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35話目 決戦 その5

黒い霧の消えた戦場に目を向けると、反撃に出たエルフ第2師団本隊からと思える歓声とニャンコ軍団からと思われる怒号と悲鳴が交錯していた。

そして、エルフ軍の反撃とそれに応戦するニャンコ軍からは黒い霧ではなく土煙が上がっていた。


そのような状況に魔族部隊は黒い霧による自軍の優位性を再構築するために、黒い霧をニャンコ上軍の後方に再度発動しようと試みていた。

しかし、それはエルフ軍の黒い霧担当部隊の風属性魔法と俺の転写水属性魔法に依り、前方に広がる前に再度消滅させられていた。

2度の黒い霧の消滅により、エルフ軍がこれまで持っていなかった黒い霧の消滅方法を有していることを悟ったのか、魔族部隊はこれ以上の黒い霧の発動をあきらめたようにおとなしくなった。


おばちゃん、魔族部隊が黒い霧の発動を止めて黙っちゃたんだけど、そいつらは今どうしているかエンは把握していないか。

細かいところまでここからじゃぁ、見えないんだよ。


"魔族部隊が黒い霧の発動をもうやめたの。

諦めが早いわね。

そんな淡白なことじゃ、好きな女の子を満足させられないわよ。

ねっ、リュウ君。


・・・・・そんなことを俺に聞くな。


"とりあえず淡白な魔族部隊がどんな状況かエン君に聞いてみるわね。

もう、腰の体力を使い果たしてぐたぁ~っとしてへたり込んでいるかもね。"


いや、へたり込んではいないようだけど。

まぁ、攻撃をあきらめた魔族部隊が撤退の準備を始めているなら、俺も早めに氷属性フィールドの罠を張らなきゃいけないからな。

奴らを絶対に逃がしたくはないしな。

しかし、エルフ中隊が人類の水属性魔法術士との連携をあと一回ぐらいは経験できると思ったのにな。


"エン君によると魔族部隊はその中で何か相談というか、言い合っているみたいよ。

恐らく撤退か黒い霧を再度発動するか内部でもめているんじゃない。

再々度に黒い霧を発生させリュウ君たちに消失させられたら、流石に撤退を始めるんじゃないのかな。"


再々度黒い霧が出て来るか。

そうすると氷属性フィールドの罠を仕掛けるのは少し待つか。


"いえ、直ぐに氷の罠を仕掛けておいて。

魔族部隊じゃなくて、その先にいるニャンコ軍団が持たないみたい。

マスクマンさんによるともう間もなくニャンコ上軍中央部の前線が崩壊しそう。

生きているか死んでいるかわからないゾンビさんの報告では、ニャンコ軍左翼はエルフ軍第2師団本隊左翼と左翼囮部隊に挟撃されてなんかボロボロみたいよ。"


ニャンコ上軍左翼が崩れたらそのまま中央部も、やがて右翼も崩れして総撤退するしかなくなるか。

今更黒い霧を出してもこの戦いの流れは変えられないようだな。

わかった、直ぐに氷の罠を張るよ。


"そうしてくれるかな。

私たち右翼攻撃隊本部も今から駄犬共を出して、敵中央部に突撃させて中央部の崩壊を早めてやるから。"


駄犬共を出すのか。

また、追尾型の巨大ファヤーボールで追いかけられるのかな。

鬼気迫る表情で巨大ファヤーボールから逃げている奴らが自分でもファイヤーボールを打ち出しながら突っ込んできたら、訳の分からない図柄で襲い掛かられる方からするとそりゃぁ恐怖だよな。


「おしめ幼女、ちょっといいか。」

「おしめ言うな。ちゃんとかわいいクマさんパンツを履いてるって言ってるだろがぁ。

見せてやんねぇけどな。

でどうした、弩阿呆。」

「おばちゃんからの指示で、いまからここと魔族部隊との間に巨大な転写氷属性フィールドを張るからな。

味方にここより前に出ないように伝えてくれ。

入ったら氷の彫刻だからな。」

「おぉ、わかった。

皆に伝えてくる。」


という、声が下草の中から聞こえてきた。

相変わらず見えねぇ。


そのとき後ろから、まだ、そう近くはないのだが大きな音が聞こえてきた。

何だぁ

駄犬共と巨大ファイヤーボールの鬼ごっこでも始まったのか。

そういえば駄犬共がニャンコ軍団に突っ込んで行くのに、氷属性フィールドを張っても良いのかな。

足が凍って動けなくなり、そこを敵の猫パンチの乱れ打ち。

あっ、巨大ファイヤーボールの熱で氷属性フィールドが相殺されるからいいのか。


"リュウ君、大変。

後ろからニャンコ中軍が進軍してきたらしいわよ。

今入ったエルフの偵察兵からの情報だと、私たち右翼攻撃部隊本隊が中軍の先頭と接触するまで約15分。

リュウ君たち黒い霧担当部隊と接触するのは20分弱というところ。"


