11話目 結局はいつもの通りなんじゃないの 前編
今度の敵はにゃんこ3個軍団かぁ、どうするんだ、おばちゃん。
"う~ん、高い山の頂ばかりを下から見ていて、ため息をついていても仕方ないわね。
まずはその一歩を踏み出さないと。"
どういうこと?
"にゃんこ3個軍団をどうするかということよりも、もう一度私たちの勝利条件を見直して、そこからどのようにして勝利をもぎ取るか考えようか。"
おばちゃんの言いたいことがよくわかんないんだけど。
"これまでのように私たちの旅団だけで事に当たろうとしなくてもいいのよね。
第104独立旅団は旅団本部や参謀本部の承認を得られれば、人類軍をいくらでも私たちの駒として使い放題なのよ。"
あぁっ、そうだった、そんな話だったよな。
旅団には人類軍の招集権、召喚権が与えられていたな。
じゃぁ、にゃんこ3個軍団を殲滅するために人類軍の1個軍団でも召喚してみっかぁ。
これで戦力的には5分か。
"まぁ、それができれば私たちに声が掛からないと思うよ。
各軍団に兵を拠出させて、1個軍団を作り上げてニャンコ軍団に正面からぶつかればいいんだから。
そのような力技じゃなくて、遊撃部隊の私たちを中心戦力として、できるだけ人類の方面軍の派遣を少なくするような作戦を立ててミッションをクリアすることが期待されているんだと思うよ。
さっきは山の全景に圧倒されたような話になって行き詰っちゃったものね。
だから、今度はその頂の一つに確実に到達するためのルートを見定めたいと思うのよ。"
その登頂ルートを探る第一歩として、もう一度勝利条件を確認するということだな。
"その通りよ。"
あっ、他から見ると二人しかいない広い会議室で見つめ合って怪しい雰囲気を醸し出しているような気がするな。
さっきのように掃除のおばちゃんがまた戻ってくるといけないから、念話じゃなく、ちゃんと口に出して作戦を考えようよ。
"ちっ、せっかく良い雰囲気、恋人が目と目で愛を語っているような雰囲気に持って行けたのに、なんてことを言い出すんだポチめぇ。
せっかくの良い雰囲気を壊そうというのかぁ。"
その通りです。
このようなところを掃除のおばちゃんや食堂のおばちゃんにのぞかれたあかつきには、訓練をさぼって密室で二人っきりで見つめ合って、そのまま・・・・・・、なんていう事実に尾ひれが付きまくった噂がお今日の3時のおやつの時間ごろには教会本山どころか門前町の小間使いの小僧にまで広まっているに違いないです。
「でっ、次の作戦の勝利条件の話だったよな。
確かぁ・・・・・・・」
"ぽちぃぃぃぃぃ。
私と噂になるのが嫌なのぉぉぉぉ。"
「エルフ軍第2師団と対峙しているにゃんこ上軍に派遣されてきた魔族1個連隊を殲滅するか、本国に撤退に追い込めばいいんだよな。」
"あくまでも・・・・・"
サボっていないで仕事をしているところを見せないとね。
"しょうがない。
今日の所は見逃してやるかぁ。
ポチ、感謝しろよ。
貸し一つにしといてやるぜぇ。
当然利子は十一だからな。
2倍にして後日返せよ。
絶対だぞ。
じゅるり♡ "
俺の選択は何処かで間違っていたのか・・・・・。
「勝利条件としては先ほどリュウ君が言っていた他にもう一つあるんじゃないかなぁ。」
「魔族部隊の殲滅か撤退以外にもあるのか、おばちゃん。」
おばちゃんはニヤっと笑った。
「魔族部隊の無力化、特に闇属性魔法術士の無力化でも良いんじゃない。」
「そうなのか。」
おばちゃんは俺の言葉にうなずく。
「一度、魔族部隊を無力化して、にゃんこ軍団を徹底的に叩く。
そうすればエルフ第2師団の士気が上がり、戦いに勢いがついて戦線を元に戻すことが出来るんじゃないのかしら。
エルフ軍に勢いが出れば、例え魔族部隊が再びニャンコ軍団を援助してもそう簡単に勢いを消し去ることなんてできないんじゃないのかしら。」
