7話目 強面の厳つい自由業の方々から慕われる姉さん借金取りから布団を守れ、幼気な幼女よ
俺が雪ん子帝様の足に躓いて転んだことにより、雪ん子帝様とミノタウルス♀爆乳帝様が相対する格好になる。
そして、おもむろに雪ん子帝様は両手を広げて、俺とお淑やかな大男さん、狂暴幼女を守るように立ちはだかる格好になった。
獰猛な♂?牛の前に立つ幼い少女といったところか。
「リンダ、そこをどけ。
俺はリュウにチームに入る同意を取り付けなきゃなんねえんだよ。
そして、同意の証にそのプロフィール替わりのブツをリュウに被ってもらうんだ。」
そう言うとミノタウルス♀爆乳帝様は雪ん子帝様の肩に手をかけてその自重に任せてどけようとした。
しかし、雪ん子帝様はいつものぼ~っとした表情ではなく、思い詰めたような真剣んな眼差しをミノタウルス♀爆乳帝様に投げつけ、数倍もの体格差があるように見えるにもかかわらず、逆に一歩前に出で容易にミノタウルス♀爆乳帝様を俺たちの方に近づけることはなかった。
その小さな体のどこにそんな胆力があるんだ。
あっ、ミノタウルス♀の蹄(意訳: ブーツ)が凍ってる。
いつの間に魔法を発動したんだ。
「リンダ、てめぇ、邪魔すんじゃねぇ。
友達でも容赦しねぇぞ。」
こっちは何気に蹄の氷を熱風で熔かしている。
雪ん子帝様の所業に業を煮やしたかのようにすごむミノタウルス♀爆乳帝様。
地響きがするような怒声を浴びせられて、今度はちょっとビビったのか目元にうっすらと光るものをためて、それでも両手を広げたままどく様子を見せない健気な雪ん子帝様。
あっ、また蹄を凍らした。
そう、この構図を事情を知らないものが見れば、強面の厳つい自由業の方々から慕われる姉さんが父ちゃんが博打で作った借金のかたに一家にたった一つ残った布団を取りあげようとするのを、家族のために必死に抵抗する幼気な少女というものを彷彿させるものがあった。
うぁぁぁ、ミノタウルス♀爆乳ケツでか強面の厳つい自由業の方々から慕われる姉さん帝様。
その辺でやめておいた方がいいですよ。
世間はきっと家族のたった一枚の布団を守るために必死な健気な幼女帝様に清き一票を入れるに決まっています。
もう、3帝という憧れや尊敬の対象じゃなく、ミノタウルス♀の魔物として討伐対象になり下がってしまいますよ。
「ちょっとぉ、シュリさん、そういう恫喝まがいのことは止めた方がいいですよ。
みんな見ているわよ。
事情を知らないと、魔物から家族を守ろうと立ちはだかった幼気な幼女を丸飲みにしようとしているミノタウルス♀にしか見えないから。」
「ジャンカちゃんの言う通りだよ、シュリちゃん。
まずは落ち着こうよ。
ジェンカちゃんのチームもシュリちゃんの招待状はちゃんと受け取ったんだし。
それにチームが招待を受けるかどうかについては、このスケベと向こうでシュリちゃんの胸をガン見して前かがみから立ち直れていない弩スケベの意思なんてチーム内では間違いなく全く考慮されないと思うの。
だから、このスケベなリュウ君にいくら迫ってもチームに入れるかどうかなんてわからないわよ。」
そういって、おばちゃんとお隠れ帝様も今にも襲い掛かろうとしているミノタウルス♀の前に立ちはだかった。
「おまえら、そろって俺の邪魔をするつもりか。」
そう言うとミノタウルス♀爆乳帝様の顔が怒りで真っ赤になった。
目の前で赤い布を振られて興奮状態Maxの♂猛牛だ。
今まさに、3帝とおばちゃんが激突寸前だ。
俺はどうすればいい。
そうだ、エンたちのようにミノタウルス♀爆乳帝様の怒りでさらにブルンブルンと揺れるメロンを見て、前かがみになればいいんだ。
そうすればこの諍いの部外者となれるはずだ。
その時、事態は予想だにしない方向へ進もうとは。
前かがみになって一瞬目を、事態から目を逸らしていた俺には、今、目の前では何が起こったのか理解できない状況が発生していたのだ。
なんと今度は狂暴幼女が定位置のお淑やかな大男さんの背中から降りて、雪ん子帝様の前に立ちはだかった。
「リンダてめぇ、シュリちゃんを陥れて、ちゃっかりうちのチームに入り込もうという魂胆じゃねぇだろうな。」
狂暴幼女、お前は何を言っているんだ。
