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25話目 私の気遣いに報いてね♡

おばちゃんが再度、席を立って話を続けた。


「人類軍の黒い霧への対処法と、今回の作戦でもそのように実施するつもりであることを理解していただけたでしようか。

今回の対処法は再度魔族部隊にエルフ軍が対峙した場合でも有効となるように、その時は人類軍の水魔法術士を派遣する用意がある事もわかっていただけましたか。」


おばちゃんの問いに対面しているエルフ軍幹部たちは各々頷いて、同意の意を示している。

作戦に対する情報共有がエルフ連隊幹部と旅団の中で構築されていく中で、真ん中に座っているのに目をキョドらせている真小者連隊長は既に話について来れていないようだが。

まぁ、エルフ連隊の真の指揮官、腹黒さんが理解しているようなので特に問題はないだろう。


おばちゃんはエルフ連隊側が情報を十分に理解していかを確認するかのように、少し言葉を途切らせた後に再び話を続けた。


「黒い霧への情報、そして、基本的な戦術に同意いただけたようなので、次は今回の具体的な戦い方、我々の共同作戦について話し合いたいのですがよろしいでしようか。」


再び頷いて同意をあらわす腹黒さん。


「今回、我々の標的となる魔族部隊は獣人軍団の先頭集団、所謂上軍の後方に位置して、そこから黒い霧を上軍の頭越しにエルフ軍に撒いてくるのですよね。」

「その通りだ。」

「その場合に黒い霧を我々の手前で止めるとなると、エルフ軍と対峙する獣人軍団上軍の先頭集団の丁度頭上に来た時に対応するのが良いと思われます。」


おばちゃんの解説に静かに頷く、エルフ軍幹部と旅団員。

特に反対意見はないようだ。

あっ、話に全く付いて行けないキョドっている者、寝ている者、生きているか死んでいるかわからない者は何人かいるけどな。

そんな奴らも静かに座っているため作戦会議の進行には全く問題はないので放置だ。


「ところで、これまでの戦いで獣人軍の上軍はどのような体形を取っているのでしょうか。」


おばちゃんの質問には腹黒さんの隣に座っている、もちろんキョドっている方じゃないエルフ幹部が応えるようだ。


「魔族部隊が援軍に入ってからは連戦連勝で調子に乗っているのか知らんが、このところは上軍兵をある程度横に広げて、そしてそのまま一直線に我々エルフ軍に向かってくるのだ。

我々も包囲され難い様にある程度は横に広がりつつ、中央部の兵を少し厚くしている。

そして、中心を突破され、横に広がった各部隊が孤立しないようにないように周りと連携を保ち、後退しながら戦っている。

問題の魔族部隊は我が軍の布陣で一番厚い部分で、獣人軍の後ろに付いている。

黒い霧で我々の魔法が使えないからな、数的にも物理的な戦闘能力的にも獣人軍に劣っている現状で戦線を崩壊させないためには後退しながら敵の勢いをかわしつつ戦うしかないのだよ。」


おばちゃんはその回答を吟味するように少し考えてから口を開いた。


「何度も言う様で申し訳ないですが、我々の役割は黒い霧を無効化し、魔族部隊を撤退させ、あわよくばその殲滅にあります。

まずは黒い霧を無効化するために風属性魔法と水属性魔法をどの位置から放つか、我々の部隊の布陣が重要になりますね。

黒い霧を無効化することでエルフ軍が十分に風属性魔法を使うことができるようになれれば、数的には劣っているものの復活した魔法戦闘能力の高さで五分以上の戦いに持っていけると言うことですね。

今の敵と味方の布陣の話からすると、一番戦力が厚い敵正面に布陣して、その獣人族部隊の頭越しに水・風属性魔法を黒い霧にぶつけるとなると、我々が魔法を放つ前に獣人部隊に包囲され、逆に殲滅される危険があると言うことですよね。」

「そうなりますね。

そうなると敵の背後に回り込み、後ろから襲い掛かり、黒い霧の消失と魔族部隊の殲滅を目論む方が良いですね。」


腹黒さんがおばちゃんの話に頷いてから、背後からの強襲作戦を口にした。


「背後に回ると今度は中軍と上軍の挟み撃ちにあいますわよ。

特に、水属性魔法は発動者の場所が特定しやすいですから。」


腹黒さんの言葉に今度は姉御が応えた。


「ところで、獣人軍の上軍と中軍はどのくらい離れているのですか。

また、中軍も横に広がった布陣でしょうか。」


おばちゃんが姉御の言葉に続けるように質問を出した。

それに答える腹黒さんの隣の方。

彼はエルフ連隊の参謀役なのであろうか。


「中軍は上軍の後方1km、広がらずに上軍の中央部の後方に固まって待機している。

下軍はさらに後方1kmに布陣しているな。」

「後方1kmですか。

やはり我々が上軍後方にいる魔族部隊をそのさらに後ろから攻撃したのでは、逆に中軍に背後を襲われることになりますね。」

「う~ん、全面も背後もダメ。

そうなると残りは側面ですか。」


おばちゃんの言葉にぼそりと反応した姉御。


「側面と言っても上軍は横に広がっているので、上軍中央後方にいる標的を狙うには敵左右の側面後方、それも後ろにいる中軍からある程度離れたところからということになりますな。」


