11話目 エレン教官のお悩み 後編
「彼らが特に何をやらかしたというわけではないの。
まず、バートリのイケメン肉壁ちゃんたち。
まぁ、所詮は肉壁ちゃんだから顔よりも転写魔法を授けてどう魔族と戦かわせるかの方が本来は重視されるべき事だと思うんだけど。
幼年魔法学校から4年間も囲われちゃっている世間知らずな女の子たちなのよねぇ。
能力よりも顔やスタイルに目が行っちゃうのよねぇ。
年頃と言えばそう言えなくもないわね。
将来よりも、今。
私にもそんな時代があったわねぇ、ふっ。」
「すっかり世間の荒波にもまれて擦り切れたエレン教官は、男を選ぶ基準は顔よりも財産ですか。」
エレン教官は突然立ち上がり、腰に両手を当てて俺たちの方に真剣な顔を向けてきた。
「あったりまえじゃない、男は顔じゃないわよ、甲斐性よ。
顔で腹は膨れないわ。
わかった、君たち。
それに私だってまだまだピチピチしているはずよ。
そうよね、君たち。」
"私は一緒に駄菓子屋をやってくれる男の人がいいなぁ。チラ
そんな男の子が近くにいる気がするなぁ。チラ"
柔らかい口様とはかけ離れて、俺を見るおばちゃんの目が鋭く光った。
獲物をロックオンした蛇のような目だ。
このまま、巻き着かれて身動きできずに、なし崩し的に駄菓子屋店長へ一直線か。
"一緒に仕入れに行こうね。「私たちの」子供が喜びそうなものをいっぱい仕入れようね。チラ"
あっ、いつの間にか子供までいることになっている。
"逃がさないから♡。
逃げようとしても無駄よ♡。"
だから、その♡は止めれぇぇぇ。
「魔法学校の女生徒の多くがそのイケメンチームに招待状を出したんだけど、奴らはどれも断ったみたいなの。」
「全部断ったんですか。
じゃぁ、彼らのチームに魔法術士は・・・・・・。」
「そう、直接会ってチームの魔法術士を決めるとか言っちゃって、まだ、彼らのチームの魔法術士は決まっていないの。」
「ということは、招待状を出した魔法学校の女生徒は一部の望みをかけて猛アプローチしていたのが、今日の朝見た校門でのあの騒ぎということなんだな。」
「ということは、ペーチの肉壁の穴から来た美女軍団も・・・・。」
エレン教官はまた教壇にある椅子に座り直して、頬杖をしながら一つため息をついた。
教壇に乗っかった乳も心なしか元気がなく、ビョ~ンと伸びているような気がする。
"リュウ君、そうなのよ。わかっているじゃない。
牛の乳は将来、あんなふうに垂れてきちゃうの。ビョ~ンと。
やっぱり白桃ぐらいの方がいつまでも美しい形を保っているのよ。
わかったわね、ポチ。"
おばちゃんなんか必至だな。
白桃で良いなら毎日牛乳3Lも飲む必要もないんじゃないの。
"私は網メロンを目指すから飲むの。"
結局、おばちゃん的にどっちが良いだかわからんな。
"いいの。ポチは私ので満足すればいいの。"
もう一つため息をついて、エレン教官が続ける。
「そうなのよ、美女軍団に招待状を送った魔法学校の男子生徒共があきらめきれずにワンチャン狙っているわけなの。」
「確か美女軍団は先生と同じ資産家の子弟を狙っているという噂を聞きましたが。」
「リュウ君、それはちょっと違うわよ。」
「えっ、教官はさっき顔よりも金って言ってましたよね。」
「だから、私は私の将来の旦那様が財産を持っているのが大事なの。
親や兄弟じゃなくて、本人に甲斐性がないとだめなのよ。
ジジィとババァと同居しないと財産が使えないなんて最低じゃない。」
「どのように違うのか俺たち貧乏人にはわかんないよな、エン。」
俺はエンに話しかけたが、エンはエレン教官のつぶれて広がった乳を見て、机にうつ伏せ状態だ。
エンの御子息がまたまた暴れ出したんだな。
こっちの親子はホントどうしようもねぇな。
"リュウ君の御子息様ならちゃんと私がすべての面倒を見てあげるわよ♡。"
うぁぁぁ、その♡はまずいから。
ホントにまずいから。
ここから♡18禁になっちゃうから。
「美女軍団の狙いが財産持ちの子弟、玉の輿なら、イケメン軍団の狙いは何なんだ。
逆玉の輿か。
まぁ、庶民の俺には関係ないことだけどな。」
「狂暴幼女は財産の前にもうちょっと成長しないとな。
幼女のままじゃ危ない趣味の人と間違われるのを恐れて・・・・・・、バゴッ。」
辞書が頭に命中した。
「リュウてめぇ、また失礼なことを考えてんだろ。」
"くやしぃぃぃぃぃぃぃ、ボルバーナちゃんとリュウ君が念話をしている。
