7話目 次の作戦は残念な盛りの付いた♂ニャンコ兵を操る者を倒すんだよね
「司令官、それはエルフ族の特性と関係があると言うことですか。」
司令官は返事をする代わりに口元を和らげて軽くうなずいた。
えっとぉ、♂エルフは残念な盛りの付いた♂ニャンコ兵の出すフェロモンを嗅ぐと足腰に力が入らず、ふにゃふにゃに(意訳: 特に御子息様が)。
♂エルフはそのままニャンコ兵に首チョン。
フェロモンに反応して逆に興奮状態のエルフ女子兵は、役に立たない♂エルフに舌打ちをしつつ、残念な盛りの付いた♂ニャンコ兵の慰み者へ。
結局、エルフ軍は崩壊という流れで良いんだよな。
"もう、ニャンコ兵のことなんてどうでもいいんだから。
されよりも早くポチが盛りを付けて。
盛りが付くまで黙ってて。"
おばちゃんが切れた。
俺がしつこくニャンコの盛り説に囚われているからか。
それとも盛りが付かないから?
"もちろん、ポチに盛りが付かないからよ。
んっ、自覚があるのか・・・・・。
まずいわね。
今晩、まっぱでポチの布団に潜り込めばさすがに付くでしょ。"
えっ、・・・・・・
「エルフ族は魔法、特に風属性魔法に長けていますよね。
物理攻撃が得意な獣人族との戦いでは、まず風属性魔法の探索で獣人軍よりも先に敵の戦力を掌握。
そして、風属性攻撃魔法か物理攻撃であれば得意の弓で遠距離から獣人軍よりも先に攻撃。
先制攻撃の後はエルフ兵は素早く移動をし、追いすがる獣人軍の戦力を分断し、やはり遠距離から徐々に敵戦力を削るように攻撃をしながら勝利をもぎ取ると聞いています。」
「おばちゃん、それを聞いていると常にエルフ軍は獣人軍を圧倒、既に獣人領はエルフの支配下に入っていても良いように思うんだけど。」
司令官は俺とおばちゃんのやり取りを微笑みながら静かに聞いている。
「確かに局地戦ではエルフ軍の方が優位に戦っているとのことよ。
しかし、エルフ軍が獣人軍を殲滅するには致命的な弱点を抱えているのよ。」
「致命的な弱点って、なんだ。」
おばちゃんは司令官の方を向いて尋ねた。
「司令官、このままリュウ君とやり取りを続けてもいいでしょうか。」
「続けてくれてかまわない。
私の話したい内容に沿っているからね。」
おばちゃんは小さくうなずいた。
「それでは続けますね。
エルフ軍が決定的な圧倒的な勝利を掴めない致命的な欠点とは、軍の規模よ。」
「軍の規模って、兵士の数ってことか。」
「その通り。
それに比較して、獣人族はねぇ。」
"リュウ君が苦手な盛りがしょっちゅう付くってことから、自然と兵士の数も鼠算というか指数的にガンガンとうなぎ上り。"
やはり盛りが関係していたのか。
俺の考えは間違っていなかったんだ。
"いやいや、リュウ君のは盛りが付くことが獣人軍の攻撃理由だったよね。
私のは戦闘能力が高いエルフ軍が決定的な勝利を得られない理由が盛りの付き方の違いと言うことで、大きな違いがあるのよ。"
どっちにせよ、獣人軍とエルフ軍の戦闘にニャンコ兵の盛りが大いに関係しているっていうことは間違いないんだよね。
"まぁ、大きく見ればその通りかもね "
盛りが戦闘結果を左右するなら、年中盛りの付いているエンが最強ってことか。
というと、今度の作戦では盛りの付いたままのフェロモン出しまくりのエンをニャンコ兵のど真ん中に裸単騎特攻させて、♂ニャンコ兵は御子息様がふにゃふにゃ、雌ニャンコ兵は興奮状態にさせといて、ニャンコ軍をまともに戦えなくして初戦をもぎ取れば優位に戦いが進むってことでいいんだよな。
"いまの話が真実だとすれば、今回の作戦ではエン君が秘密兵器ってことなのかなぁ。
そんな作戦で大丈夫なのかなぁ。"
まぁ、エンだし。
ダメ元で試してみたら良いと思う。
「個々の戦闘能力が高いエルフ軍、兵士の圧倒的な数で勝る獣人軍。
どちらも相手を圧倒する手を欠いていたから両種族の戦線は均衡を保っていたと言うことだな。
まぁ、同じことは人類軍と魔族軍にも言えることだが。」
「そんな危うい均衡を保っていた天秤に最近は魔族軍が乗っかってきたと言うことですか。
危うい均衡を保っていたところの一方にわずかな戦力増強が加わることで戦況は大きく傾いたと言うことでしょうか、司令官。」
