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35話目 この一撃に命を懸ける武士の凄み

訓練場での顔合わせ(意訳: おばちゃんの3帝への一方的な宣戦布告)も無事に終わり、俺たちは演習の出番まで一端教室に引き上げてきた。

今日の演習は3チームで1個中隊を作り、例の校外にある演習場での戦いだ。

森を挟んで両中隊が対峙し戦うのだ。


俺たちの中隊は同じクラスの3チームで構成されるらしい。

中隊編成とそこに入る幼年魔法学校の魔法術士は教官が指定してくる。

もちろん、戦う相手もだ。

今日の相手は別のクラスのチームで構成されているとのうわさだ。


どのチームと戦うのかを探り、事前に対策を練るのも演習における重要な訓練となっている。

まぁ、ぶっちゃけ、エンの情報収集能力をもってしても今日の大戦相手はわからなかった。


「エン、隣のクラスの女子の今日のパンツの色を調べてニタニタして俺に報告してくるよりも、今日の相手のことを調べて来いよ。」


俺は隣でパンツの話しかしないエンに文句を言った。


「甘いなリュウ、このパンツ情報も重要な武器だ。」

「エン、お前の気は確かか。そんな情報が戦いに役立つもんか。」

「これだから情報の素人は困るんだよな。

いいか、今まさに転写攻撃魔法を放とうとしている女子に"お前の今日のパンツは黒のレース"とか叫んでみろ。

どうなると思う。」


「エンの変態の評判がうなぎ上り。」

「違うだろうがぁ、ぼけぇ。

何でそれを知ってんのぉぉぉぉっとビックリすんのと当てられた恥ずかしさで転写魔法の発動が止まっちゃうんだよ。

つい、お股に手が行っちまうだろ。」

「そして、真っ赤な顔をしてエンだけに転写攻撃魔法を集中、エンは見事にあの川の向こうのじっちゃと久しぶりのご対面と言うことか。」

「うちのじいさまは二人とも生きている。」

「じゃ、ぱっちゃだな。」


「もう一つ、転写防御魔法を展開しようとしている女子に"お前の今日のパンツ、布がない、紐"って言ったらどうなると思う。」

「さっきの黒パンツの例からすると転写防御魔法が発動できないという所かな。」

「そこに攻撃魔法、ファイヤーボールレベル6をたたき込むとどうなる。」

「まぁ、全身が火だるまになって、戦力外。治癒魔法レベル4が必要かな。」

「リュウ、おまえ、全くわかってねぇな。」

「レベル4じゃ直り切らないか、じゃぁレベル5で。」

「リュウはとことん阿保だな。」

「レベル6か。」


「違う、違うぞ。女子の服が全部焼けて、ま〇裸。

うっ、想像したら鼻血が・・・・。」


「そこの弩スケベ、全女子の敵。天に代わって俺が成敗してやる。」


凶暴幼女の転写魔法用魔道具の杖がエンの腹に見事に食い込んだ。


"あ~ぁ、演習が始まる前に一人戦死しましたとさ。"


おばちゃん、冷静だな。

ところで、今日の対戦相手の情報は掴めたか。


"それが全然なのよ。

情報なしで戦うしかないわね。

それに斥候職のエン君がたった今、地獄の一丁目にある教会に赴任して行ったから、演習中での敵索も困難。

敵がのこのこ出てきたところを叩くしかないわね。"


エンでも演習では役に立ってたんだな。

礼拝堂で祈りを捧げるときにだけかと思ってたよ、ザビエル弟が役に立つなんて。


"まぁ、まずは敵よりも味方の確認の方が大事じゃない。"


あぁ、そうだな。

おばちゃん、うちの中隊の編成は今日はどうなってんだ。


"私たちに入る魔法術士はよっちゃんよ。"


よっちゃん、水かぁ。

そうすると俺たちのチームは防御と治療担当か。


"よっちゃん、最近、氷属性の攻撃魔法でアイスアロー、アイスランスを覚えたって言ってたよ。

森から出てきた相手にリュウ君が高密度でアイスアローを降り注げば敵の足止めが可能じゃないの。"


そっかぁ。今日は転写アイスアローで足止めかぁ。


"それでつった立った対戦相手にアイスランスを打ち込めばいいんじゃない。"


わかった。アイスアローとアイスランスだな。


"アイスアローは広範囲に、高密度でお願いね。

3帝に見せてあげましょうよ、私のリュウ君の実力を♡。"


私のって?


