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20話目 腹でも痛いのか

「リュウ君、口を開けて。

ご褒美を突っ込んでやるからね。」


おばちゃんはそう言うと、心の友を引きずりながら俺の目の前までたどり着いてしまった。

おばちゃんのご褒美とは心の友の鉄パイプを俺の口に突き刺して、尻から出し、人間焼き鳥にすることなんだ。

何のご褒美だ。

俺にはそっちの趣味はないと言ったよな。


俺は慌てて顔を背けて、口も閉じようとしたが、既に遅かった。

おばちゃんの手が振りかぶって、ブツを俺の口に放り込もうとしているところだった。


「さぁ、喜べ。女神様のご褒美ぞ。ありがたく頂戴しな。」

「ぎゃぁぁぁぁ、あぁ、あっ、・・・・・・・・。」

「リュウ君どう?

演習の後だから体が欲しがっているんじゃないかと思って、こっそりポケットに入れてたの。」


俺は口の中に入ったブツをレロレロした。


「甘い。」

「でしょ。休みの日にとなり町の雑貨屋で見つけたんだ。

活躍したリュウ君には内緒でもう一本追加で入れてあげるね。

口を開けて。」

「あっ、今のが口からなくなってからにして。

そんなに入んないから。」


おばちゃんは俺の口に棒付きの飴を入れてくれたのでした。


「ありがとう。

おばちゃん。飴、美味しいよ。」

「だから、おばちゃんて、言うなぁ。」


とっ、後にしてくれたと頼んだのにもう一個の飴を口に入れられてしまった。

今度は甘酸っぱい奴だ。

味が混じっちゃったよ。


「リュウ君のおかけで、演習で勝てたから、そのお礼よ。」


そう言うと、おばちゃんは少し頬を赤らめて下を向いた。

そして唐突に、けが人の治療に当たっているよちゃんの方に走り去ってしまった。

最後まで頑張っているよっちゃんにも飴をあげるのかな、おばちゃん。

まぁ、言うことを聞かなかった火力バカ共には飴じゃなくて、鉄パイプだろうけど

人間焼き鳥はあいつらだな。

必要だったら俺がまだ残っている転写ファイヤーボールであぶってやってもいいぞ。

転写時にレベルは上げないで、じっくりこんがり、生焼けにならない様にな。


走り去ったおばちゃんの方をぼーとっ見ていると後ろから俺の肩を叩く奴がいた。


「リュウ、やり過ぎ。

演習だとわかっているよな。

ある程度ケガするのはしょうがないが、治癒魔法を使っても立ち上がれない奴らがいるじゃねぇか。」


うげっ、義足の教官だ。


「演習で死人を出すつもりか、えぇっ。」

「いやぁ、本番の戦闘のつもりでやらせていただきました。

彼らにも良い経験になったのではないでしょうか。

それに、途中までは相手が俺らを囲んで袋にしようとしていましたし。」

「おまえなぁ、これが戦闘時でのトラウマになったらどうすんだ。

敵を見たら逃げ出すなんてことになったら、真の肉壁様にすらなれないんだぞ。

ちょっとは反省してもらわないとな。」


「えっ、俺が悪いの。

でも、相手に突撃して、全力で相手を倒せと言ったのはおばちゃんだよ。

俺はその命令に従っただけだよ。」


その時もう一人の影が現れた。


「それではリュウ君とジェンカさんは演習でやり過ぎたと言うことで、反省してもらいましょう。

丁度、良いですしね。」


うぁぁぁ、副業が厳つい自由業の教官に強面の笑顔で反省してもらいましょうか、なんて言われたよ。

あっ、俺は鉱山に売られて行くってこと。

そして、おばちゃんは遠い町のいかがわしい休憩所に年季奉公先を変更ってことか。


"なんで私がいかがわしい休憩所で年季奉公をしなければなんないの。

リュウ君が私の分も鉱山で逝くまで働けばいいんじゃないの。"


聞いてたんだ。


「そうですね、どうしましょうかねぇ。

今回は少し考えが足りなかったと言うことで、今日から3週間、授業が終わってから夕食が始まるまで補習をしてもらいましょうか。」


うげっ、午前中だけでなく夕方も勉強すんの。

それ鉱山で働くよりも重たい罰なんですけど。


"リュウ君にとってはね。

私は別に良いわよ。自分の部屋でやるか教室に残ってやるかの違いだから。"


