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13話目 結局はいつもの通りなんじゃないの 後編

「おばちゃんの考えでは、今回の作戦の俺たちの役割はニャンコ軍団上軍の後方に布陣している魔族部隊から発せられた黒い霧を消滅させることだということで良いだよね。」


何かそれって話が元に戻ったような気がするんだけど・・・・・・

俺はそんな気がして、首を傾げた。


「そんなことは無いわよ。

さっきも話し合ったように、初めはニャンコ軍団上軍後方に潜んでいる魔族部隊を殲滅するか本国に撤退してもらおうということだったじゃない。

それから二人でこの件を煮詰めて行って、今回の私たちの勝利条件が黒い霧をエルフ軍と共同で消滅させるってことに落ち着いたわよね。

私たちが黒い霧を払うのは魔族部隊を殲滅するか本国に撤退するかまでではなくて、初戦と多くても2~3戦付き合って、その後はエルフ軍に任せるってことにするのよね。」


あぁっ、確かにそうだった。


「といことで、今回の作戦の目的としては黒い霧を、それもエルフ一個師団を覆うぐらいの広範囲のヤツを吹っ飛ばすということで良いんだよな。」

「そういうことね。」

「そういうことなら簡単だな。

いつものように俺が腐女帝様様から雷属性魔法フィールドかサンダーニードルでも転写してもらって、エルフ軍に迫りくる黒い霧に向かってそれらの魔法を発動すれば、全部とはいかないかもしれないけどエルフ軍がニャンコ軍団を攻撃するのに支障がないぐらいは消せると思うけど。

まぁ、広範囲に転写雷属性魔法を発動すると言うことでごっそり魔力は持っていかれるけど、俺の第一スキルで魔力を補充すれば同じ魔法をもう一回発動するか別の攻撃魔法を広範囲に発動するぐらいは余裕だな。」

「それはそうだと思うんだけど。

出来ればその方法は使いたくないわね。」


えっ、どういうこと? おばちゃん。

それが一番確実だと思うんだけど。

それを使いたくない理由ってなんだ。


俺はおばちゃんの意図を把握できずに再び首を傾げることになった。


「確かにその方法が一番確実に黒い霧を消せるけど、それではあまり意味がないのよね。」

「意味がないって・・・・・・? 」

「これからずっとエルフ軍に私たちが張り付くなら良いわよ。

でも、出来れば2~3回の戦闘で私たち旅団の手伝いがいらなくなるようにしたいのよね。」

「あっ、そうか、そうだった。

俺たちの援軍が終わった後はエルフ軍に黒い霧対策を考えてもらって、俺たち旅団というか、人類軍はあまり手を出さなくて済む様にしたいんだっけか。

人類軍も魔族軍本体との戦いもあるんだし。」


おばちゃんは俺の言葉に軽くうなずく。


「そうすると今回の黒い霧対策としては雷属性魔法を使わない方法で、且つ、出来るだけエルフ兵も関われる方法を考え出さないといけないのかぁ。」

「そういうこと。

雷属性魔法を発動すれば黒い霧、それだけでなくイリーナの特殊な黒い霧にさえ対応が可能だわ。

でも、それでは今回のような事態がまた起こったら、その都度私たち旅団が呼び出されて対応しなければならなくなるのよね。

もし、私たちが別の戦場で釘付けになったりしたら援軍に駆け付けられなくなり、エルフ軍は今回のようにじりじりと戦線を後退させなければならならなくなるわね。

だから、人類軍があるていどは手伝いに出るのは仕方がないにしても、私たちや他の雷属性魔法術士に頼らずに、出来ればエルフ軍だけで対応してほしいのよね。」

「おばちゃん、黒い霧の対応で雷属性魔法に依らないとすると、通常の人類軍は風と水属性魔法で黒い霧を薄めて洗い流すと言う方法を取るよな。

今回もそうなるのかな。」


おばちゃんは嬉しそうに微笑みながら頷いた。


「ポチも漸くわかってきたみたいね。

そうなのよ。

リュウ君の転写雷属性魔法を使えば黒い霧ごときなんてことはないんだけどもね。

エルフ軍に黒い霧の対処をやらせるとなるとね。

エルフ軍には風属性魔法で黒い霧を薄めてもらうつもりよ。」

「んっ、でもエルフ軍には水属性魔法術士はほとんどいないんじゃないのか。

数が足りなくて広範囲に展開された黒い霧を十分に洗い流せないから、エルフ軍は連敗していると思うんだけど。」

「そこんとこは水属性魔法術士は人類軍からその都度に派遣して貰う外はないかな。」


「んっ、でもそれじゃぁ、今後また黒い霧が出た場合にエルフ軍だけで対応してもらおうと言う考えにそぐわないと思うけど。」

「その辺は仕方ないんじゃないのかなぁ。

ない物ねだりはね。

さいわい人類軍には水属性魔法術士であればいっぱいいるし。

雷属性魔法術士のようにこの人でないとだめっていうのじゃないから、水属性魔法術士を数人から十数人規模で派遣することは今後も人類軍としてもそんなに難しくないと思うのよ。」

