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9話目 6杯目のおかずは何がいいかな

司令官の執務室を辞し、秘書官から次の作戦の資料を受け取り、俺とおばちゃんは旅団の官舎に戻ってきた。

今頃俺たち以外の旅団員は郊外にある軍の訓練場で鍛えていることだろう。

ほとんど人が居ないためあまりもの音のしない静かな廊下を通って俺とおばちゃんは官舎の一階にある会議室に入った。


ここの会議室は第104独立旅団員がすべて入室してもさらにその倍の人数を収容できるほどの余裕のある大きな会議室だ。

そこに二人っきりというのはなんだか寂しい・・・・・

そうではない。

なんだか身の危険を感じるんだけど。

背中がぞわぞわしてきた。


"そんなに緊張しないで。

それともこれから私と二人ですることへの期待が高まりすぎているのかしら。

優しくしてあげるからね。

ほら怖がらないで、手の力を抜いて。

そうそう、そうして私をそっと抱き寄せて、まずはぶっちゅ~~っと。"


やるかぁ。

まだ、勤務中だろうが。

それも自室じゃなくて、こんな会議室で。

いつ人が入ってくるかもしんないんだぞ。


"ちぇっ、ポチの根性なし。

まぁ、良いわ。

これから資料を読んでいけばリュウ君は30秒で第2スキルが自動発動させるだろうし。

あとはゆっくりと、好き放題に。

御子息様は別人格よね。

じゅるり♡、いただきまぁす。"


絶対に第2スキルなんて発動させねぇぞ。


"そんなに気張っちゃって、いつまで我慢できるかしら。

特に御子息様が。

私の網掛けメロンを押し付けたら、どうなるか楽しみね♡。"


舐めてもらっちゃ困るな。

俺にとっては御子息様より、第2スキルよりもっと上位の制御の利かないものがあるんだ。

これが暴走したら御子息様も第2スキルもハッスルすることはできないんだ。


"えっ、そんなポチを制御できるものがあるの。

なんなのそれ。

それを手に入れればポチを好き放題できるってことよね。"


教えてやんない。


"ケチ。"


ぎゅるる


お腹が鳴った。


"あっ、聞かなくてもわかったわ。

お昼が近いもんね。"


うっ、ばれたか。


"ポチ、このアンパンが欲しかったら目をつぶって、グイっと唇を差し出しなさい。"


おばちゃんはどこから出したのかアンパンを俺の目の前にぶら下げた。


うぁぁぁぁぁぁ。

勝手に瞼が閉じて、唇がぁぁぁぁぁぁ。


その時、救世主が現れた。


「ごめんよ、運動会の練習中に。

ちょっと忘れた雑巾を取らせてもらってもいいかい。

あぁ、今年はパン食い競争があるんだね。

リュウ君にぴったりの競技じゃないか。

あぁ、そんなに口をすぼめちゃ、アンパンが入んないよ。

どんぶり飯をいつもかき込むように、おっきな口を開けてばぐっとやらないと。

ちょっと、ジェンカちゃん。

その辺の指導は嫁のあんたがしっかり教えてやらないと。

隣の分まで食べて、一緒に走ったライバルを棄権に追い込むんだろ。

だったら、一番初めにアンパンに食いつけるように走りを鍛えないとね。

あぁ、走りの方は訓練で鍛えているか。

あっ、今日は皆は郊外で訓練だと言ってたけど、あんたたちは行かなくていいのかい。

走りの方よりもアンパンへのかぶり付き方の方が重要だと判断したのかい。

さすがはジェンカちゃんだ。

策略家だねぇ。」


今日の俺の救世主は掃除のおばちゃんだった。

雑巾を取りに来ただけなのにしゃべること、しゃべること。

会議室に入ってから出ていくまでずっと口を開いていたぞ。

まぁ、そのおかげで俺は助かったけどな。


"ちっ、運のいい奴め。

まぁ、リュウ君の嫁と言われちゃ文句も言えないけどね。"


おばちゃんが掃除のおばちゃんに舌打ちして意識が向こうに行っている隙をついて俺は目の前のアンパンに、掃除のおばちゃんの指導に従って、どんぶり飯を一口で食ってしまうぐらいの大口を開けて食いついた。