リュウ君との念話は私だけの特権だったのにぃぃぃぃ。"
おばちゃん、幼女に嫉妬するなって。
安心しろ、俺には特異な趣味はないから。
バゴッ、バゴッ、バゴッ。
辞書三連発。なんでそんなに何冊も辞書を持ってんだ。
まさか、お淑やかな大男さんを鍛えるための重しか。
「イケメン軍団の狙いはおそらくは3帝じゃないかしら。」
「エレン教官、3帝の実家って金持ちなんですか。逆玉狙いのため。」
「ジェンカちゃん、あまり生徒の家庭の事情は話せないわ、教官としては。
まぁ、普通の家庭だと思うわよ。」
「じゃぁ、あいつらの狙いは何なんだ。」
「軍での出世じゃないの。」
「なるほどな。それならなんとなくわかるぞ。」
「でも、その3帝がはっきりしないから、今度は肉壁ちゃんたちがせっかく招待状をもらっても断っているようなのよ。
3帝とチームを組むチャンスがあると思って。
2属性魔法術士なんてここ数年は出ていないし。
それが今年は3人も。
肉壁ちゃんとしてはどうせなら3帝の誰かと組んで、将来は軍でひと旗上げたいというところじゃないのかしらね。
気持ちは良くわかるけど。」
「私にはわかりませ~ん。」
「ジェンカちゃんと同じく俺も。
3帝なんて邪魔なだけだよな。」
「あら、ジェンカちゃんもボルバーナちゃんもなんか強気ね。
強い魔法術士と一緒なら聖戦士となるチャンス、それよりも生き残るチャンスがぐっと上がると思うけどなぁ。」
"リュウ君、もう一度言うけど、うちで乳牛を飼う余裕はないからね。"
「だんまりがいるとコミュニケーションが取れなくて、逆に危なくなるよな。」
こら狂暴幼女、スナイパーさんのほっぺが膨れたぞ。
失礼なおこちゃまだと思われちゃったぞ。
サイレンティスとでもちゃんと言葉は通じると思うぞ。
俺の頭に脱ぎたてたパンツを被せたがるミノタウルス♀爆乳帝様よりはまだ、なんとなくだが、だんまり雪ん子帝様の方がその考えていることがわかるよな気がするぞ。
"そうよねぇ。
乳牛の考えていることなんて、人には理解できないわよね。
人じゃなく牛だもんねぇ。
それに何にも考えていない猛牛だし。"
おばちゃんもおんなじ事を俺にしようとしているよな。
"駄菓子屋の制服の帽子として正式に採用の予定なんですぅ。
個包装していない駄菓子もあるから髪の毛が入るのを防止する必要があるんですぅ。
乳牛とは違うんですぅ。"
えっ、パンツを被って子供たちに駄菓子を売るの、それマジ。
変態駄菓子屋と噂になってあっという間につぶれる。
その前に公安にしょびかれると思うんだけど。
「リュウ君は3帝には興味がないの。
君の魔力を生かすのには3帝と組むのが良いと思うけどな。」
「エレン教官、うちで牛を飼う予定はございません。」
「エレン教官、俺たちは楽しく女子トークをする仲間が良いです。」
こら、また、スナイパーさんがふくれっ面になったじゃないか。
「ボルバーナちゃんとジャンカちゃん、さっきから聞いていると3帝に含むところがあるように聞こえるんだけど。
なんかあったの。」
「あっ、俺たち"お淑やかな大男さん"チームは爆帝と氷帝に招待状をもらったみたいなんだけど・・・・・ジェンカはリュウを爆帝に取られそうで、狂暴幼女はお淑やかな大男さんの背中を氷帝に取られそうなんで断ったんだよな。
氷帝まだしも爆帝の爆乳はもったいないよな。」
・・・・・の前のエンの発言でエレン教官以下、クラスのほぼ全員が驚きの雄叫びを上げていた。
・・・・・の後の話は聞こえていないようだった。
しっかし、何で火力バカ共も驚いてんだ。
朝、一緒に話を聞いていたろ。
あっ、ご子息が暴れるのを鎮めるので一杯一杯でしたか。
ここまでの成果
魔力回復: 16%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 45時間58分
(俺たちがミノタウルス♀爆乳帝と座敷童帝すら招待状をもらったことがばれて、クラスがカオスな状態に。俺には関係ないな。
あっ、駄菓子屋の制服の帽子がパンツだということになって変態確定。ショックでスキルdown。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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