17話目 春の嵐が更なる疑問を運んだ来た
「エリカさん、ソンバトの肉壁の穴で気になっていたチームと言うのは?
そして、あなた方、3帝が指名するチームとはどこですか。
まずはそれを確認させてほしいと思います。
その上で、そのチームを選んだ理由を話してもらった方が良いのではないでしょうか。」
おばちゃんが根本的なところに突っ込んだ。
だいたいの想像はついているが、誰もが一番確認したいことだな。
「まずは、私たち3人が肉壁ちゃんチームを指名するに当たって、マッチングの混乱を避けるためだけを目的にいい加減な基準で選んだのではないことを知ってほしかったの。
演習見学会から真剣にチームを探していたことを知ってほしかったの。
そのところは理解してもらったと捉えても良いかしら。」
それを聞いたおばちゃんはちょっと引きつった顔になった。
何か悪い予感でもするのだろうか。
"どんな理由があれ、どんなに気に入られても牛だけは飼わないからね。
わかったわね、リュウ君。"
何で俺だけに念を押すかなぁ。
「特に否定する人はいないようね。
それじぁ、言うね。
まず、ペーター君の背中に引っ付いている土と水の魔法術士リンダちゃんは・・・・」
「てめぇ、早く離れろ。お前の場所はここにはねえんだよ。」
「・・・・・・・・」
まだ、やってたのか。
凶暴幼女よ、兎に角だ、だんまり童帝様の指名先を聞けよ。
俺たちを指名したとは限らないだろうが。
「リンダちゃんは、本当はお淑やかな大男さんチームに招待状を送ったのですが・・・・・・」
それを聞いた凶暴幼女が顔を真っ赤にして、今度はお隠れ帝様に叫びます。
「絶対こいつはチームに入れてやんねぇからなぁ。
こいつを入れるくらいだったら、そっちの牛を入れた方がましだぁ。」
あっ、激おこ凶暴幼女がおばちゃんをあっさり裏切った。
「ボルバーナちゃん、何て言うこと言うの。
牛とだんまりさんはチームに入れない同盟を結んだよね。
裏切ったわねぇ。」
「だんまりより、牛の方がモーっと発音するだけコミュニケーションがとりやすいだろうが。
その上、戦場で孤立して食料が無くなっても、牛乳を出すんだぞ。
雑草を食わしとけば食料を出すんだぞ。
兵站要らずの便利な奴だろうがぁ。
チームに居れば便利な奴だろうが。」
凶暴幼女の暴言を聞いたミノタウルス♀爆乳帝様は真っ赤な顔をして、一歩前に出てきた。
そりゃぁ、幾らなんでも今の凶暴幼女の暴言には怒るよね。
後先を考えないからおこちゃまだって言われんだぞ。
「俺の乳を飲ますのはリュウだけだぞ。」
さらに真っ赤になった、ミノタウルス♀爆乳帝様。
暴力幼女の暴言に怒りを爆発させたんではなく、皆の前で俺だけに生乳を飲ませる宣言が恥ずかしかったのね。
"リュウ君は魔牛の乳を飲むことを禁じます。
私の飲んでいるような正規な牧場に居る純粋な牛のなら認めましょう。
もちろん、教壇にこれ見よがしに乳を乗せている乳牛のも論外です。"
「エリカちゃん、まずはお淑やかな大男さんチームを誰が指名したかを言わないと混乱が収まらないどころか、どんどん拡大していくと思うんですけど。」
乳牛教官、それが結局のところミノタウルス♀爆乳帝様だったり、だんまり童帝だったら意味がないと思いますが。
「私たち3人で話し合った結果なんだけど。」
「エリカさん、ちょっと待ったぁ。
本当に3人で話あっのか。
ちゃんとリンダさんも意見を言ったんだよね。」
「・・・・・・・・」
エリカさんまで黙っちゃったよ。
「えぇと、確認した時に頷いていたから問題ないと思うわよ。」
やっぱり、だんまりかよぉぉぉ。
頷いただけいつもよりましだって?
