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21話目 対面

心地よい風が通り抜けていく。

外は夏の強い日の光で熱いはずなのに。

周りの森で空気が多少冷やされたいるためなのか、俺の今いる会議室を通り抜ける風は思ったよりも暑くなく、心地良いぐらいだ。


この心地良い風が俺に第2スキルを発動せよと命じてくる。

レベル6であればバレないはずだ。

少なくとも気の利かない真残念系連隊長には俺が第2スキルを発動しているなんてわからないだろう。


宿舎前に集合した俺たちは別の宿舎が木々の間に立ち並ぶ中を通って、一回り大きな建物に通された。

宿舎と違うのは建物の大きさだけでなく、窓の大きさだ。

風が通りやすいように窓が大きく作られている。

それと3段ベッドやハンモックではなく、テーブルと椅子が用意されていた。


まずはそこで、豆入りパンと豆サラダ、豆スープ、豆腐ステーキ、入り豆の昼食をいただいた。

豆、豆、豆、豆、豆・・・・・・・

がぁ゛っっっっっっ、肉がねえぞ。

俺たちはエルフ族とはちげぇんだ。

野菜じゃぁ、大きくなんないんだよ。

力が出ないんだよ

満足できないんだょ。

やっぱり、俺たち人類の若い軍人には焼肉に米だろうがぁぁぁ。

援軍様ありがとうっていうおもてなしの心がねぇのか、エルフ軍は。


"リュウ君、何度も言うけどもねぇ、もてなすのが真残念系連隊長、小者雑用係長の部下の主任なのよ。

小者隊長の部下なのよ。

期待する方がバカを見るわよ。

しょうがないなぁ、作戦が無事に終わったら粒入りアンパンを買ってあげるから。

とっとと、ニャンコ軍団と魔族部隊を蹴散らすわよ。

まったく、こう暑くっちゃぁ、やってらんないわよ。

早く旅団宿舎に帰りたいわぁ。"


やったぁぁぁぁぁ、作戦がうまくいって旅団基地に帰ったらお小遣いの他に粒入りアンパンもボーナスでもらえんのか。

すごい贅沢だよな。

食後のデザートにアンパンが3個以上も食えるなんて。

アンパンが腹一杯に食べられる。

アンパン・・・・・・、中身はあんこ、あんこは小豆。

がぁぁぁぁぁ、帰ってもやっぱり豆パンかぁぁぁぁぁぁぁ。


豆尽くしの昼食でエルフ軍の援軍に来たことに絶望した。


"その割にはパンは1斤、豆スープは3杯、豆腐ステーキは5枚も食べていたけどね、リュウ君は。"


その代わり、豆サラダと入り豆のおかわりは控えました。


お腹一杯に豆を腹に蓄えた後はいよいよ今回の作戦会議だ。

長方形の木の長いテーブルを挟んで旅団とエルフ軍第2師団第2連隊はここで初めて対峙した。


当然全員がテーブル席につける訳もなく、テーブル席につけたのは幹部級のみのようだ。

旅団側はおばちゃんに、副隊長の姉御、参謀役のグロさん。

それに索敵隊のマスクマンさん。

その他の旅団員は幹部の後ろに椅子を並べて座った。


あっ、お淑やかな大男さんだけは一番後ろ、窓際に立っていて、二人の幼女の子守だ。


それよりも何故だぁ、小者隊長が末席ではあるがテーブル席、ひな壇に交じってるぞぉ。


"残念系隊長同士、雑用係の係長と主任で魅かれ合ったんじゃないの。"


えっ、そうなのか。

エルフ連隊側テーブル席の真ん中に、目をきょどろかせながら確かに真残念系連隊長が座っている。

ちなみに小者隊長の顔は見えないが首を振って落ち着きのないところから見て取ると、何で俺はこんなところに座っているんだろうという動揺感が露わに伝わってきた。


残念系連隊長はまだしも、キョドるぐらいなら小者隊長もそんなひな壇に上るなよ。


これ以上、入室してくる者の気配はないようなので出席者はこれで全員のようだ。


おばちゃんの対面のエルフ側のテーブルには5人ほど並んでいた。

その後ろに10人ほどのエルフ兵が座っている。

その中で女性兵はわずか二人だ。


"もう集まったんなら、話を始めればいいのに。

いつまでキョドってんの真残念系連隊長は。"


