2話目 魔法術士の必須条件
門を通ると騒がしい人だかりが二つ出来ていた。
一つは男5人組に群がる魔法学校の制服を着た女生徒。
もう人は女5人組に跪く魔法学校の制服を着た野郎ども。
男5人組はこれがまた、イケメンぞろい。
これだけそろえば、どこへ行ってもあっという間に女の子が群がってくるな。
もう、女の子が目当てでチームを組んだとしか思えん。
女生徒の目がうっとりとしているぞ。
エンや火力バカどもなんて、こいつらに比べると同じ人類とは思えんな。
こいつらが満開の桜だとするとエンたちはその下の地面に這いつくばった雑草、もう、踏んでいることすら誰も気が付かないレベルだ。
もう一方の女の子5人組はこれまたすごい。
かわいい感じの美少女系から同じ年とは思えない妖艶な美女がそろい踏み。
そして、ボディの方は顔とその雰囲気に合わせてミノタウルスからエルフ並みのスレンダーなところまでと豊富な品ぞろえ。
好みの子はど~れかな、という感じだ。
"リュウ君はミノタウルスが良いの、それともひょろっとしたトレント族、或いは香ばしそうな小柄なゴブリン? "
何でみんな魔物になってるの。
"リュウ君、顔や体でだけで判断しちゃダメ。
見てごらんなさい、男共を侍らせてへらへらしている女なんて悪魔か魔物なのよ。
よく覚えておいて。"
じゃぁ、おばちゃんはあのイケメンたちも魔物だというのか。
"もちろんそうよ。
女の子にキャーッ、キャーッ言われて当然だという態度を取っている奴なんてオオカミや虎、蛇にGよ、G、G。"
おばちゃん、やけにGにこだわるな。
イケメンに何かいやな思いででもあんのか。
"心配しないでリュウ君。
私はイケメンなんかと全く接点がないから。
相手にされてないから。
道端の雑草と同じで踏んでもその認識がないから。"
おばちゃん、さすがにそれを自分で言って空しくないか。
"いいの。いいの。
私はリュウ君一筋だから。
他の男の子にどう思われようと気にしてないから
リュウ君とこうして心を交わしていることが一番大事なことなの。
あっ、言っちゃったぁ♡。てへっ。"
てへっと♡の意味が相変わらず分からん。
「くっそう、やっぱりこうなったか。
見ているだけで腹が立つな。」
エンが騒ぎの様子を見て不満そうにつぶやいた。
「エン、やっぱりそうなったかって、何か知っているのか。」
「あぁ、あいつらはバートリの肉壁の穴から来たイケメン肉壁ちゃんチームだ。
何でもバートリの担当地区以外からもイケメンの肉壁ちゃん候補をスカウトして結成されたチームらしい。」
「わざわざ他の地域から集めたのか。」
「安心しろ、リュウ。
ソンバト地区からは一人もスカウトされていない。」
「それのどこを安心しろって言うんだ。」
「ソンバト地区だったら、まだ顔で勝負できる可能性があるってこった。」
「意味が分からんぞ。
それよりもエン、まさかお前、顔で勝負するつもりなのか。」
「ふん。エン、てめぇの家には鏡と言うものがねぇんか。
あっ、見た瞬間に割れちまったか、そういうことか。
余りの醜悪さに鏡の方が耐えられなかったんだよな。」
「そんな男の顔を評する一丁前なことは、胸に脂肪がついてからにしろ。
幼児体形の奴が男を語るんじゃねぇ、わかったか。」
「てめぇ、エン、覚えてろよ。
16歳の花も恥じらう乙女を捉まえて幼児扱いするとは。
てめぇのような奴は生きている価値がねぇってことを思い知れ。
進級式の前に校舎に吊るしてやるから、半年反省してろ。」
「へんっ、もう忘れたぜぇ。」
凶暴幼女よ、威勢のいいことを叫んでいるけどな。
お淑やかな大男さんの背負われている時点でお察しさんだぞ。
「エン、と言うことは、あっちのキラキラ美少女、美女軍団もそうなのか。」
「あぁ、そうだぞ。あいつらはザラエルの肉壁ちゃんチームらしい。
うあぁぁぁぁ、あのバインバインの胸の脂肪こそミス肉壁ちゃんと言うのにふさわしいよな、リュウ。
あぁっ、あの谷間に顔を埋めたいよ。