"まぁまぁ、細かいことは気にせずに。ポチの飼い主だから私は。

えっと、リュウ君の出番は最後の最後ね。"


えっ、相手が森を出てきたらすぐにぶっ放すんじゃないのか。


"まぁね私はそれで良いんだけどね。

一応、中隊を組むからね。

ねっ、わかるでしょ。"


ねっ、じゃわかんないよ。


"もう一つのチームは例の火力バカチームよ。"


火力バカチーム・・・・・。

あっ、あいつらが突撃するから範囲魔法のアイスアローが使えないと言うことか。


"まっ、ねぇ。

エン君はボルバーナちゃんが撃沈してくれたんで、私の指示を無視して勝手に突っ込んで行く弩阿呆が一人は減ったんだけどねぇ。

炎を纏ったバカチームは相手を見たら我慢できるわけないよね。

5人で一斉に突っ込むよね。"


炎を纏うか・・・・、じゃぁ火力バカの魔法術士はいつものしいちゃんか。


"薄幸の少女。"


よっちゃんとどっちが不幸なんだ。


"エン君がいるか、いないかね。

あいつ、毎朝、あいさつ代わりにパンツの色聞いてくんのよ。"


もしかして、肉壁の穴と幼年魔法学校の女子すべてに聞いているのか。

どんだけパンツが好きなんだ。

そんなに好きなら頭に自分のパンツを被ってればいいのにな。

毛根が消滅してザビエル君化しているから、帽子の代わりに丁度良い感じになるんじゃないか。


"ちなみに全員じゃないわよ・・・・・・。

それに、生徒だけじゃなくて、教官にもよ。

さすがに食堂のおばちゃんたちと購買のおばちゃんには聞いていないみたいだけど。"


えっと、エンの阿保はパンツの色を聞いてもらえないお方にさっき沈められたんじゃないのか。


"お答えし難い質問なので、黙秘します。"


一応、聞いてやれよ。エン。


"聞いたら聞いたてで窓枠に吊るされそうだけどね。"


ところで、もうひとチームはどこだ。

同じクラスなんだろ。


なぜかおばちゃんの表情がほっとしたものになった。


「えぇともう一つはね、あそこにいる"土壁の不落城"チームよ。

構成は土属性魔法術士のめいちゃん。

それと魔法防御が得意な3人と物理防御担当1、スナイパーのスキル持ちが1という構成ね。」


「あぁ、魔法防御で敵の攻撃を耐えている間に、めいちゃんにダイヤモンドの弾を創成してもらって、スナイパーのスキルで確実に敵を一人一人を沈めるって感じだったよな。」

「よく覚えていたわね。

私たちも何度か演習で対戦しているよね。

ポチ、偉いぞ。後でギュッと抱き締めて、よしよしとブラッシングをしてあげるね♡。」


「取り敢えず敵が見えたら突撃していく火力バカ共をそのスナイパーに狙撃してもらって、前面にバカ共がいなくなったら、俺がアイスアローで足止め。

俺のアイスランスとスナイパーさんで確実に相手を沈める作戦ってことで決定だよな。」


「う~ん、そうもいかないのよ。

さっき、土壁の不落城のリーダーと話したんだけどね。

取り敢えず火力バカ共を突っ込ませて、対戦相手を多少でも削ってもらおうだって。」

「そんな流暢なことやってないで、火力バカ共を一掃した方が早いんじゃないのか。

敵だってただ真っ直ぐこっちの陣地に突っ込んで来るわけじゃないだろ。」


「真っ直ぐ敵に突っ込んできてもらうために火力バカを突っ込ませるのよ。

火力バカ共の火力は一応はバカにではないじゃない。

それを受けた対戦相手は防御のために固まらなきゃならない。

そこにリュウ君のアイスアローをばらまけば、相手は固まったまま動けない。

とどめにアイスランスとダイヤモンドの弾を打ち込むの。

相手が固まりさえすれば、火力バカ共の役目は終わりだから、あとはどうなろうと構わないって話になったのよ。」


「その作戦って、土壁の不落城は良いとしても火力バカ共は同意したのか。」

「相手に突っ込めて、一発大技を叩き込めれば満足だって。

後は煮るなり焼くなりしてくれって、キッパリと言われたよ。」


一点に全てを掛ける火力バカ共の凄みに俺は一瞬体が震えた。


ここまでの成果

魔力回復: 6%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 33時間03分

(作戦も決まって、戦うぞぉ。気合が満ちてスキルUP。)



活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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