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31話目 決戦 その1

10分前か、いよいよか。

おばちゃんの答えに俺は気を引き締めた。

10分後にではないが、作戦が想定通りに進めば1時間もしたら戦いの場に移動せねばならない。


そんなことを考えていたら、おばちゃんが旅団員に向けて念話を送ってきた。

もちろん全員同時にではなく、2~3人まとめてだが。


"リンダちゃんはリュウ君に黒い霧無効化用にウォターニードル・レベル4とウォターアロー・レベル3、防御用にアイスシールド・レベル4を転写して。

エリカちゃんはリュウ君に、万が一の備えとして、雷属性フィールドとサンダーアロー・レベル4、サンダー・シールド・レベル4もお願いね。

あっ、それとエルフ部隊が役に立たないといけないので暴風・レベル3も付けといて。"


結局、水属性魔法を黒い霧と標的に向けてと使うのは俺だけになった。

旅団の攻撃部隊として転写水属性魔法を発動できるのは火力バカ共も考えられるけど、ただ敵に突っ込んで行く、逝くしか能のない駄犬共にエルフ部隊との共同作業など期待できるはずもなく・・・・・・。

まぁ、駄犬共はいつものように飼い主の魔牛乳帝様に巨大ファイヤーボールを転写してもらって、黒い霧が無効化された後にニャンコ上軍に突っ込んでもらい敵を混乱させる役割を追うことになった。

もちろん、そんな細かい指示を駄犬に話してもちっとも理解できないので、頃合いが来たら魔牛乳帝様がファイヤーボールを転写してするので、転写してもらったらニャンコ軍団に突っ込んで踏みつけて来いという簡単な指示をもらっていた。


おばちゃんと姉御、グロさん、そして、弩S腐女帝様は参謀さん他数名のエルフ軍幹部と共に共同部隊の本部となる指揮隊を形成。

火力バカチームは本部に付随して、本部の指示の下で駄犬を放たれるタイミングを待つことに。

土壁チームは本部の防衛を担当することになっている。

参謀さんにくっついて来たエルフ1個大隊のうち2個中隊は本部の防衛と共に、黒い霧が無効化されたらニャンコ上軍の後方から突撃し、混乱に拍車をかけることになっている。


黒い霧の無効化担当は俺とエルフ1個中隊。

一緒に行くエルフ兵はエルフ軍第2師団の中でも特に風属性魔法に優れた兵、少なくとも暴風・レベル5以上の使い手をそろえてくれたようだ。

この黒い霧無効化担当部隊にはスナイパーさんも同行し、標的を発見次第にズドンッと闇に葬ることに。

さらに、おしめ幼女とお淑やかな大男さんも同行し、俺とスナイパーさんの防壁を担当してくれることになった。

ちなみに、黒い霧無効化担当部隊はおしめ幼女隊長に率いられることになった。

おしめも外れない幼女に命を預けることになろうとは、これは前途多難だなと思った瞬間に哺乳瓶、いや、鉄アレイが俺の後頭部を直撃したのは一昨日の夕方だった。


あっ、ちなみに小者隊長は真小者連隊長とキョドリ部隊を形成するため、じゃなくて。

おばちゃんとの念話の連絡要員として左翼囮部隊と同行することになった。

腹黒さんにはやばくなったら二人はいつでも切って言いとおばちゃんが言ったとか、言わなかったとか。


左翼囮部隊が目の前を通過したニャンコ上軍の側面から攻撃を開始し、敵の注意がその左翼に向いた時点で右翼攻撃部隊はニャンコ軍団中央部に移動を開始し、側面後方1500mの所に右翼攻撃部隊の本部を設置する。

そして、俺がいる黒い霧無効化部隊はさらにニャンコ上軍中心部に近づき、最低でも1000m、出来れば500mまで近づいてから黒い霧の無効化と標的への直接攻撃を敢行することになっている。


"だだ今、5時55分。

5分後にエルフ軍第2師団本隊が漸く起きたばかりのニャンコ上軍へ進撃を開始する。

右翼攻撃部隊の各員は周囲の監視と戦闘準備を怠るな。"


おばちゃんが主要メンバーに念話の指示を送る。


* * * * * *


ほどなくして遠くの方で雄叫びと風属性魔法で舞い上げられた土煙がニャンコ上軍を覆うのを確認できた。

いよいよ作戦開始だ。


雄叫びは響き続け、土煙はだんだんとひどくなってきた。

風属性魔法に依る土煙の為、ニャンコ軍団後方に流れていく。


ありぁ、このままだと俺たちが行かなくても黒い霧が薄まってしまうんじゃないか。


"ニャンコ軍団が反撃に出れば第2師団本隊もそうそう強く風属性魔法を発動し続けることはできないわよ。

先手を取ったので一方的にニャンコ上軍の中央部を集中的に攻めているから、今はそうなって見えているだけよ。"


