13話目 要望書を作ろう (意訳: うっかり証文にサインしちまったぁ)
「魔法学校の生徒様様のご要望が最優先だけど、肉壁ちゃんチームへの同じような要望が複数出てきたら、もしかしたらお前ら肉壁ちゃんのつぶやきも横目でチラッと見てみるかもしれないから、取り敢えず要望は書いといて。
チーム毎に集まって、相談してね。
要望書が出来たチームから食堂に行って良し。
13時00分に訓練の準備をして、校舎裏の訓練の入り口にある2-8組の倉庫前に集合。
わかったわね。
はい、はい、ちゃっちゃとやる。
お淑やかな大男さんチームの招待状の件で時間を食ったわよ。
もたもたしているとの昼休みが終わって、今日のお昼を食べらんないわよ。」
エレン教官は言うだけ言うと、後は勝手にやれと言わんばかりにアンケート用紙を教壇の机の前にどさっと置いて、教室に入ってたときと同じように頬杖をついて何かの書類を読み始めてしまった。
おばちゃんが用紙を取って来て、俺の机に自分の机をくっ付けてきた。
「えっと、用紙にはどんな魔法術士と組みたいか、もしその魔法術士と組んだ場合どのような効果が期待できるかの2点を記載するようよ。」
背中に凶暴幼女を背負い直したお淑やかな大男さんもおばちゃんの後ろに移動して、アンケート用紙を覗いている。
どういう魔法術士が良いかな。
うちのチームには水か土が相性が良いと以前は話していたよな。
「リュウ、てめぇ、まさか土と水の魔法術士が良いと思っていねぇよな。
ダメだからな、両方持っている都合のいい奴がいるじゃねぇかなんてのは絶対却下だ。」
"なんでボルバーナちゃんもリュウ君と念話ができるの。
くやしぃぃぃぃぃ。"
「やっぱり、凶暴幼女とお淑やかな大男さんという優秀な壁役が揃っているんだから水か土の魔法術士が良いよな。」
「だったら、どっちかでいいはずたよな。なっ、リュウ、ジェンカちゃん。」
「私は炎と風の魔法を使う乳牛でなければ何でも良いわ。」
おばちゃん、魔法を使う牛が実在するみたいに聞こえるぞ。
「お前ら、ちょっと待て。
まずはチームリーダーの俺の意見を聞けよ。」
教室の隅で正座しながら声を張り上げて自己主張するエン。
もう余計なことを言わないで、おとなしく正座してた方が身のためだぞ。
案の状、おばちゃんと凶暴幼女が台所の隅で徘徊する黒い物体を見る様な眼差しをエン投げつけた。
「それって、弩スケベの遺言と言うことで良いんだよな。
だったら、ひとこと言わせてやる。」
「口を閉じた瞬間にこれで首を落とせばいいんだよね。」
きらっと俺の頭上で閃光が走る。
これ見よがしにおばちゃんがばっちゃの形見を鞘から抜き放ったぁ。
「あっ、いえ、隅で大人しくしています。
これ以上、お手を煩わせは致しません。
ほら、首をチョンなんてしたら血がブアッと飛び散って掃除するのが大変でしょ。」
すぐ引くんだったら横から口を出すなよ、エン。
「リュウ君はどんな子が良い?