そして、一発でおばちゃんの手からアンパンを奪取に成功。


口の中にその小さめのアンパンを完全に取り込んだ。

ごっちゃんです。

いつもよりも美味に感じます。



"あっ、勝手に。

ポチィィィィィ。

行儀が悪いわね。

おあずけもできないなんて。"


運動会では咥えたアンパンはそのまま食べてもいいんだよな。

口から出してご主人様に献上する必要はないんだよな。

練習するなら最後まできちんとやらないと。

もぐもぐ。

何かうまいな。

やっぱり、いつも小遣いて買うアンパンよりもはるかにおいしい。

これが勝利の味というものか。


"まぁ、良いわ。

せっかくゲットしたアンパンなんだからしっかりと味わって食べてね。

あっ、先に言っとくけど飲み込んだアンパンの代金として今日の買い食いのお小遣いからその分を引いておくね。"


ええっ、これって確か2個で150バートのアンパンだよな。

俺の一日のお小遣いは1個100バートの普通サイズのアンパンを二つ買える200バート。

25バートは返してくれよ。


"今日のお小遣いはこの2個で150バートのアンパンに決めました。

昼食後に残りの一個を上げるから、それで今日の買い食いのお小遣いは無しということでいいわよね。

約束ではお小遣いはアンパン2個を買えるぐらいってことだったから。

だから、今日のお小遣いは無しなのは当然よね。"


えぇぇぇっ、そんなぁ。

普通の大きさのアンパン2個が買えるぐらいのお小遣いじゃないの。


"毎日アンパン2個を買えるぐらいのお小遣いを渡すって約束だったはずよ。

大きさについては言及していないし。

もちろんアンパンの値段が上がったら、その分お小遣いも上げるわよ。"


そっかぁ、アンパンの値段が上がったらお小遣いも上がるのかぁ。


"・・・・・・アンパンの値段が上がったら、普通のアンパンを買えるお小遣いから小ぶりのアンパンを買えるお小遣いに変更ね。

もしもアンパンの値段が下がったら当然お小遣いも下げることで良いのよね・・・・・"


でも、小ぶりのアンパン2個では腹が膨れないよ。


"お昼のどんぶり飯を5杯から6杯にしたらいいんじゃない。"


5杯目はテーブルの塩を掛けて食ってるけど、6杯目はどうして食らおうか。


"4杯目は私のおかずをもらって食べているのよね。

う~ん、お茶を掛ければ良いんじゃ。

味気なかったら塩も追加で。"


それって、海水を掛けろってことだよな。


"腹が膨れればそれでいいんじゃない。

何なら残りのアンパンをちぎっておかずにするとか。"


食後のアンパンはデザートなので、おかずにはなりません。


「おやつも食べて小腹も落ち着いたでしょ。

お昼までの時間がもったいないので、次の作戦のための資料を確認するわよ。

御子息様がハッスルするのはウエルカムだけど、第2スキルを発動したら残りのアンパンは没収ね。"


えぇぇぇっ、そんなぁ。

さっき食べたのはだだでさえ小ぶりなのに残りの一個を取り上げられたら俺はもちろん、御子息様だってげんなりしちゃうぞ。


"残りのアンパンが欲しければ勝手に第2スキルを発動させないようにすれば良いだけよ。

さっ、早くやるわよ。"


俺の心の叫びなど蚊のなく声に等しいとばかりに完全無視され、おばちゃんは秘書官に渡された資料を袋から出して、テーブルに並べ始めた。


「なるほど、そういう状況になっているんだ。」


おばちゃんは上の方にある書類にさっと目を通すと、一人納得したような言葉を口にした。


ここまでの成果

魔力回復: 10% + 40%(ボーナス♡) + 10%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 16時間41分

(結局、6杯目は海水を掛けて食うしかないのか)

(しょうがない、私が焼肉のたれを持ってきてあげるね、ポチ。(おばちゃんターン))

(できれば焼肉付きでおね。)

("今晩"御子息様だけでもハッスルしてくれるなら骨付きカルビを付けるわよ。)

(・・・・・・・・・)

(弩阿呆君、何なら私がホルモン焼きを進呈するわよ。

それで精を付けた分は弩スケベ君と熱い夜をお願いね♥。(腐女帝様ターン))

(・・・・・・・・・)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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よろしくお願い致します。


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