"ボルバーナちゃんはお淑やかな大男さんの背中をリンダさんに乗っ取られるのを警戒しているんだと思うわ。"
うぁぁぁ、今度は雪ん子帝対狂暴幼女の対決の構図かぁ。
強面の厳つい自由業の方々から慕われる姉さん借金取りから布団を守る幼気な幼女から、おもちゃの取り合いをする幼女たちへと一気にくだらない争いに低下したな。
"そんなこと言って、茶化してはダメよ、リュウ君。
二人ともお淑やかな大男さんの背中をめぐって真剣なんだから。"
それってやっぱり、人形の取り合いをしている幼女の争いだよな。
微笑ましいというか、どっちも負けるなぁ~っとか、交代で遊べよとか。
"私はリンダさんに勝ってほしいわ。"
それって、狂暴幼女を裏切るってことか。
"お淑やかな大男さんの背中なんて小さい子が二人引っ付いても余裕なんだから、仲良く分け合えば良いと思うの。"
でっ、本音は。
"ミノタウルス♀ケツでか、うちのチームで牛なんて飼う余裕はねぇんだよ。
駄菓子屋に牛舎の併設なんてありえねぇんだよ。
わかったか、牛。"
やっぱりそういうことか。
そんな念話の間でも、雪ん子帝、おばちゃんチーム vs ミノタウルス♀、狂暴幼女はオスにゃんこの縄張り争いであげるうなり声が聞こえてきそうなほど戦いの前の緊迫した空気が目の前で流れていた。
緊迫したにらみ合いの中、意外な人物がその均衡を破ったのだ。
マジかよ。
「お前らなにしたんだ、早く、教室に入れ。
ホームルームが始まっちまうぞ。」
教官と思われる人物の一言で、諍いの空気が静まり、やっべぇ、遅刻するという慌てた雰囲気に一変されたのだ。
「ふんっ、時間切れか。
仕方ねぇ、リュウ、リンダ、この決着は昼休みに着けようぜ。」
おばちゃん、全くミノタウルス♀爆乳帝様に相手されていないんじゃ。
"お黙リ、ポチ。
牛の頭じゃ誰がうちのチームの人事権を握っているか想像もつかないだけなのよ。"
チームの人事権って、なんだ
「もう、シュリちゃん、いつまでもそんなことを言っていないで、遅刻するわよ。
さっ、リンダちゃんも、にらみ合うのはお終いにして教室に急ぐわよ。
こんなスケベをかばって、その寿命を延ばしてやっても、結局は人類の衰退を早めるだけよ。」
俺って、人類の運命を握っているのか。
"それはないわよ。
まぁ、少なくても私とリュウ君の駄菓子屋生活には影響を与えるのは間違いけどね。
だからミノタウルス♀のびよぉぉぉぉぉ~んのプロフィールを受け取っちゃだめよ。
どうしても欲しかったら私のを頭に被せてかぶせてあげるから、何枚でもね。"
重ねて被ると窒息しますがな。
ということで、前かがみから復活できないエンと火力バカ共を放置して、俺たちお淑やかな大男ちんチームと土壁の不落城チームは、まずはクラス分けを確認するために校舎の方に急いでだ。
ここまでの成果
魔力回復: 18%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 32時間41分
(何とか強面の厳つい自由業の方々から慕われる姉さんの借金取りから幼気な雪ん子が布団を守ることができたぞ。
ほっとしたので、スキルUPだぁ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。
本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。
"聖戦士のため息シリーズ "
シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。
・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます
・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき
・別伝2 : 優しさの陽だまり
・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから
・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記
・別伝4 : 炎の誓い