「それでは罰として、二人には放課後に3週間自習してもらうと言うことでいいでしょうか。」

「教官、それではおばちゃんの罰にはならないと本人が申しておりますだ。

いつもやっていることだからだそうですだ。」


おばちゃんが慌ててこっちに駆け寄ってきた。


「そうですねぇ。ジェンカさんは別のメニューが良いですね。」

「ええっ、そんなぁ。

ポチは余計なことを言うんじゃない。

メッ。」


凄く睨まれちゃったよ。


「ジェンカさんはリュウ君に勉強を教える罰にしましょうか。

しっかりとリュウ君に勉強させてくださいね。」

「えぇぇ、こいつに勉強をさせろって言うの。

わんこに九九を教えるぐらい大変な事なんだけど。」


まぁ、なんだぁ。

楽にこなせる罰なんて面白くないからな。


"おいっ、ポチ。

大人しく勉強するかこれでミンチになるか好きな方を今すぐ選べ。"


はい、喜んで、勉強を教えていただきますだ。


「リュウ、かわいいジェンカと二人きりだからと言って、大人の勉強をしようと押し倒すんじゃないぞ。

そう言うのは休日に隣町のいかがわしい宿でやれ。

学校じゃぁ、押し倒すんじゃねぇぞ、絶対にだ。

バレた時に俺の監督責任が問われるからな。」


えっ、郊外だったら押し倒しても良いの。

それだったら教官の監督責任はないの。

まっ、絶対にそんなことはしないけどな。

べったんこのおばちゃんと何て、ない、ない。


その時、心の友を振りかぶるおばちゃんがいた。

目が激おこだ。

なんでだ。

押し倒さないと言っているのに、激おこなんだ。


心の友が振り下ろされ、足の直ぐ隣に大穴が開いた。


"バーカッ、リュウのエッチ。"


エッチだぁ? 押し倒さないと言ってるのにか?

あっ、ペったんのところに反応したのか。

今更だろ。


"ふん、成長期の女の子をなめんなよ。

エレン教官を超えてから後悔しても遅いんだからな。"


えっ、そんな無謀な事を計画してんの。

それこそタマが九九を覚えるよりも・・・・・・モガモガモガ


今度こそ、心の友を口にねじ込まれた。

しゃべってねぇだろうが。


「その鉄パイプがある限り二人きりにしても問題ないでしょう。

それでは明日の放課後からしっかりと罰を受けてくださいね。

さぼりは許しませんぞ!! 」


顔は強面の微笑みだが、言葉の口調がマジだ。

ほえぇぇぇ、副業が強面の厳つい自由業の教官がマジだ。

さぼったら間違いなく海の孤島にある絶対脱出不可能な鉱山で年季奉公だぁ。


「はい、喜んで、補習をやらせていただきます。

さぼるなんてとんでもない。

ジェンカ教官補佐助手殿、よろしくお願い致しますです。」


俺は直立不動、中指をズボンの縫い目にピタと当てて答え、さらに、おばちゃんの方に腰を90度曲げて頭を下げた。


「リュウ君、マジで勉強しようね。教えてあげるから。」


いやだなぁ、副業が強面の厳つい自由業の教官様様の期待を俺が裏切るわけがないでしょ。


「まぁ、押し倒す件はさておき、リュウはちゃんと勉強すんだぞ。

勉強が終わったら押し倒して良いから、校外だったらこの辺の原っぱでも良いから。」


「そんな、盛りのついたポチやタマじゃあるまいし。

こんな見晴らしの良い場所じゃ、さすがにやりませんよ。

そうだよね、ジェンカ。」


おれはそう言って、同意を得るようにおばちゃんの方を見た。

おばちゃんは、なぜか顔を真っ赤にして下をお向いてしまった。


"この話の流れで急に私の名前を呼ばないで、リュウ君。"


えっ、やっぱ、おばちゃんと言った方が良いの?


"バカッ。"


それっきり、下を向いて黙ってしまった。

全くどうしたというんだ、おばちゃんは。

ぺったんこの矯正のために2週間前に絞った牛乳でも飲んで腹でも痛いのか。



ここまでの成果

魔力回復: 3%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 44時間49分

(おばちゃんが腹を下したので、クールタイムが伸びちゃったぞぉ。

どうしてくれるんだ。

知るかぁぁぁぁ、それに腐った牛乳なんて飲んでねぇわ(おばちゃん談))


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願い致します。


本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。

本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。


"聖戦士のため息シリーズ "

シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。


・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます

・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき

・別伝2 : 優しさの陽だまり

・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから

・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記

・別伝4 : 炎の誓い


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