「言い方を変えれば、エルフ第2師団の士気と勢いを上げることで魔族部隊が居ようが居まいが敵対するニャンコ軍団を追い詰めて行こうと言うことか。」
「そう言うこと。
現状のエルフ第2師団は敵に魔族部隊が参戦して負け続けたことで、自信と勢いを失って、ズルズルと戦線を後退させているところだと思うのよ。
もともと1個師団でニャンコ3個軍団と互角に渡り合っていたんだから、エルフ軍の能力は非常に高いと思うの。
今回のミッションはニャンコ3個軍団を殲滅しろというものではないから、ニャンコ軍団の相手は基本的にエルフ軍に担ってほしいと思うのよ。」
そうだよな、俺たちがニャンコ軍団と戦う必要はないんだよな。
「それに参謀本部としてもいつまでも私たちの旅団をエルフ軍に派遣させている訳にも行かないだろうから、今回の経験から次に獣人軍に魔族部隊が派遣されてきた場合の対処法というのもエルフ軍に検討してもらいたいところよね。」
「そうだな。
魔族部隊がニャンコ軍団に派遣されてくるたびに俺たち旅団が援軍を引き連れて戦いに赴くことなんてできないだろうしね。」
「エルフ軍が魔族部隊のあしらい方を取得するには、まずは戦えると言う自信を持たないとね。
ニャンコ軍団から黒い霧が出てきたら逃げの一手という今のようなエルフ軍の状況では、どうしたら魔族軍団をあしらえるかなんて考えは浮かばないからね。」
「今の話からすると、俺たちがエルフ軍に交じった初戦で黒い霧を無力化できるかがまずは大事な点となるよな。」
おばちゃんは深くうなずいた。
「一回勝っただけでエルフ軍に勢いと、魔族部隊のあしらい方を習得できるかは正直確証が持てないけどもね。
2回、3回と勝利が続けばそうなると思うけどな。
それぐらいは私たちも付き合ってあげないとね。」
「おばちゃん、それでもエルフ軍に勢いが付かなかったら、魔族部隊というか黒い霧への対処法を見出せなかったらどうなんだ。」
おばちゃんは急に暗い顔になり、つぶやくようにいう。
「それでもエルフ軍第2師団が凹んだままだったら・・・・・・
魔族部隊がどうのこうのより、エルフ軍自体の問題よね。
私たちはエルフ軍の質を上げる様な使命は受けていないから、そのような状況になったら一度旅団本部に戻ってそれを報告し、その後はどうするかについては旅団司令部、いえ、参謀本部に考えてもらうしかないわね。
まぁ、エルフ軍もそこまで腐ってはいないと思うよ。」
「そっかぁ。
俺たちの役割は黒い霧を無効化することかぁ。」
「魔族部隊を殲滅したり、撤退させるよりはこの方法の方がより現実的だよね。」
「そうするとやはり一番大事なことは初戦でどうやって魔族部隊の黒い霧を無効化するかだな。
確かイリーナのような特殊な黒い霧は使われていない代わりに、かなり広範囲に黒い霧が仕掛けられているということだったよね。
物理攻撃に優れるニャンコ兵の後ろに隠れる魔族部隊を叩く・・・・・、じゃないんだ。
エルフ軍に覆いかぶさってくる黒い霧を排除する・・・・って、いつも人類軍がやっていることだよね。」
おばちゃんは顔を綻ばせる。
「そっ、いつもやっていることを私たちの旅団がより効率的にやれば良いってことなのよ。」
ここまでの成果
魔力回復: 15% + 35%(ボーナス♡) + 5%(ボーナス♥)
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 16時間6分
(結局はいつもやっていることかぁ。)
(まぁ、出来れば私たちの旅団だけで黒い霧に対処することを期待されているってことでしょ(おばちゃんターン))
(何か私だけが働かされそうな悪寒が・・・・・(腐女帝様ターン))
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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