* * * * * *


攻撃開始から15分が経過した。


ここでようやくニャンコ軍団の混乱が収まって、反撃に出たようだ。

ニャンコたちの雄叫び、悲鳴ではなく、盛りの付いた雄ニャンコのような威勢の良い叫び声が聞こえてきた。

それと共に土煙も中央部に固まっていたのがニャンコ上軍全体に広がってきた。

ニャンコ兵たちの反撃の準備が整って、エルフ軍に向かって前進を開始したためにこれまで以上に土煙の量が増えたように見えるのかもしれない。


やがて、雄叫びと土煙はエルフ軍の方に向かって徐々に進行していた。


"もう少し経ったら目の前をニャンコ上軍が通過しそうね。

第2師団本隊もうまくニャンコ軍団を引き込んでいるじゃない。"


たしかに、雄叫びというかニャンコの遠吠えの方が大きく聞こえるようになった。

先手の勢いに乗ったエルフ軍が前進を止めたため、こんどはニャンコ軍団が嵩に懸かって攻め立てるつもりのようだ。


"あっ、ニャンコ上軍の中央部を見て。"


おばちゃんの言葉に俺はその付近に目を凝らした。

おっ、黒い霧が出てきている。

これを前方に流して、エルフ軍の風属性魔法を止めて、一気に攻め立てるつもりだな。

風属性魔法もそうだが、それに乗って流れてくる矢も相当な威力を発揮し、ニャンコ軍団に被害をもたらしているようだからな。

予想通りにエルフ軍の風属性魔法を黒い霧で止めに来たか。


"黒い霧を見た第2師団本隊は後退を始めるわよ。

作戦ではそうなったら左翼囮部隊が騒ぎ始めるはず。"


小者隊長に念を押した方が良いんじゃないか。

目の前を通り過ぎたら左翼囮部隊はニャンコ軍団に攻撃を開始しろって。


"もう3回も念話したわよ。"


じゃぁ、安心だよね。


"3回とも念話で「あっ、はいぃぃっ」ってキョドってたけどね。"


実に不安だ。

何せ左翼囮部隊の隊長がキョドりコンビの片割れだからな。

それにおばちゃんの指示を伝えるのはもう一人のキョドりかぁ。


"せめて左翼囮隊の伝言役は姉御がグロさんに頼むべきだったかもね。"


今更言ってもねぇ。

まぁ、昨日の晩に「俺にも何か仕事をくれぇぇぇ」って、なぜか俺に縋るように泣きついて来たもんな、キョドり小者隊長が。

それを見た腐女帝様の目がピカ~っと光ったんだよな。

いつにない小者隊長の迫力と怪しく光る腐女帝様の眼光に耐えられず、つい、おばちゃんが伝言役に抜擢したのが失敗だったかも。


"何を言ってるの、ポチは。

あのまま小者隊長を太ももに縋りつかせて於いたら、お隠れ様のうっすい本の最新号の表紙と裏表紙はその図柄に決定したのよ。

しかも顔は詳細描写。

それで良かったの、リュウ君。

それにキョドりのせいで今回の作戦がうまくいかなかったら、旅団司令官にそっと小者隊長の首を差し出せば良いだけなんだし。"


あぁ、そうですね。

作戦が失敗したら小者隊長の首で勘弁してもらうのは大変良い考えだと思います、はい。


ここまでの成果

魔力回復: 10% + 20%(ボーナス♡) + 30%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 16時間47分

(いよいよ始まったな。)

(いやぁ、ここまで来るのが大変だったわ。

私たち旅団員(ただし、一部、小者隊長を除く)だけだったら、転移してきたその日に片が付いたのにね。(おばちゃんターン))

(うだうだの会議でどうしたものかと思ったけど、最後に良い収穫があったわぁ♥。

詳細にメモっとかないとね。(腐女帝様ターン))

(かぁぁぁ、あれは忘れてくれぇぇぇ、メモも捨ててくれぇぇぇぇ。)

(むりぃぃぃぃ♥。(腐女帝様ターン))


突然ですが、本作品は8/27日公開 第215部分で終了となります。

1年半もの間、お付き合いくださりありがとうございます。


続けて、9/3より次回作、「精霊と魔物、そして人が渦巻く世界 聖戦士の憂い 」が始まります。

引き続き、宜しくお願い致します。


9/3日は1~8話を一挙に公開予定です。


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