「なるほどな。

今後、人類軍がエルフ軍を手伝わない、手伝えないって言うんじゃなくて、難なく手伝えるような状況を今回の作戦で構築するってことだな。」

「そうそう。」


しかし、おばちゃん。

何で人類軍はエルフ軍が魔族の派遣部隊に翻弄されている時に水魔法術士を派遣しなかったのかな。

ここ2年ほどイリーナの部隊で人類軍もかなり押し込まれていたと言っても、1個師団分のかなり局地的な話だったよな。

十人ぐらいの水属性魔法術士を派遣できないほど人類軍が切羽詰まっていたとは思えないんだけど。

まぁ、ニャンコ軍団に派遣されてきたのがイリーナのようなかなり特殊な魔族部隊であったなら仕方ないとは思うけどな。


"・・・・・・・・・

ポチ、余計なところに気が付いたわね。"


えっ、そこに触れちゃいけないの。

軍の機密なのか。


"機密と問われればそうかもしれないわね。"


やっぱりそうなのか。


"軍の上層部がこんなことにも気が付かなかったなんてねぇ。

ほんとあり得ないわよねぇ。

そんなことが外部に知れたらねぇ。"


なるほど、軍上層部の無〇ぶりが露呈。

軍全体の士気が駄々下がりかぁ・・・・


"●能な上層部の立てた作戦なんてのに今後は命を張って従おうとは思わないわよね。"


そうだな。

旅団司令官も参謀総長もそういう間の抜けた上層部には見えないんだけどな。


"あぁ、ちなみに参謀本部はイリーナの件でてんやわんやでエルフ軍の件は若手の参謀団に対策案を練らせていたんじゃないの。"


そっかぁ、いきなり振られた若手参謀たちはパニックになって右往左往している間に、イリーナの件が片付いてしまったと。

そして、人類軍の立て直しに道筋をつけた参謀本部の上層部が漸くエルフ軍への援軍について検討を行う余裕が出来たと。

その結果、おばちゃんが独立旅団司令官に呼ばれて次の作戦指令が下されたってことかな。


"多分そんなところじゃないの。"


「そうすると俺たち旅団の役割は、エルフ軍の風属性魔法で薄められた黒い霧を水属性魔法で洗い流すと言うところかな。」


おばちゃんは深く頷く。


「今回の作戦では私たち旅団にはエルフ軍の護衛も付くと思うので、今回水属性魔法をリュウ君に転写するのはリンダちゃんにしてもらうのはどうかなぁ。」

「いつものようにチームの腐女帝様じゃなくてか。」

「魔族軍がいる戦場での絶対王者である雷属性魔法術士のお隠れ様は万が一、ニャンコ軍団に急に盛りが付いて想定以上に大暴れした場合にスタンでまとめて黙らせるために魔力を温存していてほしいかな。

その代わりに水属性魔法術士でもあるリンダちゃんに必要な魔法を転写してもらった方が今後の人類軍の水魔法術士(+ お付きの肉壁ちゃんたち)とエルフ軍の連携を取るための参考にもなると思って。」


水魔法術士とエルフ軍が今後連携を取る参考にするために今回は座敷童帝様を選択したというところがいまいち俺は腑に落ちなかった。


ここまでの成果

魔力回復: 20% + 35%(ボーナス♡) + 5%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 16時間26分

(だんまり帝様を参考にして連携なんか取れんのか。)

(担当の肉壁ちゃんがいつものシャイな土壁チームじゃなくて、リュウ君だからコミュニケーション的には大丈夫よ。(おばちゃんターン))

(私は盛りの付いたニャンコたちを躾ける役だなんて・・・・・・、あっ、盛りの付いた♂ニャンコ兵を弩阿呆君にけしかければいいのか♥(腐女帝様ターン))

(腐女帝様には是非♂ニャンコ兵の御子息様をスタンでふにゃっとして、盛る勢いを止めてほしいと思います。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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