なっ、リュウ、お前もそう思うだろ。」
「んっ、う~ん、まあ、そうだな。
エレン教官よりでかいんじゃないか。」
"そんなに脂肪に顔をうずめたいんなら、いつでも私のサイズアップした胸に飛びんできて良いわよ、リュウ君。
さっ、さっ、はやくぅぅぅ。"
「でも、それって登校前の校門の前でやる事じゃないな。
と言うことで、そういう妄想は口に出して言うなよ、エン。」
おばちゃんも。
"リュウ君のいけずぅぅぅ。"
「でっ、あの人だかりはイケメンと美女にお近づきになりたい一年間の魔法学校の生活でうっぷんの溜まった奴らなのか。」
「まぁな。
でも、ただ仲良くなりたいから寄り付いているわけじゃないぞ。
あのイケメン、美女の肉壁ちゃんチームをゲットすべく競っている魔法術士様様たちだよ。
まったく、あのバートリのイケメンが羨ましいよ。
女の子に囲まれて、ちやほやされて。
入れ食いじゃないか。」
「えっと、あいつらは既に招待状を何通も受け取って、その中の一人とすでに新チームを結成してんじゃないのか。」
エンは腕を組んでちょっと顎を上げて偉そうにして言う。
「情報によるとだな、あいつらはすべての招待を断ったということだ。」
「気に入った魔法術士がいなかったということなの。」
「お気に入りの魔法術士から招待状が来なかったからじゃねぇのか。」
「ジェンカ、幼児体形、そうじゃないぞ。
実際に見て、特にプロフィールに書かれていなかった3サイズとかを確かめるためだということだ。」
「あっちの美女軍団もそうなのか。
野郎の3サイズを知りたいのか。」
エンは両手を上げて、あきれたような目で俺を見た。
「弩阿呆、男の3サイズなんて知りたいわけないだろうが。」
"私はリュウ君の3サイズは知っているわよ。"
えっ、なんで。
"乙女の秘密の力よ。"
おばちゃん、乙女って・・・・・、自分で言ってて恥ずかしくないか。
"もぅ、リュウ君のいけずぅ。"
「美女軍団の方は顔と体型、魔法の能力はもちろんだがそれよりも大事なことがあるらしいぞ。」
「エン、肉壁ちゃんが魔法術士に求めるものって、魔法の能力とか、魔力の大きさとかじゃないのか。
なっ、おばちゃんはそれ以外に大事なモノってわかるか。」
「そうねぇ、やっぱり魔法術士としての能力が一番、あとは、性格かなぁ。
どんなに優れた能力を持っていても、相性が悪ったらチームとしての力が半減しちゃうものね。」
「ジェンカも一応女なんだろ。
そんなんで将来どうする。
こんな弩阿呆のリュウに一生ついて行くつもりか。」
「そのつもりよ。それが私の幸せなんだよ。」
おばちゃん、俺に一生付きまとうつもりか。何かの祟りか。
"もう、手遅れです。あなたの女神は私です。"
女神ぃぃぃぃ。だから、そりゃないでしょ、前もそういう結論に達したよな。
掃除のおばちゃんって。
"はいはい、おばちゃんは一生リュウ君を祟りますよ♡。
もう、憑りついて離れませんよぉ♡。"
だから、その無意味なハートはなんだ。
「で、元ザビエル弟、奴らビッチな雌どもが招待を受けなかった理由ってのはなんだ。早く言え。」
「まぁ、幼児体形には想像もつかないだろうけどな、一応教えてやる。」
「お前、この後に頭のてっぺんの毛根を全滅させて、礼拝堂に磔決定な。」
「彼女たちの魔法術士に求める一番の条件って何なの。」
「ジェンカ、それは実家の財産だ。
おまえだったら、多少はわかるよな、幼児体形と違って。」
ここまでの成果
魔力回復: 14%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 29時間42分
(実家の財産が男の価値を決めるぅぅぅ。まっ、俺とは一生関係のない話だな。ということでスキルがdownしたぁぁ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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