9話目 進級初日のホームルーム
俺たちお淑やかな大男さんチームの面々が教室に入らずそのまま立ち話をしていると、
教室の前方の扉から意外な人物が顔を出して話し掛けてきた。
「ジェンカさんたち、早く教室に入りなさい。
ホームルームを始めるわよ。」
おぉっ、あなたは元祖爆乳様のエレン教官。
春になって薄着になったので、ブルンブルンしているのがすっきりはっきり見えますね。
"なんで牛がもう一匹いんのよ。"
おばちゃん、そんなに牛が嫌いなんだ。
でも毎日、牛乳を飲んでいるんだよね。
牛が好きだからじゃないのか。
"もう、リュウ君のために嫌いでも我慢して飲んでいるの。
牛や網メロン、小玉スイカとはいかないまでも、桃ぐらいにはなってほしいでしょ、リュウ君としても。
あっ、お尻は既に桃だから期待して♡。"
♡の意味が分からん。
「エレン教官、どうしてここに居るんですか。
肉壁の穴本校でも前かがみの青少年を量産するためですか。
確かにソンバトの肉壁ちゃん男子はエンを筆頭にお子息共々やんちゃな子が多いので、前かがみにして一部以外暴れにくくするためですか。」
エレン教官は一瞬、その妖艶な口元をにやっとさせた。
「うふふふっ、そうかもねぇ。」
"くっ、くっそう。今に見てなさいよ。
私だって来年の春にはリュウ君を前かがみさせて見せるわ。"
おばちゃんの背後から黒いわかめが立ち上っている。
純粋な青少年をもてあそぶのは止めていただきたい。
「というのは冗談で、今教室に居るソンバトの肉壁ちゃんたちにも話していたところだったんだけど、実は急に転勤を命じられたの。
ここ本校のとある女性教官が早めに産休を取ることになって、その代理で1年ぐらいの間だけどここに転勤を命じられたのよ。
一昨年、ソンバトに赴任する前はここ本校で教官の助手をしていたから、それで白羽の矢が立ったのかもね。
あっ、ソンバトの肉壁の穴の方は残りの教官で何とかやりくりするらしいわよ。
というわけだから、1年間またよろしくね。
さっ、本当にホームルームを始めないと進級式に間に合わなくなっちゃうわ。
教室に入って、入って。」
エレン教官はそういうと教室に入るように両手を振って、俺たちを促した。
"あれ、絶対わざとよね。
両手を思いっきり振って乳をブルンブルンさせているのは、牛の謀略だよね。"
確かに、我がご子息がまたやんちゃになりそうです。
こんなのをエンが見ていたら大変な事に。
と思っている後ろでどてっという音が聞こえた。
俺は前かがみになるのも忘れて後ろを振り返った。
エンと火力バカ共が土下座していた。
今のを見ていたな。
また、ご子息の暴動を沈めるためにしばらく土下座だな。
心静かに般若心経でも唱えてろ。
1時間で元のザビエル弟に戻れんだろ。
そう思って、エンたちを哀れんで見ていると、おばちゃんは俺の腕を取って教室の方に引っ張った。
"あと半年で、牛を超えてみせる。"
牛を肥えさせてみせる?