念話で俺に愚痴を言ってくるおばちゃん。

真残念系連隊長に何を期待しているんだ、とおばちゃんが言っていたよな。

ここはおばちゃんが仕切って、とっとと話を始めちゃった方が良いんじゃないのか。


"そうねぇ。そうしようか。"


というと、おばちゃんが立ち上がった。


「ひっ。」


突然に目の前でおばちゃんに立ち上がられた真小者連隊長は軽く悲鳴を上げて、椅子ごとひっくり返りそうになっている。

彼も一応はエルフなので凄いイケメンなのにな。

今の姿は毒妻に怯える気弱な真残念系イケメンという感じだ。


"誰が毒妻じゃぁ。

こんなに献身的で控えめで、お淑やかな私を捉まえて。

そうでしょ、リュウ君。

そうだよね。

可愛いお嫁さんだよね。"


後ろに手を回して、ばっちゃの形見の鯉口を切りながら同意を迫ってくるおばちゃん。

背中を見せてるとはいえ絶体に逆らってはいけない状況だ。

答えは全てイエスマムだ。


う、うん、そうかもね・・・・


俺は頷くと、これ以上おばちゃんを刺激しないように、真小者連隊長とは真逆に椅子の上で身を小さく縮めたのだ。


「エルフ第2師団第2連隊の皆さん、初めまして。

私は人類軍第104独立旅団、実戦部隊長のジェンカです。

我が旅団のメンバーはここに居るもので全てです。

ほぼ中隊規模ですので余りの少人数で不安に思われるかもしれませんが、魔族軍の1個大隊ぐらいなら排除可能な精鋭と自負しております。

これから相対する獣人軍団に紛れ込む魔族部隊をどのように叩くかその作戦会議を始めたいと思います。

よろしくお願いしますね、クレト連隊長。」


おばちゃんに突然の言葉に、ますますキョドったようになる真小者連隊長。

いつまでキョドってんの。


その時、キョドり隊長の隣にいた愁眉な男のエルフ兵が立ち上がった。


「ご丁寧な御挨拶をありがとうございます、ジェンカ隊長。

本来なら助けてもらう我々の方から挨拶をするのが筋なんでしょうけど。

この様に我が隊長がただいま"アレ"なもので、代わりに私の方からエルフ軍の出席者を紹介させていただきます。」


アレってなんだ。

ビビり病かぁ?

それって、流行り病なのか?、うつるのか?


"よくわかんないけど、ビビり病が伝染病だとしたらエルフしか発病しない風土病じゃないの。

そんな流行り病があるなんて聞いたことがないけど。

第一この場でキョドっているのは小者隊長とその部下の真小者連隊長だけだから。

まぁ、無理にでも病気に罹っているように言わないと示しというか、キョドっている説明が困難だということだけはわかったわよ。"


これ以上は突っ込まないのが友軍の優しさってやつだな。


"そういうこと。"


「私は第2師団第2連隊の副隊長兼第1大隊長のパキトと言います。

今は"アレ"な連隊長の代理として、今日はエルフ側の代表を務めさせていただきます。


アレで押し通すつもりだな。


"だったら初めから隠しておけばいいのにね。

張り切って第2師団長と一緒に出迎えをしてしまった手前、引っ込めて於くに於けなくなったと言うことね。"


なるほどね。ここはいないものとして扱うことにしようか。

出来れば小者隊長と仲良く会議室の周りの草むしりでもしていてくれれば良いのに、雑用係長と主任なんだから。


"そうね。

まぁ、良いでしょう。

とっとと、この会議を片付けて藪に突入しよ♡。"


俺も外で草むしりしてきて良いか。


"逃がさないわよ、ジュルリ。"


ここまでの成果

魔力回復: 15% + 25%(ボーナス♡) + 20%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 17時間49分

(さぁて、とっとと打ち合わせを終えてリュウ君と藪に突入しよう♡。(おばちゃんターン))

(あぁぁ、俺、草むしりが終わんないから。

小者隊長と真小者連隊長が使えなくて、終わんないから。)

(だったら、エン君にも手伝ってもらったら。

終ったら4人で汗を流しに川に・・・・・・。

絶対に見逃せないわぁぁぁぁぁぁ♥。(腐女帝様ターン))


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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