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8話目 えっ、クラスに入る前からもうクラス替えの話し?

強面の厳つい自由業の方々から慕われる姉さん借金取りの爆乳帝と家族のために布団を守る幼気な幼女の雪ん子帝との争いから逃れるように肉壁の穴本校の玄関前にやって来た。

玄関は石造りで、分厚い木の両開きの扉が付いているなかなか立派なものだ。

扉は4か所ほどあり、いずれの扉も外側に開かれていた。


扉と扉の間の石壁の部分には大きな紙が貼り着けてあった。


「あの壁に貼った紙に何か書いてあるわね。

クラスの名簿かな。」


そういうとおばちゃんが紙の方に駆けて行った。

すでに俺たち以外の肉壁ちゃん候補生は玄関付近には居なかった。

玄関の中の方には鞘に入った大剣を杖の代わりに両手で持った教官らしき大男が仁王立ちして待ち構えていた。


「おまえら遅いぞ。もう直ぐホームルームが始まる。

早くクラスを確認して、教室に向かえ。」


やべぇ、進級初日から遅刻だぁ。

あっ、エンと火力バカ共が来ていない。

まだ前かがみが収まんないのか。

若いからしようがないよな。

まぁ、前かがみで教室に入って行ったら進級初日に変態スケベのレッテルがべしっと張られちゃうから、遅刻してでもご子息のやんちゃな自己主張が収まってからにした方が良いか。


"今日はばれなくても、クラスで2、3日一緒に居ればあいつらの本性なんてバレバレよね。

しかも、エン君なんてその変態スケベっぷりが既に魔法学校本校の生徒に知れ渡ってるから、今更ご子息が暴れていてもその評価が変わるわけはないと思うけど。"


変わらないけどさらに落ちるんじゃねぇか。


"ふっ、もう落ちるところまで落ちているから。

そんなチームメイトを持つ私たちお淑やかな大男さんチームに来てくれる魔法術士なんているのかな。

それが悩みだよね。"


二人いるじゃねぇか。

それも飛び切りの実力者が。


"あぁぁ、言っとくけど牛を飼う気はないからね。"


ミノタウルス♀爆乳帝は絶対にチームに入れないつもりだな、おばちゃん。

もう一人の雪ん子帝は凶暴幼女が絶対いやがるだろうし。

マジで俺たちのチームに魔法術士様様が来てくんないんじゃないのか。


"最後は教官があぶれた魔法術士に私たちを斡旋してくれると思から誰もいないってことはないわよ。"


あぶれた魔法術士って、やっぱりエンみたいな変態だったらどうすんだよ。


"魔法さえ転写してくれれば、後はエン君と一緒に斥候に出して、隔離した置けばいんじゃないの。

変態同士、強制的にね。

私たちと離れたところでひっそりと仲良くしてもらえばいいのよ。

それより、私たちのクラスはどこなの。

リュウ君、見つかった? "