姉御のつぶやきに乗ってきた参謀らしきエルフ幹部。


"漸く作戦会議らしくなってきたわね。"


旅団で相談したときには正面から攻撃するんだったよな。

エルフ兵を並べて黒い霧に向かって、風属性魔法を発動し、俺がそれを覆うぐらいに広範囲に水属性魔法を発動する。

黒い霧が消失したところで、エルフ軍がニャンコ軍団に反撃。

俺は黒い霧の発生源付近か、わかれば魔族部隊に雷属性魔法をぶっ放して魔族部隊を麻痺させその場に足止めする。

黒い霧を消し去られ、優位性を作り出していた魔族部隊が機能停止に陥った事を思い知らされ、また、エルフ軍の怒涛の反撃を受けたニャンコ軍団は動揺し、雪崩を打って敗走。

その突然に総崩れになって敗走する上軍に巻き込まれるように、中軍と下軍も反撃することなく後退させられる。

そして、麻痺してそのまま戦地に放棄された魔族部隊をこれまでの恨みを込めて、エルフ兵がタコ殴り。

って、いうシナリオだったよな。


"麻痺して動けない標的をタコ殴りまでは想定していなかったと思うけどね。

まぁ、最悪の場合、つまりエルフ軍が全く役に立たない場合にはリュウ君がニャンコ軍団と魔族部隊に広範囲に雷属性魔法をぶち込んで強引に勝利をもぎ取るって話はしたわよね。"


そうだよな。

強引な作戦が一転して、出来るだけエルフ連隊を活躍させるような話をしているような気がするんだけど。


"旅団で話した作戦はエルフ軍が委縮していて余り役に立たない場合を想定していたのよ。

そういう輩には、人類軍に頼っているとはいっても、今回の戦いで出来るだけ成功体験を積ませて自信を持たせたいという前提に立っていたのよね。

実際にエルフ連隊と話をしてみて、真小者連隊長以外はガチにニャンコ軍団と戦うつもりがありそうなのがわかったの。

そうなると始めに話したように、魔族部隊がニャンコ軍団に派遣されてくるたびに旅団が手伝いに来るわけにはいかないから、今回は出来るだけエルフ軍に作戦立案に関わってもらい、そして、共に戦い、勝ってほしいのよね。

今回の作戦で戦い方と自信を身に着ければ、次回は人類軍から水属性魔法術士を必要最低限に派遣するだけで、エルフ軍か自ら作戦立案と指揮を取れるようになると思うんだよね。"


なるほど、だから出来るだけ情報を引き出し整理して、そこから作戦案を立てて、それに対するメリットとデメリットについて会議の参加者全員で検証するようなやり方をしているのか。


"そういうことよ。

とにかく敵を倒せば良いんだったら、開戦と同時にリュウ君に広範囲、それこそ上軍を包み込むように雷属性フィールドを発動してもらって、ニャンコ軍団と魔族部隊の区別なく麻痺させて動けなくして、電撃が収まったらタコ殴りで勝利をもぎ取ればいいんだからね。"


ここまでの成果

魔力回復: 15% + 25%(ボーナス♡) + 20%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 17時間51分

(おばちゃんもいろいろと大変だな。

勝てれば何でも良しという作戦立案じゃなくて、将来を見据えた、それもエルフ軍のためにいろいろ工夫しているんだな。)

(そうなのよ、私の苦労が分かったでしょ。

その苦労に少しでも報いたいと思うなら、今晩は藪で一緒に散歩ね、当然明け方までね。

ねっ、良いでしょ。決まりね♡(おばちゃんターン))

(・・・・・・それだと俺の苦労には誰が報いてくれるんだ・・・・・・)

(あそこで火力バカ共と熟睡している弩スケベ君が藪の中で弩阿保君に報いてくれるわよ、明け方に♥。(腐女帝様ターン))

(今晩の危機に、明け方の危機も発生したのかぁ。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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よろしくお願い致します。


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