もちろん私が一番だろうけど、魔法術士としてね。」
いつの間におばちゃんが俺の一番になってんだ。
"お黙り、ポチ。
飼い主の言うことに逆らわない!!、良いわね。 "
「えっと、俺はよっちゃんのような魔法術士が良いな。
よっちゃんの時が一番しっくり来てたんじゃないのかな。」
"いつの間によっちゃんにまで手を出したんだ、このエロポチは。"
おばちゃん、までって。あとは誰だよ。
"もちろん、わ・た・し。"
朝、悪いもんでも食ったか。
だから、3日前の牛乳は止めとけって言ったんだよ。
"リュウ君のいけずぅぅぅぅぅ"
「まぁ、確かに、よっちゃんのような子が一番だよな。
氷壁のような防御系の氷属性魔法を転写してもらって、物理攻撃も魔法攻撃も良く防げていたしな。
俺はスキルで物理防御を持っているから良いけど、ペーターは水か土属性の防御魔法じゃないと物理攻撃は防げないからな。
それによっちゃんの回復魔法のレベルが高かったからある程度はケガを恐れずに無茶ができたもんな。
あっ、でも、両方持っているけどダンマリの奴とはうまくやってくことは不可能だからな。
エレン教官が言うように直ぐ喧嘩になって、俺たちが竹やり一本で魔族に裸特攻にいっ直線だからな。
まぁ、そん時はエンの弩スケベだけで勘弁してもらうように泣き落とすけどな。」
あ、隣でスナイパーさんがほっぺをふくらませているぞ。
なにげに俺たちの相談を聞いていたんだ。
「じゃぁ、高レベルの回復魔法と氷魔法を持つ水属性魔法術士を要望しましょうか。
これでミノタウルス♀は全く関係なくなるし。」
「ジェンカちゃん、水と土の両方はいらねぇと備考に書いといてくれ。」
「了解よ。最後に書いとくね。」
「次は高レベルの回復魔法と氷魔法を持つ水魔法術士を入れた場合、俺たちのチームの特徴がどうなるかを書くんだよな。」
「今までの話をまとめればいいんじゃねぇか。」
おばちゃんは凶暴幼女の言葉に大きくうなずいた。
「氷属性の魔法の転写により、壁役の二人が物理攻撃及び魔法攻撃に対する防御が大幅に向上する。
さらに、防御力の向上と治療能力の高さから部隊の壁役としても踏ん張りがきくようになるっと。
こんなとこかしらね。」
「おばちゃん、防御力が向上することしか書いてないけど攻撃力はどうなんだ。」
おばちゃんは左手の人差し指を顎に当て、頭を傾げて考えているようだ。
「まぁ、うちの攻撃担当はリュウ君だから、ぶっちゃけ誰が来ても高火力の転写魔法を打てるからね。
特に水魔法術士が来たからと言って、火力がことさら上がるわけじゃないわよ。
だから、特に炎属性魔法術ミノタウルス♀なんてのは必要としないわねぇ。
わかった? 」
是が非でもそこに結びつけたいのだけはわかった。
"わかったらいいのよ。
うちじゃぁ、牛が飼えないってことをリュウ君に摺り込まれればそれで良いの。"
「これでお淑やかな大男さんチームの要望書は完成として良いかなぁ。
他に何か書いとく事はもうないわよね、ボルバーナちゃん。」
「これで良いんでねぇか、ジェンカちゃん。」
男共には確認する気は毛頭ないってことかぁ。
"ポチは私の言うことを聞いていれば良いの。
それが一番幸せへの近道なの。
わかった? "
そのセリフをばっちゃの形見の柄を握って言うなんて反則だろうがぁ。
"しょうがないわねぇ。リュウ君は他に言いたいことあるの?
飼い主として、一応は聞く姿勢を見せといてあげるわよ。 "
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"・・・・・・・・"
何も思いつかん。
何もないな。
頭を使うなんて俺らしくないな。
うん、そうだよ。
慣れないことをすると腹減るなぁ。
とっとと要望書を出して、食堂に行こうぜ。
と言うこととで、おばちゃん、悪かったよ。
俺もエンを見習って自分の立ち位置というものを改めて認識するよ。
「じゃぁ、そう言うことで要望書を提出してくるわね。」
おばちゃんはそう言うとスキップしながら、まだ書類を読んでいるエレン教官の下に要望書を提出に行ってしまった。
ここまでの成果
魔力回復: 16%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 32時間12分
(自分の能力と言うものが改めて認識できた喜び? で、スキルUpだぁぁぁ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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