表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/215

3話目 春風がひとを変えていく、御趣味がお替りになりましたのね

中隊のメンバーは春に彩られた道をそのすべてを堪能するかのように校舎に向けてゆっくりと歩く。

そんなのどかな登校も校舎が近づくにつれて、何か甲高い悲鳴のようなものが聞こえてきて、棘のようなちょっとした刺激が混じってきた。


「弩スケベの奴がまた、肉壁の穴の玄関先に陣取って、行き交う女生徒にパンツの色でも聞いてんじゃねえのか。」

「またなのぉ、年度末の休暇で汚物君が実家に帰っていたので、学校がしばらくは静かだったのにね。

いい加減に、そういうことをしちゃいけませんと体に覚えさせないと。

は~っ、3年生最初の仕事がゴミ捨てか。」

「エリカちゃん、電撃は動かなくなる、気絶程度に勘弁してあげてね。

あくまでも教育なんでしょ。

黒焦げはまずいから。

あっ、手が滑ったということもあるけどね。

その場合は不可抗力で済ませればいいよね。」


おばちゃんそれって、黒焦げでいいよねって弩S様を煽ってるよね。


その時、勝手にどっかに行きそうになる駄犬共(意訳: 火力バカ共)のリードをぐいぐい引っ張って、魔牛乳帝様が話に交じってきた。


「ごみ捨てなんて面倒だから、俺が一気に灰にすればいいんじゃねぇのか。

あっ、俺がそんなことすんのは面倒だから、この駄犬共にやらせても良いな。

2週間の春の年度末休暇で離れていたら、こいつらいまいち俺の言うことを聞かなくなってんだよ。

今も勝手にどっか行きそうになるし。

建物にマーキングはダメだっと何度言ったら。

こんな調子なんで、指示通りに動けるようにみっちり訓練をしていかなくちゃな。」


去年の今頃は何かと俺に絡んだ来た魔牛乳帝様は、俺よりも駄犬共と戯れていることの方に面白みを見出したらしく、朝な夕なにリードを持って散歩をするのが日課になっているようだ。

ときどき、ぐえっ、牛ガエルが馬車に引かれた時のような声が聞こえるのは寮での風物詩になりつつあったのは御愛嬌だ。

あれって、駄犬どものマーキングをやめさせている音だったんだな。

首絞めて楽しんだいたわけじゃないんだ。


「シュリちゃん、汚物は生ごみなんだから燃えずれぇぜ。

火力バカ共にやらせると勢い余って校舎まで燃やしちゃうからやめとけ。

それよりもスナイパーさんに奴のケツに新しいに穴を開けてもらった方がおとなしくなるんじゃねぇのか。」

「ボルバーナちゃん、それはそれで汚物君だから大騒ぎしそうだよ、いつの間にかお尻に穴が開いて。血が噴き出てるって。

いきなり切れたぁ、何で切れたんだぁ。何を俺のケツに入れたんだあぁってね。

あっ、あああっ、ちょっと待って。

先に行ってても良いわよ。」


弩S腐女帝様がいきなりその場でしゃがみこんで、かばんからおもむろにメモ帳を取り出した。

そして、何か一心不乱に書き始めた。

やがて手が止まると思案顔になり、今度は俺の方を見てはっと目を見開き、ニタァと笑ったと思ったら、また熱心にメモを取り始めた。


"エリカちゃんのあのメモ帳。"


弩S腐女帝様のメモ帳がどうしたんだ、おばちゃん。


"噂のうっすい本のネタ帳なのよ、確かあれ。"


ネタ帳?

エンの奴へのお仕置をどうするかの今のやり取りで、うっすい本のネタなんてあったか。


"よくわからないけど、あの顔からするとエン君とリュウ君で何か思うことがあったんじゃないのかな。"


えっ、俺がうっすい本に登場しちゃうの!!


"何言ってんの、今更。もうとっくに常連さんよ。

あっ、相当に美化されているし、偽名も使っているようだから、誰もリュウ君のことだなんてわかんないから、安心して。

多分だけど。"


それって安心して良いのか。

それにおばちゃんは見たのか、そのうっすい本を。


"さぁ、どうでしょうかねぇ。

でも、リュウ君に関することなら本人よりも良く知っているかもよ。"


うぁぁぁぁ、確実に読んだんだろう、その言い方からすると。

俺の知らないところで、そのいけない愛好家、腐〇子の間では俺は有名人になのか。


"その手の女〇愛好家の間でリュウ君が人気者なら、私は安心だわ。

何か共存できるような気がする。

魔牛乳の奴のように、リュウ君にグイグイ迫っていくタイプじゃ心配だけどね。

遠くから素知らぬ顔で、内心ワクワクしながら成り行きを見詰めて、期待通りの展開になったらそっとクスクス笑っているぐらいが良いのよ。"