えっ。

それって、ニャンコ上軍を挟撃するつもりが逆に俺たちがニャンコ上軍と中軍にそうされそうってことか。


"ごめん、油断してた。

右翼攻撃部隊の索敵担当が旅団の3人しかいなかったからニャンコ上軍の監視しかできなかったわ。

中軍の索敵はエルフ軍にお願いしていたから念話が使えずに索敵して異変を捉えても報告に戻ってこなければならなくて、いつもより情報伝達に時間が掛かるのを忘れてた。"


どうする、おばちゃん。

今のところ標的の魔族部隊は黒い霧を再度出すつもりはなさそうだよな。

そのためエルフ軍第2師団本隊と左翼囮部隊も本格的に反攻を開始出来たので、今回の作戦の最低目標ラインはクリアー出来たと思うんだけど。


"う~ん、そうなんだけど。

ここまでニャンコ上軍を追い詰めたのならそいつらだけでもちゃんと叩いておきたいのよね。

そうすればエルフ軍の自信になるし、今回の経験をうまく生かすことができれば次に魔族部隊が派遣されてきてもうまく対処できるようになると思うのよね。"


おばちゃんはきちんとエルフ第2師団に成功体験を積ませたいと言うことか。


"まぁねぇ。"


でもそれで俺たち旅団がニャンコ中軍と上軍に挟み撃ち、逆に殲滅されたら意味がないと思うけど。


"う~ん。

出来れば使いたくなかったけどやるしかないわね。

仕方ないかぁ。"


なんか妙手があるのか、この状況を打破できる。

だったら、早くやろうよ。

ニャンコ中軍が右翼攻撃隊本隊と接触するまで時間がないし。


"ニャンコ上軍は叩く、特に魔族部隊は殲滅する。

そして、ニャンコ中軍にはある程度被害を与えておいて、さらに、ニャンコ上軍が徹底的に叩かれるのを見て戦意喪失。

ニャンコ上軍の生き残りを回収しつつ、ニャンコ軍団は全軍撤退。

という感じにもっていくかぁ。"


そんな都合の良い作戦があるのか。

あるなら早くやろうよ。

その作戦をおしえてくれ。

オムツ幼女に伝えなきゃなんないし。


"そんなに慌てなくても良いわよ。

引き付けておいた方が効果が大きいし。

それにこの作戦の要はリュウ君の頑張りだし。

それ以外は他の人とそんなに連携は必要としない作戦だしね。"


俺の頑張り次第?


"魔力が枯渇、倒れて動けなくなるぐらい頑張ってもらうから。

そこに駆け寄る私。

そして、「今晩」は「藪の中」でずっと看病(意訳: おばちゃんの好き放題)。

良いんじゃねぇ、ムフフフフフ。

よし、決まり。

この作戦最高だわ。"


えっ、俺が倒れるのが最高の作戦なのか。


"私にとってね♡。

よし、ポチ、よ~くお聞きなさい。

今から私の言う通りにして。

そして、今晩と藪の中に突入よ♡。"


えっ、それって俺にとって最悪な作戦なんじゃぁ・・・・・・


ここまでの成果

魔力回復: 15% + 25+20%(ボーナス♡+欲望♡) + 20%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 24時間56分(回復の足を引っ張る欲望♡)

(俺がやられる作戦なのか。

スキルの魔力回復量がなぜか60%から80%に上がったぞ。

それでも魔力枯渇する作戦・・・・・)

(どっちかと言えば、世間様的には私がヤラレるっていう感じじゃねぇ♡。

まぁ、世間様がどう思おうと良いわよね、リュウ君。(おばちゃんターン))

(ジェンカちゃんに弩阿呆君が好き放題される前に、弩スケベ君に横取りさせなきゃね♥。(腐女帝様ターン))

(そしてクールタイムが異様に伸びた・・・・・、回復し難い・・・・・。

うぁぁぁぁぁぁ、魔力が回復しないと動けねぇぇぇ・・・・・)


突然ですが、本作品は8/27日公開 第215部分で終了となります.

1年半もの間、お付き合いくださりありがとうございます。


続けて、9/3より次回作、「精霊と魔物、そして人が渦巻く世界 聖戦士の憂い 」が始まります。


引き続き、宜しくお願い致します.


9/3日は1~8話を一挙に公開予定です。

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