その時、隣の壁のクラス分けの名簿を見ていたスナイパーさんが皆を手招きしていた。

俺たちのクラスが見つかったらしい。


俺は少し焦ったような表情のスナイパーさんの手招きに応じて隣の壁に移動して、その指さすところを見てみた。

おおっ、あった、あった。

俺たちは2-8組だ。


「2-7と8組は全部ソンバトの肉壁の穴からの持ち上がりね。」


おばちゃんの指摘に土壁のリーダーが相槌を打った。


「ソンバトからは100人、20チームが来たから、一クラスは50人10チームと言うことなのか。」

「そうよ、2-8組には私たちお淑やかな大男さんと土壁の不落城、そして、火力バカ共も一緒ね。」

「なんか去年と代わり映えがしないな。

また同じクラスかぁ。」


その時、コツコツと言う音ともに仁王立ちしていた教官が俺たちの方にやって来た。


「どうだ、お前らのクラスは確認できたか。

2年生は校舎の2階だからあそこの階段から上がれ。

急げよ。

ほれほれ、もたもたして遅刻しそうな奴のケツにはこの大剣をぶっこむぞぉ。」


そういうと教官は玄関の中の奥を指差した。

その先には人が6人は並んで歩けるような広い階段があった。

俺たちは教官の誘導に従って、玄関に入った。

教官は俺たちのケツを突きたいのか、既に大剣を持ち上げていた。

やっぱり肉壁の穴本校にもセクハラ教官がいたかぁ。


「なんか本校に進級したような気がしないな。

ソンバトの肉壁ちゃんがそのままいるクラスなんてな。」


階段の手前で俺がつぶやく。


「リュウ君、でもこのクラスは1~2箇月間ぐらいよ。

そうしたらもう一度クラス替えがあるわ。」

「えっ、そうなの、おばちゃん。」

「なんだ、弩阿呆は知んねぇのか。

ソンバトの肉壁の穴で、進級前の説明会で義足の教官が説明していたろうが。

弩阿呆は聞いていなかったのか。」


あっ、それって午後にあった奴だよな。

どんぶり大盛り飯3杯喰った後で春の陽気の攻撃を受けたら起きていられるわけがないだろうが。

演習だったらまだしも、座って話を最後まで聞けなんてのは拷問以外のナニモンでもないぞ。


「リュウ君に頭を使えっていうのはかなり無謀なこと、コーヒーに茶柱を立てろって言うレベルだからね。

心配しなくても私が引っ張ってってあげるから、ちゃんと言うことを聞くのよ、ポチ。

うちでは牛は飼いません。わかったわね。」

「あっ、むっつり幼女もいらねぇぞ。」


凶暴幼女が雪ん子帝様をむっつりさん扱いしている。

スケベな様子何て一切なかったと思うけどな。

背中にくっついている時、お淑やかな大男さんに何かしかけたのか。


「進級前の説明会の話では、進級時のクラス分けは本当に仮なんだって。

まずは肉壁の穴本校の生活に慣れてもらうために、出身校別にクラス分けするのよ。

そうして、だいたい1~2箇月かけて、自分たちの魔法術士を見つけるんだって。

魔法術士が決まったら、再度、クラス分けをするんだよ。」


階段を登りながら、俺は隣を歩くおばちゃんの方に話し掛ける。


「チームメンバーが確定した時点で再度クラス分けをするのか。

何でそんな二度手間なことをすんだ。」


階段を登り切ったところで、今度はおばちゃんが俺の方を見て話を続ける。

前を歩く、土壁の不落城のメンバーが2-8組の表示を探しているので、彼らに付いて行くだけでクラスにたどり着けるだろう。


「これまでの演習は多くは1チームの小隊同士、たまに3チームの中隊同士だったんだけどね。

これからは10個小隊同士、3個中隊+1個指揮小隊からなる大隊レベルの演習もやっていくことになるとのことよ。」

「10個小隊かぁ、肉壁ちゃんだけだと50人分だな。

50人、あっ、クラスの人数だ。」

「そういうわけでクラス単位で大隊を組むことになるのよ。

クラスで普段一緒に居る方がお互いの実力が分かっているし、それに意思の疎通がし易いから大人数になってしまう大隊でもまとまりが期待できるのよね。」

「そういうことならクラス替えなんてしないで、ソンバトの肉壁ちゃんのクラスのまま行けばいいんじゃないの。」


先に進んだスナイパーさんが2-8組の場所を見つけたみたいだ。

開き戸の前で手招きしている。

珍しく目が笑っている。

俺とおばちゃんはそこを目指しながら、話を続ける。


「それはね、大隊クラスになると隊としての戦力のバランスを保つ必要があるということなのよ。

一つの戦力としてなり立たせるためにね。」

「戦力のバランス? 」

「小隊の特徴はメンバー、特に魔法術士の能力に依存するわよね。

大隊を構成する小隊が例えば、火力バカばっかりが集まったらどうなる? 」

「攻めている間は良いけど、相手の火力の方が上回った場合には守れなくてあっという間に大隊は崩壊かな。」

「逆に土壁の不落城の様にほぼ防御特化の小隊だけ集まったら? 」

「大隊として崩壊はしないけど、敵を倒すことも難しいな。」


俺たちはスナイパーさんの手招きした場所まで歩いて来てしまったが、そのまま廊下で立ち止まって話を続けた。

よかった、何も始まっていないから、遅刻じゃなさそうだ。


「大隊としては一個のまとまった戦力として期待されているから、攻撃力、守備力、情報収集能力のバランスが求められているの。」

「あっ、そういうことか。

魔法術士を迎え入れてチーム、小隊としての特性が決まった時点でバランスの良い大隊を組むためにクラス替えをするのか。」

「ぽち、良くできました。

ご褒美に、今日の夕方に私の脱ぎたてを頭に被せてあげるわね。」


おばちゃん、ミノタウルス♀爆乳帝が俺にパ〇ツを押し付けようとしたのをまだ、根に持っているのかぁ。


ここまでの成果

魔力回復: 19%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 30時間39分

(クラス替えの意味を教えてもらったポチはちょっと賢くなりました。スキルUPだぁ。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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