったら全額送ってくるように厳命されたんだけど。」
"・・・・・・えっ、お姑さんもリュウ君が稼いだ報奨金を狙っているの。
報奨金を取り上げられたら、お弁当屋さん、いえ、駄菓子屋さんの開店資金でさえが不足するかもしれないないわね。
報奨金を取り上げられないようにしばらくはリュウ君を実家に戻すのはだめね。
そうだ、駄菓子屋さんを開店して、子供を授かったら、出産祝いを持ってこっちに来てもらえばいいんだわ。
孫の顔を見れば財布の紐も緩むってもんでしょ。・・・・・・"
俺の言葉におばちゃんは腕を組んで何か考え込み始めた。
とんだけ報奨金に拘るんだ、おばちゃんは。
「母ちゃんが言うには、俺が報償金なんかのあぶく銭を持っていると全部アンパンの買い食いに使っちゃうから。
将来、俺が結婚したら新婚生活のために必要なものをそろえられるように報奨金を貯めてくれるってさ。
当然、その貯金は全部押し倒したお嫁さんに渡されるって。
俺が命を張って稼いだ報奨金を取り上げられた上に、嫁さんに渡すなんて鬼ババァのすることだよな。」
"・・・・・・ナイス、お姑さん。
リュウ君の性格を良くわかっていらっしゃる。
今すぐご挨拶に行きます。
報奨金だけじゃなくて、給料の1/2を預けます。
あっ、私が預かっても良いわよね。
お姑さんの手を煩わせずとも私が預かればいいのよね。
まぁ、それを含めてちゃんと相談しないとね、お義母様とは。・・・・・"
おばちゃんが何か悩んでいるような顔から、急に破顔した。
短時間にころころ変わる顔だな。
百面相の練習か。
実戦訓練の最終日にあるという親睦会で披露すんのか。
これから戦場に向かうというのになぜか百面相の練習を始めたため、さらに周りから引かれたおばちゃんと二人っきりで校門の前で待機すること10分。
校門の中からある一部をぶるんぶるんいわせながら担任のエレン教官が登場した。
俺はおばちゃんに腕を掴まれて引き寄せられてぷよ~んで既に前かがみ状態、プルンブルンを見逃したぜ。
エレン教官の登場でさらに何人ものすごく健康的な男子生徒か一緒に前かがみになってるのが、周りのクラスメートに距離を置かれているだけに良く見て取れた。
"リュウ君が前に倒れそうなのは私のせいよね、ねっ♡。
エレン教官じゃないわよね。"
その通りでございます。
"よしよし、愛い奴、愛い奴。
今晩、ギュッと抱きしめて♡、ブラッシングしてあげるからね、ポチ。"
あの~ぉ、今から戦場に行くんですよね、俺たち。
何だこの色ボケした雰囲気は。
校門の外に出たエレン教官が右手にノートを左手は腰に当てて仁王立ちして、口を開いた。
もちろん、それだけの行為で揺れる揺れる。
ますます、前かがみの角度が深くなっていく弩スケベ共。
俺はなぜかおばちゃんの殺気に当てられて御子息様が休憩状態に移行し始めたから大丈夫だぞ。
シャキ~ンっと立った。
あっ、御子息様のことじゃないぞ。俺の背骨のことだぞ。
勘違いはしないでね。
「みんなぁ、元気がないわね。
特に男子、そんなに下ばっかり見て。
これから戦場に行くっていう緊張感はわかるけどもう少し元気を出して前向きにならないと。
そんな消極的なことじゃぁ、敵と接触した時にパニックになるわよ。」
いや、下向きにさせているのはあんたのあの揺れに揺れる凶器せいだよな。
それに元気がないって言うけど、元気があり過ぎて下を向いているのを察してほしいんですけど。
周りの女子生徒はそんな前かがみの集団にG様を見るような視線を投げつけていた。
おばちゃんはエレン教官のあの凶器にめらめらとする視線ビームを送っていたが。
そんな状況になっているのを知ってかしらずか、エレン教官が話を続けた。
もしかして、この状況を一番わかっていないのがエレン教官か。
目の前で起こっていることを把握できていないこの人が大隊の本部で指揮を執って、俺たちは無事にこの校門に戻ってこれるのか。
"いざとなったらその凶器を魔族軍に差し出せば良いんじゃない。
降参です。
最終武器は差し上げますって。"
おばちゃん、教官を見捨てるのか。
それって、人類の損失が大きいんじゃないのか。
歩いてくるだけで人類軍の半分(意訳: ♂ども)が過剰に元気になって士気が上がるんだぞ。
"でも、前に進めなくなるわよね。
元気になるけど動きが悪くなるのよね。
ちなみにリュウ君は私の手で元気にしてあげるからね♡。"
えっと、教官の話を聞くことに集中しようか
校門で俺たち大隊の戦力が半減しちゃいそうだから。
"今はこれ勘弁してあげる。でも、今晩は♡。"
あぁぁぁぁぁ、また"今晩"が復活したぁ。
魔王の復活だぁ。
「それでは今から実戦訓練地に向かって出発します。
装備品の確認は済みましたか。
特に魔法を転写する魔道具を忘れてはいませんか。
毎年、全ではないけれど2~3個持ってくるのを忘れる奴がいるので。」
歩く凶器のお言葉に反応して、俺は腰や腕、そして、ブーツなどの俺の魔道具を装備している場所をまさぐった。
よし、何度も確認したから大丈夫だ。
さぁ、戦地に向けて出発だ。
ここまでの成果
魔力回復: 39+8%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 15時間20分
(いやぁぁん、私の足をまさぐって、前かがみになるなんて。
これは行軍中に草むらで押し倒されるのが確定ね♡(おばちゃん談))
(俺は慌てていたため、俺のブーツじゃなくて、俺にピタッと寄り添っていたおばちゃんの足を軽くさすってしまったのだ。
ちなみに前かがみになったのはブーツを触るためだぞ。)
(もう、そんな言い訳しなくても「今晩」幾らでもまさぐらせてあげるわよ♡(おばちゃん談))
(おばちゃん、あんたはこれから何をしに行くつもりなんだ。
そんな疑惑でスキルがdownしちゃったよ。
でも、ラッキースケベでボーナスUP。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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