「もう言うわよ。これ以上は余計な茶々は入れないで。
話が進まなくなっちゃうからね。
リンダちゃんは"土壁の不落城"を指名することになったわ。」
それを聞いたお淑やかな大男さんの肩から生えている右側の生首が天に届きそうな雄叫びをあげた。
「よっしゃあ、きたぁぁぁぁぁぁ。
んっ、来ないのか。
まぁ、だんまり帝がサイレンティストの土壁を選ぶのは凄く妥当な線だよな。
だんまり帝、サイレンティストの仲間がたくさんいて良かったじゃねぇか。
コミ障でも問題なく大歓迎だとさ。」
凶暴幼女の言葉にスナイパーさんがまたほっぺを膨らましてんぞ。
いい加減に土壁さんたちを揶揄するような言葉を慎まないと、窓を開けた瞬間にズドンだぞ。
「リンダちゃんは水と土の魔法術士、防御力を上げるという意味では防御系のスキルを持った肉壁ちゃんが多い土壁の不落城が合っているのよ。
もう、これで陣地が完璧な不落城と化すわね。」
おばちゃんそうなのか。
"ちゃんと去年、ソンバトの肉壁の穴での授業でも習ったわよ。
試験にも出たし。
私との補習は何だったのかしら。
よし、また補習してあげるね。
付きっきりで、二人っきりで。
それこそ、手取り足取り、何なら、忘れないように口移しで知識を注入しても良いのよ。
じゃ、取り敢えず誰も来ない教材準備室を探しに行きましようか。
絶対に牛たちが入ってこれないように入り口が激狭なところがところが良いわよねぇ。
乳が引っかかって。ぷっ、ぷぷぷふっ。"
そんな、都合の良い教材準備室って存在するのか、おばちゃん。
それよりも、取り敢えず俺たちのチームを誰が指名したのか聞かないか。
"私は、3帝が私たちのチームを指名しなかったことに一票。"
これまでの流れからして、それはないと思うな。
「次に、シュリちゃん。」
あっ、おばちゃんの目が獲物を狙う鷹の様になっている。
まさか、ミノタウルス♀爆乳帝様が俺たちのチームを指名したとお隠れ帝が言った瞬間に、ばっちゃの形見でスパッと、クビチョン・・・・・・
"なるほど、それもありねぇ。
後腐れなくスパッとねぇ。"
うあぁぁぁ、余計な事を言っちまったぁ。
俺の弩あほぉぉぉぉぉぉぉ。
「シュリちゃんは"火力がすべて、防御って何?、それ美味しいの"チームを指名することにしたの。」
お隠れ帝様の言葉に即反応したのはこの方。
"やったぁぁぁぁぁ、魔物牛がどっかいったぁぁぁぁぁ。
そのチームで激太らしてもらって、乳牛から焼肉になれぇぇぇぇぇ。
んっ、?????? "
とうしたおばちゃん、その??????は?
"「火力がすべて、防御って何?、それ美味しいの」チームって、どこのチーム?
リュウ君知ってる? "
記憶にございません。
「"火力がすべて、防御って何?、それ美味しいの"チームって、どんなチームだ。
お前ら知っているか。」
土下座前かがみのまま、右隣の同じく未だに前かがみの火力バカ1号に聞くエン。
「俺は知らねぇな。
ソンバトにそんなチームはなかったと思うから、ペーチあたりの肉壁の穴じゃないのか。
お前ら知っているか。」
火力バカ1号がさらに右隣りに一列に並んで前かがみになっている火力バカ2~5号に聞いたが、皆、首を横に振るばかりだった。
まだ、御子息が暴れていますか。どんだけ元気なんだ。
「えっと、"火力がすべて、防御って何?、それ美味しいの"というのはどこの肉壁の穴のチームなんですか。」
前かがみのままお隠れ帝に聞く火力バカ1号。
あっ、少し前かがみが解消しつつあるな。
視線が顔に移ったためらしい。
「えっ。」
冷静そうなお隠れ帝がこの世のものでないものを見たような顔になって、絶句している。
「あぁぁぁぁぁぁんっ。」
ミノタウルス♀爆乳帝様が顔を真っ赤にして・・・・・、今度は激憤しているようだ。
「・・・・・・・・・」
「おめぇはたった今からサイレンティストチームだろうがぁぁぁぁ。
早くペーターの背中から降りろやぁぁぁぁぁ。」
更なる騒ぎが持ち上がろうとしているにも関わらず、凶暴幼女とだんまり童帝様は二人だけの世界に入っていらしゃるようですね。
幼女同士、仲が良くて結構、結構。
でっ、"火力がすべて、防御って何?、それ美味しいの"チームっていったい何なんだぁ。
"魔牛がうちのチームでなければどうでも良いわよ。
まぁ、ちょっとは気になるけどね。"
ここまでの成果
魔力回復: 15%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 43時間08分
(またまた、未知のチームが騒ぎに参戦する予感に慄いて、クールタイムが伸びちゃったぁ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。
本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。
"聖戦士のため息シリーズ "
シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。
・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます
・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき
・別伝2 : 優しさの陽だまり
・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから
・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記
・別伝4 : 炎の誓い