やっぱり飼うの、ミノタウルス♀を。
"あれの面倒は見れないので今すぐ捨てて来なさい。
わかったわね、ポチ。"
おばちゃんに引っ張られるがまま、空いている席に座った。
チーム毎に固まって座っているらしく、俺たちは後ろの入り口に近い空いている席に座った。
まぁ、エンと火力バカ共はいつでも土下座できるように床に正座でいいだろう。
エレン教官の罪作りな乳だ。
ソンバトの肉壁の穴の持ち上がりと言うことで、クラスメートのほとんどは顔見知りだ。
簡単な自己紹介を順に行って、ホームルームは終了となった。
遅刻しないように慌てて教室に駆け込む必要なんてなかったんじゃないかとないかと思ったが、ブルンブルンを前にするとどうしても前かがみになってしまい、その結果、エレン教官が相手だと従順なポチになってしまう。
"ポチの飼い主は私だけ。わかった。
ニャンコの様によそ様の家で餌をもらっちゃだめよ。
放課後、ソンバトの寮で作って持ってきたクッキーをあげるからね。"
俺って、おばちゃんに餌付けれているのだろうか。
"細かいことを気にしなくていいのよ、ポチは。"
進級初日だというのにホームルームがあまりにも簡単に終了したのに疑問を持ちつつも、俺たちは今日の次のイベントである進級式に出席するため校内を移動中だ。
肉壁の穴本校はソンバトのそれの10倍の生徒がいるだけあって、建物も桁外れに広く大きかった。
どこに向かっているかは知らないが、おばちゃんに引っ張ってもらえばどこかにはたどり着くだろう。
俺はそう決め込むと移動している間に、おばちゃんにいつ拾われて、飼われるようになったのかと考えながら、やがてそれは放課後にもらえるクッキーの味に思いが変わって、広い肉壁の穴本校の校内を歩いていた。
今日のクッキーはチョコチップ入りが食いたいと漸く心がきまったところで、丁度、何やら大きな建物の中に連れ込まれるところだった。
あっ、いけないわ、おばちゃん。
幼気な少年をそんな路地裏に連れ込まないでぇぇぇ、何をするのぇぉぉぉ。
"ではははははっ、これで貴様もパンツ仮面騎士の一員だぁ。
その証として私のパンツを被らせてあげよう。
牛のと違ってピシッとしているから仮面としては最高だぁ。"
でっ、ここで何すんだ。
"進級式よ。まずは校長の話ね。"
眩しくない?
"校長が礼拝堂の司祭と兼務しているとは聞いてないから、ザビエル一家じゃないから頭のテカリの方は大丈夫じゃない。
まぁ、もともと薄かったらわかんないけど。"
ヅラ?
"そこまではわからないわね。
リュウ君はどうせ寝ちゃうでしょ。
目を閉じて入れば眩しくんいわよ。"
俺は前方にいる教官たちの中にきらりと鈍く光るザビエルさん仕様がいないか確認した。
まぁ、数人確認できたが、そいつらが校長かどうかは当然わからないな。
"リュウ君、ステイ。
そこで立ち止まって。
指定の場所に着いたようよ。
残念ねぇ、椅子がないから立って話を聞くようね。"
おばちゃん、その点は大丈夫だ。
眩しくなければ立って目を開けていても寝れるという第2のスキル持ちなんだよ、俺は。
ただし、眩しいのが前に居るとスキル発動がキャンセルされるという条件付きなんだよ。
エンも今は毛根が復活したから、その点は大丈夫。
"若干、発動条件に難があるけど、特に礼拝堂では絶対に使えないようだけど、私もそのスキルほしいわよ。
肉壁の穴本校の校長の話は長いので有名らしいの。
30分何て短い方で、平均で1時間、長いと2時間は平気でしゃべっているんだって。
気分が悪くなって倒れた者が勝者。
でも、いかんせん肉壁ちゃんは丈夫なだけが取り柄。
倒れたくても健康優良児、精神不健康なあんちゃんとねぇちゃんの集りだから、最後まで校長の話を聞いてしまうってことで、全員が敗者に決定。
とっ、ソンバトの強面の厳つい自由業が本業の副業が教官の方が終業式の前の日にあった進級説明会で言ってたよ。
まぁ、どうせリュウ君はその第2のスキルを弩発動していたでしょうけど。"
午後の説明会なんて第2のスキルを発動しなくても寝れるだろ。
突然に意識がなくなって、3時のおやつの時間になると腹時計が鳴って目覚めるという感じだな。
"あはははっ、確かにあの時もお腹が鳴ってたね。"
おばちゃんは全部聞いていたのか。
"リュウ君が速攻で寝ちゃったから、私が聞いておかないとね。
あのときなんて春の陽気で暖かかったから、ボルバーナちゃんもお淑やかな大男さんの背中でうとうとしていたわね。
エン君と火力バカ共は春で薄着になったエレン牛の乳をガン見して、血走った目を爛々とさせていたけど。
あのだらけた雰囲気で彼の周りだけが何か異質な空間という感じだったわね。"
おんぶされて寝るなんて、真の幼女じゃねぇか。
エンはやはり真のスケベだ。
"あっ、校長が壇上に上がったわよ。
ロマンスグレーの髪のナイスなおじさんじゃない。
よかったね、リュウ君。"
校長が深々と一礼。
ツル
お約束で、ヅラがずれた。
ここまでの成果
魔力回復: 18%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 30時間58分
(眩しくて、第2のスキル不発。眠たくて、スキルdownだぁ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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