「そういうことだ。
それもわずかな戦力増加ではないと思う。
確かに派遣されている魔族部隊の戦力は少ないかもしれないがな。
魔族軍の特徴を考えると戦況を一変するようなことが起きたのではないかな。」
おばちゃんは考えこむような表情になり、言葉も念話も途切れた。
「そうですね。
エルフ軍の特徴というか優位性を消し去ったと言うことですか。」
「そういうことだ。」
「えっ、俺にはわかんないよ。
どういうことだ、おばちゃん。」
おばちゃんは俺の方を向くことなく言葉を司令官に返した。
「エルフ軍の風属性魔法による探索と遠距離からの魔法攻撃を新たに参戦した魔族部隊の闇属性魔法術士が発動した黒い霧によって無効にされるか、著しくのその効果を低下させられているということですね。」
「今のところは獣人軍に派遣されてきた魔族部隊は多くないため、一部のエルフ軍の戦線でしか後退はしていないようなのだが。」
「恐らくこれまではテストケースなのではないでしょうか。
これまでの試用で獣人軍と魔族部隊の混成編成がエルフ軍との戦闘に非常に効果的だとわかった。
一方で去年、今年と魔族軍は人類軍に優位に戦いを進めていたために、魔族軍の編成にある程度の余裕が生まれ、そのために獣人軍に魔族部隊を派遣できるという状況だったというところですかね。」
司令官はおばちゃんの返答に満足したように大きくうなずいた。
「参謀本部としても現状をそのように考えている。」
「おばちゃん、エルフ族って魔法に特に風魔法属性に優れているんだよね。
確か魔族の黒い霧は強力な風属性魔法で吹き飛ばせば良いんじゃなかったのか。
エルフ軍が黒い霧で窮地に陥るというのがしっくりこないんだけど。」
司令官はチラッとおばちゃんの方を見て、俺の疑問に答えるように促したように見えた。
「黒い霧を無効にするには雷属性魔法をぶつけることが、ある程度無効にするには風属性魔法で吹き飛ばして薄めたあとに、水属性魔法で地面に落とす必要があるのよ。
風属性魔法で薄めるだけでは十分じゃないってことね。
エルフ族は優秀な風属性魔法術士は多く抱えているけど、戦闘に参加できるほどの水属性魔法術士はほとんどいないと聞いているわ。」
「中隊長の言う通りだ。
君たちと同期のエルフ族の留学生に、通称、雷神と風神が居たね。
雷神は優秀な水属性魔法術士で、二人合わせると雷属性魔法を発動できるそうだな。
水属性魔法術士と風属性魔法術士が居ても二人の発動する魔法をよほどうまくシンクロさせないと雷属性魔法にできないのだがな、通常は。
そういう連携が取れるところは流石に双子と言うところか。
それもどちらも強力な魔法術士であるからこそといったところだな。」
雷神・風神かぁ。
ソンバトの肉壁の穴の演習見学会で初めて見掛けた奴らだよな。
本校ではあまり接点はなかったけど、一二度は演習で対峙したことがあったような気がする。
俺が風神・雷神と言われるエルフの同期生についてふっと思い出していると、おばちゃんが司令官に向かって真剣な表情で口を開いた。
「それで第104独立旅団の次の作戦はエルフ領に行って、そこに紛れ込んでいる魔族部隊を殲滅して来いっていうことでしょうか。」
司令官はおばちゃんの質問に、今日一番満足そうな顔をしながら答えた。
「その通りだ。」
ここまでの成果
魔力回復: 20% + 30%(ボーナス♡) + 10%(ボーナス♥)
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 18時間27分
(次はニャンコ退治だ。)
(そうそう、弩阿呆君と弩スケベ君が密着して、心をシンクロさせて出すフェロモンで♂ニャンコをグニャグニャに、♀ニャンコ兵をメロメロにするんだぞ♥。(腐女帝様ターン))
(だからぁ、二人とも盛りから頭を放せって、何度言ったら。(おばちゃんターン))
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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