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6話目 ジェンカのスキルって?

女神様は俺たちのために用紙に名前を書き終えて、にこっと笑顔を向けてきた。

女神様はメガネをかけたかわいらしい感じの方だ。

メガネの位置を片手で直した時に三つ編みにした髪が左右に揺れる。

身長もそれほど高くない。

俺がイメージしていた絶世の美女ではなかった。

きっと、女神であることを他の奴らに知られないように、普段とは違う容姿で降臨してきてくれたに違いない。


「ところで、リュウ君とエン君のスキルを教えてくれるかな。」


女神様は右手の人差し指を顎に当てて、コテンと首を傾げて聞いてきた。


「スキルですか。」

「スキルを知らないとチームの役割が決めらんないじゃない。」


エンが手を打って、女神様に答えた。


「あっそうか。

俺のスキルはホークアイ。」

「ホークアイということは、斥候職ね。

遠くを見る力がある。

私のスキルと相性がいいわね。」


えっ、エンと女神様の相性が良いなんて、なんということだ。

天地がひっくり返ってもそんなことがあって良いものか。

俺のために降臨してもらったのに。

俺との相性がピタッリでないはずはない。

俺は確かめるべく、女神様に詰め寄った。


「こんなスケベな奴と女神様の相性が良いなんてことはあり得ません。

女神様はどのようなスキルを持って、この地に降臨されたのですか。

是非教えてください。」


「リュウ君、私にそんな敬語を使わなくてもいいわよ。

同級生になったのだから、それに人の前で女神は止めて頂戴。

言われて悪い気はしないんだけど、ちゃんと名前があるからね。

ジェンカと呼んでほしいなぁ。」

「女神様はジェンカと下界では名乗ることにしたのですね。

容姿に合わせてかわいらしい名前を選択したのですね。

わかりました。

これからは同級生としてお付き合いさせて、あっ、その恋人と言う意味ではないですよ。

同級生として仲良くさせていただきます。」


俺の言葉を聞いて安心したのか、かわいい顔を強調するように笑顔を向けてくれた。

もう、女神というより天使だな、ジャンカ様は。

あっ、俺、女の子とこんなに親しく話すのは小学校三年生の時の・・・・・、ピー、以来だな。

ちなみにその子の名前が記憶の彼方に飛んで行って思い出せないから、ピーだ。

今更、その子に他意があるわけではない。


「私のスキルは念話よ。私に心を開いた人とは心で会話ができるというものなの。」

「おおっ、なんという素晴らしいスキル。

つまり、俺がジェンカ様に身も心も許したから、さっきも念話ができたというわけですね。」


とっ、俺が一人で納得しているとバッコーンと本で殴られた。

女神様はやんちゃスキルもお持ちでしたか。


「何、すんですか、女神様。

かわいい姿をしつつ、内面は狂暴種ですか。」

「誰がてめぇの身をもらったって言うんだよ。

そんなゾンビのような腐敗した体なんていらねぇんだよ。」


腐った体と言われてしまった。

俺はちょびっとの肉でどんぶり大盛飯を3杯は食ってるからちゃんと新陳代謝はしていると思うけどな。

ということで俺の体は腐ってないぞ。それに、おやじ臭もまだ大丈夫なはずだ。


"じゃあ、脳だけ腐ってるんだ。

腐ったミカンが頭に詰まって青カビを培養しているんでしょ、きっと。"


おおっ、これが念話か。

すげースキルだな。


"さっきから念話でやり取りしているのわかってなかったの。"