おばちゃんは何と共存するつもりなんだぁ。


おばちゃんの共存できるタイプとは何だと言うことを考えていると、気が付いたら玄関の前に着いていた。

そこには、エンが声を掛けようと女子生徒に10m近づくと悲鳴を上げて、逃げて行くというお約束の光景が展開されていた。


エン、どんだけ嫌がられているんだ。

気付けよ、少しはおとなしくしろよ。

いつまでたってもリアルな女子と仲良くできないぞ。

2Dの方が良いなら、弩S腐女帝様に土下座して、身を捧げて、うっすい本の別バージョンを作ってもらえ。


相変わらず成長していないエンをあきれてみていると、魔牛乳帝様がおばちゃんの肩を軽くたたいてきた。


「じゃぁ、ジェンカ、こいつらのことは頼んだ。

3号にファイヤーボール・レベル1を転写しておいたから、後は煮るなり焼くなり好きにしてくれ。

できれば一発であの弩スケベを沈めてやれ。

リンダ、行くぞ。

お前はこっちだろ。

いい加減に背中から降りろ、遅刻すんぞ。」


魔牛乳帝様はそう言って、おばちゃんに5色のリードを託した。

そして、素直にお淑やかな大男さんの背中から下りてきた童帝様と手をつないで、魔法学校の玄関の方に歩み去った。

ちなみに、弩S腐女帝様はまだいかがわしいメモを作成中らしく、その姿はこの周辺には見当たらなかった。


あの二人どう見ても親子だよな。


「ちぇっ、漸くペーターの背中から下りたか。

しつけぇな、全く、御チビ帝も。」


凶暴幼女よ、童帝様はお前をチンチクリンな奴だと思っているぞ、きっと。


「おばちゃん、託されちゃったけど。

どうすんだエンの奴を。」


「スナイパーさん、エリカちゃんの期待に応えてあげて、やっちゃって。」


俺たちの後方から静かについて来ていたスナイパーさんは軽く頷くと、ポケットからなにやら弾のようなものを出して、持っていた筒に差し込んだ。


うぁぁぁ、マジで狙撃すんのぉ。

その弾はどうした。

童帝様からあらかじめ作ってもらっていたのか。

或いは、考えたくもないが、火力バカ共をおとなしくさせるため、魔牛乳帝様があいつらを〇勢した時に出た"たま"を乾燥させて、弾にしたものとか。


"それはないんじゃないの、火力バカ共はあんなに元気なんだし。

それに、今朝、魔牛乳たちと合流した時にその谷間を見て、前かがみになっていたよ。"


兎に角、このままではエンの尻に新たな穴が開いて、新学期早々変な騒動に巻き込まれるそうだな。


「エン、教室に行くぞ。遅刻するぞ。」


エンをこちらに振り向かせるため、大声で呼びかけた。

エンは俺たちに気が付いたらしく、こちらを見返してきた。


「わかったよ。もうそんな時間か。

よし、教室に行こうか。」


えっ、今日はやけに素直じゃないか。

いつもなら、遅刻して来る女の子がいるかもしれないからもう少し粘ってみるとか言って、遅刻しようが何しようが付いてなんてこないのに。

熱でもあんのか。


スナイパーさんもあまりに予想していない展開に、無意識に握った狙撃用の筒先を下げていた。


「3年生の自覚が出てきたとか。」

「ジェンカちゃん、それはねぇな。

だったら、玄関に朝一から居座ってねぇよ。」


「じゃぁ、ないとは思うけど、お天道様が西から登ってもないとは思うけど、お付き合いしている女子ができたとか。

それで少し他の女の子に興味がなくなってきたとか。」

「弩阿呆、お前の頭にはやっぱり冬の間にカビが生えたミカンが詰まってんのか。

あの弩スケベに近づく女なんていねぇぞ。

遠目に顔が見えただけでも一日中、嘔吐感が消えないって言われてんだぞ。」


「じゃぁ、女の子から男の子に興味が移ってきたとか。

妙に弩阿呆君の言うことには素直だし。」


うぁぁぁぁ、いつの間にか鼻息を荒くした弩S腐女帝様が俺の後ろにいやがったぁぁぁぁぁ。


ここまでの成果

魔力回復: 13%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 29時間2分

(あってはならないエンの趣向の変化にスキルが駄々下がりだぁ。)

(まさか、リュウ君も・・・・・、ケツに新たな穴なんて開けたら弩スケベの思うつぼじゃない。

ここは火力バカ3号に灰にしてもらうしかないわね。(まさかの展開にわなわな震えるおばちゃん))

(やっぱりそういうことね。これは見逃してはいけないわね。(すべてを見逃すまいと、メモを片手に鼻息を荒くしてガン見している弩S腐女帝様))


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