5話目 女神様、降臨
"阿保に理解できるかが甚だ疑問だけど、取り敢えず説明するけど良い。"
はい、女神様。
"その私を崇拝する態度に免じて、特別に教えて進ぜましょう。
おっほん、では。
通常、小隊は一つのユニットとして行動します。
魔法術士が指揮と魔法転写、肉壁ちゃん4人のうち1人は斥候職として正体から離れて行動することが多いです。
ここまでは良いですか、ド阿呆君。"
女神様に蔑まれるなんて、俺は幸せです。
"ド阿呆の上にドMなのリュウ君は。
ツードア砲なのね。
もう、その辺にはこれ以上突っ込むのはなしにしましょう。
で、斥候職じゃない肉壁ちゃん2号と3号は魔法術士様を守る忠義な肉壁ちゃんね。
そして、やんちゃな肉壁ちゃん4号と5号が転写魔法で攻撃というのか一般的な小隊のユニット構成なのよ。
もちろん、斥候職を置かないで忠義な肉壁ちゃんが2体、やんちゃな肉壁ちゃんが3体と言うことも全然変じゃないわよ。
肉壁ちゃんの構成は結局はそれを選ぶ魔法術士の好みに依るわね。
いずれにせよ、間抜けな斥候職とド阿呆の2体しかいない肉壁チームを選ぶ魔法術士はいないわよ。
魔法術士自ら肉壁になりに行くようなものだもの。
わかった。
と言うことで、あんたらのおばかコンビのところに来る魔法術士なんていないのよ。
魔法術士がいないチームは裸で槍を持って敵に突撃、3歩いたところでチュッドーンよ。"
えっ、それって、このままだと肉壁ちゃんにもなれないってこと。
"当然よ。
脳に青カビが繁殖して終わっている君たちは後方支援の紙様にもなれないってことね。
紙様は職業柄、頭を使う必要があるもの。
まぁ、君たちの行く着く先は本当にただの紙ね。"
俺はとんでもないチームに入ったんじぁ。
紙様にもなれずただの紙だなんて。
俺は暢気に横で欠伸をしているエンの方を向いて、声を荒げて言い寄った。
「おいコラ、エン。
なんで俺たちのチームは二人なんだ。
女神様にド阿呆扱いされたぞ。
どうしてくれる。
俺、女神様に嫌われたら生きる希望が寮の飯だけになっちまうぞ。」
エンはチームの名簿を見て、この非常事態だというのひとりニヤついていた。
「まぁ、良いじゃないか。取りあえずチームは組めたんだし。
お前の言う女神がどんな奴か知らないが、そいつに見捨てられたら代わりに俺がお前の女神になってやるから安心しろ。」
俺はブチ切れたぞ。
「お前が俺の女神だぁ~っ、ふざけんなよ。
こんな紙様にもなれないチームに引きずり込んでおいて、どの面下げて俺の女神と言うつもりだ。
だいたい、お前は男だろ。この疫病神。」
「お前にだけは言われたくないぞ。
大体、疫病神なのはお前んところだろ。
息子を肉壁の穴に入れた慰謝料を手に持って、うれしさのあまり近所中を踊りまわって"やったぁ、今夜はお寿司だぁ、回んないやつだぁ。"と叫びまくったお前の家族がそうなんじゃないのか。
お前ん家の慰謝料小躍り事件で、うちの家族まで俺を年季奉公に出したような目で見られてんだぞ。
どうしてくれるこの貧乏神一家がぁ。」
あっ、反論できねぇ。
俺の家族の慰謝料小躍り事件、マジで村の事件簿に載っているらしいからな。
エン、いろいろすまなかった。
反省している。
いや、反省させるぜ、うちの家族を。
"リュウ君、借金のかたでここに入れられちゃったの。"
女神様そうなんです。
年季奉公をしっかりと終えるために、哀れな俺にチームメイトを恵んでください。
ついでにエンはどっかに埋めてきてください。
"しょうがないわねぇ。
そこまで言うのなら私があなたのチームに入ってあげましょう。"
えっ、女神様。こんな俺のためにこの混沌とした世界に降臨なさるというのですか。
"哀れな子羊を飼いならすためです。
みっちり働いてもらいますからね。"
えっ、まだ肉壁の穴の年季奉公も開けていないのに、女神様にも年季奉公をしなければならないということですか。
それって、働き過ぎじゃないないか思うのですが。
"あんた、ここじゃ飯食って寝ているだけよね。
勉強も訓練も真剣に取り組んでいないわよね。
余裕がありまくりだから私に尽くしなさい。
よろしいですね。"
はい、女神様。信徒として一生ついて行きます。
"よろしい、それではチームの名簿を貸しなさい。
名前を書いてあげましょう。"
おぉぉっ、ついに俺の女神様が降臨するのか。
俺はまだにニヤついているエンからチームの用紙をひったくると、それを天に向けて、降臨するであろう女神様に向けて放り投げた。
「シュウ何すんだぁ。俺の大事なアイテムを放り投げてぇぇぇぇ。
また一からチームを作れっていうのかぁぁぁぁぁぁぁ。」
女神様、お願いします。
俺が放り投げた用紙を、エンよりも早く、後ろから奪う様に鷲づかみする者が現れた。
そして、近くの机に用紙をバンッとおくと何か書き始めた。
この方がもしかして俺のために現世に降臨した女神様か。
「はい。これで私もチームの一員。
いやぁ、やばかったぁ。おひとり様コースかと思ったぁ。ボソ」
この方が俺を救済してくれる女神様かぁ。
おぉっと、ぼ~っと立っている場合じゃないな。
下僕としてはご挨拶しないと。
俺は席をたち、用紙と向き合っている女神様の前に跪く。
「リュウ、お前何してんの。そして、こいつ誰? 」
こりゃぁ、エン、俺の女神様に何ちゅう態度だぁ。
お前の大事なアイテムに何も言わず名前を追記してくれた女神様だぞ。
俺は跪き、頭を下げたまま後ろにいるエンに怒鳴る。
「女神様の御前であるぞ、お前は土下座しろ。
頭が床に埋まるぐらいの正式な土下座だ。」
「俺が何でこのメガネっ子に土下座しなきゃなんないわけ。
でっ、お前、誰?」
「私はジェンカ。あなたたちのチームに呼ばれたの。よろしくね。」
「えっ、チームに入ってくれんの。本当かぁ。」
と言うとエンは俺の隣でジャンピング土下座だ。
「この度はこんなつたない疫病神と貧乏神のチームにお入りいただき誠にありがとうございます、女神様。
私は・・・・・」
「エン君よねぇ。君はクラスで有名だもん。
この一週間、クラスの女の子たちに付きまとって、ハーレムチームを作ろうって無差別に誘っていたわよね。」
あぁっ、だからエンはどのチームにも入れてもらえなかったんだな。
完全にハブられていたんだ。
しかし、こいつもやってることが中学までとおんなじだな。
んっ、女神様は・・・・・・
"貧乏神は余計なことを考えないで、私に尽くすことだけを考えていればいいのよ、わかった。"
ここまでの成果
魔力回復: 1%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 47時間29分
(女神様降臨でちょっとスキルが上がった。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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