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7話目 あっちの世界の方でしたか

突然に声を掛けてきた教官に俺たちはそろって疑問の目を向けた。

俺たちのチームだけに何の用があるんだ。

確かにホームルーム中ではあるが、皆は新しいチームを結成した高揚感から教室、或いは廊下に出てそれぞれにかってに盛り上がっている。

まぁ、他所のクラスもそんなような感じだ。

廊下が特にうるさい。


「お前らのチームはまだ3人か。」

「はい、そうです。」

「そうかぁ。じゃ、まだ、メンツが足りていないな。」


すかさずエンが横から口をはさんできた。


「うちのチームはこれでも大丈夫です。

リュウが10人分働くようにジェンカがこれから仕込みます。」

「えっ、リュウ君を好きにして良いってことなの。」


女神様に身も心も、身も捧げましたから。


"身の所だけ強調するんじゃないわぁぁぁ。

そんな香ばしい奴の肉体なんてほしくない。"


俺は腕の臭いを嗅いだ。

変な匂いなんてしないぞ。

昨日の夜だけど、ちゃんとシャワーを浴びたぞ。


"腐ったミカンが詰まった頭は特にいらない。"


頭の中はしょうがないと思う。

簡単に中身は入れ替えらんないからな。


「教官も知っての通り、リュウは俺たちの10倍以上の魔力を持っています。

肉壁としては最低10人分働くでしょう。

ちなみに頭は1/10前で、飯は5人分喰います。

と言うことで、あとは魔法を転写してくれる魔法術士とそれをどのように使うかを手取り足取り、もしかしたら腰取り、面倒を見てくれる頭脳があればいいんです。」

「なるほど、念話のスキルを持つジェンカがいれば、リュウを戦場のど真ん中に突撃させて魔力が尽きるまで働かせることができると言うことか。

そうかぁ、リュウ、良かったな。いいチームに入れたじゃないか。」


そっかぁ、やっぱり俺と女神様の相性、愛妾? は最高だったんだ。

愛妾としては、ここは是か非にでも俺の身も心も身も捧げねば。


"おまえは黙って私の言う通りに踊ればいいの。一人でね。"



流石、女神様。そのツンデレぶりがたまりませんなぁ。


"私の最初の仕事はこいつを調教することだと今、はっきりと自覚したわ。"


やったぁ、女神様とずっと一緒だ。


"やっぱり違うわね。

私の使命はこいつを何の魔法も転写せずに敵のど真ん中に裸単騎特攻させることだわ。

人類の将来のためにもそうすべき。

それも早急に。"


女神様って、実はムッツリさん?

俺を裸にするなんて・・・・・。

まぁ、女神様がそう言うのなら今ここで・・・・、恥ずかしいけど・・・・・、どうしても脱げと言うのなら・・・・・、愛妾だし。


"こいつと念話をしてはいけないと言うことが今、はっきりと分かったわ。"


女神様はそう言うと、気を取り直すように教官に視線を移して話し始めた。


「それで、教官は何か私たちに用があるんじゃないんですか。

うだうだ話しているとこの阿呆がまた暴走しそうなんで。」


「リュウが暴走?

お前を崇めるように凝視してただけだと思うが・・・・・・

まぁ、良い。良いのだが。

同級生同士で付き合うのは良いが学生であることを忘れずに、節度を持ってだなぁ、ほどほどにな。

むやみに人類の頭数を増やすんじゃないぞ。」


急に真っ赤になった女神様。

なんかかわいい。


"抹殺してやる。"