「あっ、そうだったのか。

通りでいつもよりすらすら考えていることが口に出るなぁと思ったよ。」


ジェンカはあきれたように両手を上に向けて、首を振っていた。

あっ、おさげがブルンブルンだ。


そんなやり取りの脇で、エンが首を傾けて何か考えているようだ。

どうせいつものようにスケベなことでも考えているんだろうけど。


「確かに、俺のスキルと相性がいいな。

とっいうか斥候職と最高の相性じゃん。

俺が偵察に出て、そこで見えたことを直接、本体に居るジェンカに伝えられるんだろ。

いちいち部隊に戻んなくてもいいだもんな。」


えぇぇぇぇ、マジでこのスケベと体の相性が良いのジェンカ様。

それって、いろいろ終わったというか、女神様、チーンだな。


そう思った瞬間、辞書で殴られた。


"誰が体の相性って言ったんだよ。

スキルの相性って言ったんでしょ。"


なんだぁ、そうなんだ。

まぁ、良かったよ。

エンと一生を添い遂げるのかと思ったよ。

俺の女神様がこんなスケベな奴と夫婦になるなんて耐えらんねぇ。


そんなやり取りをしているのを知ってか知らずか、さらにエンが話を続けてきた。


「そんな便利なスキルを持っていたら、いろんなチームに引っ張りだこじゃないの、ジェンカ。

それがお余りさんだなんて、 性格に難があるの。

隠れ狂暴種のメガネっ子とか。

メガネを外すとドSの女王様になるとか。」


エン、何を言い出すんだ。

ジェンカ様は狂暴種なんだけど、女神様なんだぞ。

誰とでも仲良くなんかできないんだ。

崇め奉る人と心と体を通わすんだ。


そんなことを思ったら、今度は鉄の棒が飛んできた。

危ねぇ、ぶつかったら逝っちゃうぞ。


"二度と地上で息すんなよ。"


なぜか殺ル気満々女神様。

やっぱ狂暴種だったか。


「私のスキルって、確かに戦場で便利なんだけどね。

どうも、普段から人の心を読んでいるんじゃないかって思われて、それでみんなからは敬遠されちゃうの。

私に心を開かないと念話はではないのにね。」


と、ジェンカ様は下を向いて悔しそうにポツリと言葉を落とした。

そして、顔を再び上げた時には何かにすがるような目を俺たちに向けてきた。


「君たちは大丈夫? 」

「女神様のやることに間違いはございません。」

「女の子はすべて許されます。」


"お前らちょろ過ぎんだろ。

それとても何も考えてないのか。"


失礼な、いくら女神様でも思って良い事と言って良いことは違います。


"何を言っているのリュウ君は。"


俺は常に頭を使って、冷静に判断しているっていうことですよ。


"例えば? "


どんぶり大盛り飯3杯を食うのに夕飯のおかずに出たわずかな肉をどのように分配して食うか。

一杯目は臭いで。

二杯目はなめるだけ。

三杯目は一回かむだけ。

もう一杯行けるなということで四杯目で肉を食うとかさ。


"あ~っ、良かった。三杯目は咀嚼した肉を半分だけ出すのかと思たわ。

いくらリュウ君でも、さすがにそんな下品なことはしないか。"


あぁぁぁぁぁぁ、なんということだぁ。

そんな手があったのかぁぁぁぁ。

それでたら、どんぶり飯が五杯、いや、6杯は行けたのにぃぃぃ。

何ということだぁぁぁぁ。


俺はあまりの動揺で両手、両膝を教室の床に着けて、さらに頭も床に着けてしまったorz。


女神様ありがとう。これでこれまでよりもいっぱいいっぱいご飯が食べられます。


"やっぱりリュウ君の頭の中には腐ったミカンが詰まっていたんだ。"


そんな感動的なやり取りをしていると。

カツン、カツンと床に杖を突く音が俺たちの方に近づいてきた。


「お前ら、ちょっと良いか。」


「教官、どうしました?」


ジェンカ様が代表で返事をした。


ここまでの成果

魔力回復: 1%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 47時間11分

(新しい飯の食べ方に目覚めたため、クールタイムが短縮したらしい。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願い致します。


本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。

本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。


"聖戦士のため息シリーズ "

シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。


・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます

・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき

・別伝2 : 優しさの陽だまり

・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから

・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記

・別伝4 : 炎の誓い


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