と、念じると俺の方を睨みつけた。

俺は何も言ってねぇよな。


「それで俺の用と言うのはなぁ、まぁ、あそこにいるあいつらをチームに入れてやってくんねぇかということだ。

ちょっとあぶれちまってな。

どうしても相性が悪いというなら後々は別のチームに入ってもらうということもできるからな。

まだ、入学して一週間だろ。

クラスに解け込んでいない者はなかなかチームに入っていけないもんだ。

毎年数人はチームに入れないものが出てくるんだが、取りあえずはそういう者をまとめて一チームにしているんだ。」


もしかして、俺たちも3人だから正式なチームとしては成り立っていなくて、そこにさらにあぶれた奴らを入れようというのか。

俺はそのあぶれた奴らを確認すべく教官の指さす方を見てみた。


その先には、窓際の一番後ろの席に大男が心ここにあらずといった、ある意味、悟りを開いたような様子で鎮座していた。

でっけぇ。


「教官、あの後ろで鎮座した奴をチームに入れればいいんですか。取りあえずで。」

「そうだ。取りあえず奴らとチームを組んでくれ、エン。」

「わかりました。用紙に名前を書いてもらってきます。

よし、これで4人そろったな。

リュウ、ジェンカ、正規のチームとして始められるな。」


そう言うとエンは嬉しそうに用紙を掲げて大男の方に歩いて行った。


「4人? お前ら一人しか入れないのか。」

「教官、一人ですよね。」

「そうかあ、一人かぁ。あとはどうすっかなぁ。

他のチームに当たってみっかぁ。

どうしても一人しかダメか? 」

「えっと、あそこの大仏様を入れればいいんですよね。」


「えっ、あそこには二人いるぞ。」


えっ。

一人しか見えないよね、女神様。


"まさかこの教官、人にあらざる者、見えない何かを私たちのチームに押し付けるもりなんじぁ。

ふざけんなよ。

私はそういう霊的なものが大っ嫌いなの。"


人にあらざる者・・・・・・、あっ、あの後ろの掃除用具のロッカーか。

ロッカーをチームに入れて・・・・・、おおっ、俺たちをスイーパーに育てようというのか。

なるほど。本体が打ち漏らした敵をちまちま片付ける係だな。

掃除当番というやつ?


"えっ、私に肉壁にも紙様にでもなく、いきなり掃除のおばちゃんになれっていうの。"


おばちゃんなんだ。

見掛けより年を食ってんだ、女神様は。

40ぐらい?

40でみつあみおさげは、さすがに・・・・・・、ねっ。


その時、辞書が俺の頭を二往復した。



"こんなピチピチの15歳のJKを捕まえて、よくも40のババァ扱いしたわね。

お前、今から魔族の駐屯地に単騎特攻してこい。"


えっ、やっぱり裸単騎特攻すんの。

女神様はほんと俺を脱がすのが好きだなぁ。

エッチ♡。


その時、頭の上で鉄パイプが旋回していた。

そんなに早く回すと体が浮いちゃうぞ。


「あっ、お前ら見えないか。そうかぁ。」


やっぱり、ロッカーを仲間に、そして、女神様は掃除のおばちゃんに・・・・・


バッコーン


その後、俺の意識が朦朧とした。


「お前らは見えないと思うが、ペーター、あの大男の後ろに、もう一人座っているんだ。

クラスで一番小さいから、大男の奴に隠れて見えなかったんだな。

それとリュウ、大丈夫か。

お前ら、夫婦ドツキ漫才の練習もいいが、ほどほどにしないとリュウが逝っちゃううぞ。未亡人漫才になっちゃうぞ。」


女神様、ドツキ漫才の練習にしては殺気が乗りすぎです。


"さっさと逝けばいいのに。"


朦朧とする意識の中で大男がエンに引っ張られて、こっちにやってくるのに気が付いた。

やっぱり大男しか見えないんだが。

背中に引っ付いているって・・・・・、まさか取り付いている・・・・・、やっぱりこの世の人じゃない・・・・というのか。


"やめてぇぇぇぇ、そういうの苦手って言ったよねぇぇぇぇ。"


女神様でもあっちの世界の人は苦手なんですね。

でも、女神様はこっちでなくて、向こう側の人ですよね。

と言うことは、俺ら人類よりもあっちの方の取り扱いは得意なんじゃないんですか。

と言うことで、見えないあったち方のことはお任せします。


"ごめん、私、女神じゃないわ。

もう、やめたから。"


そんなご遠慮なさらず・・・・・・


そんな譲り合いをしていたら、大男が俺の前にたどり着いてしまった。

相変わらずあっちの方は見えないなぁ。


「えっと、大男様担当のシュウと申しますです。

あっちの世界の方は、このジャンカ女神様が対応しますので、そこんとこよろしく。」


"リュウ君の裏切者ぉぉぉぉぉぉ。

私も大男が良い。"


えっ、ジェンカって大男が好きなんだぁ。


"あっちの世界の方よりはおデブの禿じじぃでも良いです。"


あっ、そういえば教官の中にそんなのがいたね。

ふ~ん、元女神様はああいうのがタイプなんだぁ。

そっかぁ、知らなかったよ。


"一生知らないままでいろ。

むしろお前が消えろ。"


「お前ら、なめてんじゃねぇぞ。

ちっこいからって、馬鹿にしていると痛い目に会うぜぇ。」


大男の背中が何かさえずっているんですが、元女神様。


"この大男もこの世の者のでなかったかぁ。

リュウ君に差し上げるわ、やっぱり。"



ここまでの成果

魔力回復: 0%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 49時間21分

(この世のものでないものに出会って、ビビってしまった。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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