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18話目 逝っちゃった・・・・・

仕方ねぇ、最後は俺がど~んと〆てやりますか。


「おぉっ、火力バカ共がやったぞぉ。

敵の肉壁、5体を粉砕したぞ。

今、相手の魔法術士が肉壁たちの背中についた火を突風か何かの風で一気に消火している。

ありゃ、戦線復帰は無理だな。」


「相手はうちの火力バカ共の魔法を防げなかったのかしら。」おばちゃん

「まぁ、あいつら魔法を連発していたからな。

後先考えず、全魔力を余すことなく使って、集中放火したんじゃないのか。

あっ、火力バカ共が後退して来る。」

「それって、魔力を使い果たしたってことじゃないの。

もう、ただの紙様か本物の肉壁になり果てたってことでしょ。

まぁ、予定通りだけど。」


「あっ、相手の土属性魔法で足を地面に埋められて、動けなくなったぞ。

どうする、助けるか。」

「助けても、この後はもう役に立たないでしょ、紙様なんだし。

それに私の指示を無視して、喜々として肉壁ちゃんとして突撃したんだから、ここは最後まで肉壁ちゃんとしての役割、相手の魔法の的になってもらいましょう。

多少の時間稼ぎぐらいには役に立つはずよ。」


「おばちゃん、あいつらを助けないのか。」

「助けたいけど、この状況では役立たずを助けるためのリスクが大きすぎるわ。

それにさっきも言ったけど、助けてここまで回収するよりもあそこで真の肉壁に昇格させた方がまだ役に立つわよ。

紙様なんて的以外に何か役に立つの? 」

「まぁ、そうだな。俺はおばちゃんが正しいと思うよ。」

「あいつらを肉壁に使うとしたら、今のところ勝敗は5分ということだな。

共に5つの肉壁を失っているな。」


エン、お前の中じゃあの火力バカ共はもう逝っちゃったことになってんだ。


"時間の問題よ。

ある程度は悪い方に考えて次の作戦を考えないとね。"


おばちゃんは再びエンの方を向き、指示を出した。


「スケベはこのままウォターニードルを打ち続けて、相手の邪魔をお願い。

敵に動きがあったら教えて。」

「わかった。

できればスケベじゃなくて、名前で呼んでよ。」

「そうだぞ、ちゃんと助平君と呼んでやれよ、おばちゃん。」


「「「「・・・・・・・・・・」」」」



お淑やかな大男様以外、引きつった顔をして俺の方を見ていた。


「えっと、みんなこの弩阿呆は無視していいから。

後でちゃんと私が体に教え込んでおくから。

頭はもう手遅れだから。

ということで、今は演習に集中しましょう。」


火力バカ共がやらかしてくれたのと、助平君のウォターニードルの妨害で相手から飛んでくる魔法は半分ぐらいに減った。

そのため、優秀な魔法防御の壁役を二人も抱える俺たちの中隊、火力バカ共が殉職したのでもう小隊か、には相手の魔法攻撃の影響はなくなってきた。


再度、おばちゃんが俺の方を見た。

目が血走って、怖いです。

そんな目をしながら俺の方に愛用の鉄パイプを向けるのは止めてください。

敵からは魔法攻撃、味方からは物理攻撃なんて、とても防ぎ切れません。


「さぁ、ウダウダしていないでリュウ君も働きなさい。

本当はこんな弩阿呆はとっとと相手に突っ込んでもらって、お荷物を軽くするはずだったのに、火力バカ共のせいで予定が狂ったわよ。

弩阿呆はすぐに調子に乗るおサルさんだから、こんな重要な役割を本当に任せたくはなかったんだけど、ここに至っては仕方ないわね。」


俺って、おサルさんなの。バナナは好きだよ、確かに。


"どちらかというとおサルさんにくっついているノミかなぁ、脳みその大きさ的には。

霊長類に謝れ、リュウ君。"


「おサルさん、良く聞きなさい。

ちゃんとできたらクッキーを1枚かげるから。」

「ジャンカちゃん、おサルさんを餌付けすんのか。

構わないけど、野生動物を餌付けしたら最後まで面倒見ろって幼稚園の先生が言ってたぞ。

そいつの食費は半端ねぇぞ。」

「大丈夫だよ、ボルバーナちゃん。

食堂の裏のゴミ箱の横で飼うから。」

「俺たちの残飯をあげるのか。

人様が食べたものをこいつに下げるなんてもったいなくねぇか。」


できれば肉を多めで残して下さませ。


「リュウ君、良く聞きなさい。返事は。」

「わん!!」

「よしよし、ポチになった方が素直ね。」

「桃太郎がよっちゃん、サルがエン、犬がおれ、キジがしいちゃん。

そして、鬼ヶ島の鬼婆がおばちゃんで、小鬼が幼女ということか。

特に鬼婆なんてはまり役すぎねぇか。」


"おい、弩阿呆、今日の夕日を見られると思うなよ。"


「ポチ、良く聞きなさい。今からしいちゃんにファイヤーアロー・レベル2を転写しもらいます。

それをレベル3まで上げて、お前が魔力切れで倒れるまで相手に打ち込み続けなさい。わかったわね。」

「ジャンカ、相手は俺の単調な攻撃しかないとみて、散会し始めたぞ。」

「助平君、ポチに相手のいる場所を教えてあげて。

ポチはその範囲すべてに魔法をまんべんなく打ち込んで。」

「ジャンカ、端から端まで100m以上離れてんだぞ。

いくら低レベルの魔法と言ってもその範囲にばらまいたら、あっという間にリュウの魔力が尽きるぞ。

下手すりゃ、魔力切れを起こして倒れるぞ。」

「いいのいいの、ポチは使い捨てだから。」

「ジャンカちゃん、餌付けして飼うんじゃなかったの。」

「ポチを飼う話はなかったはずよ。

ポチには気まぐれで餌をあげたって感じかなぁ。」


それって、俺がもてあそばれたってこと。

俺の真心を返せェ。


「先輩方、そろそろ決着をつけないと。演習時間が終わりますよ。

まぁ、このままだと引き分けですね。

私たちは良いですけど、何にもしなかったリュウ先輩は0点、中途半端な指揮しか取れなかったジェンカ先輩は10点ぐらいですよ。

演習に追試はないようですから二人とも肉壁ちゃんとしては落第。

優秀なジェンカ先輩は紙様として後方支援の道が残されますが、リュウ先輩の頭じゃ後方支援は無理ですよね。

本当にポチになっちゃいますよ。」

「よっちゃん、寮で飼っているポチの方がはるかに優秀だぜ。

こいつの脳みそはノミ並みだって、さっきジャンカちゃんが言ってたよな。」


それを聞いたおばちゃんは青ざめた顔になった。


「ちょっと待ってみんなぁ。

私が落第・・・・・。中途半端な指揮で・・・・・。

うん、わかった。私、今やるべきことを思い出した。

ポチ、私の言うことをすぐに実行しなさい。

しいちゃんからファイヤーシールド・レベル3を転写してもらい、ポチはそれをレベル6まで上げて、自分の体に転写魔法を発動。

火だるまになって、敵に突撃しなさい。

敵が降参するのが早いか、ポチが燃え尽きるのが早いかの競争よ。

ポチならできる、きっとできる。

さっ、やるわよ。

しいちゃん、魔法の転写を。」


今度はしいちゃんが青ざめた。


「本当にそのぉ、ポチ火だるま作戦を実行するんですか。

ポチが丸焼けになる方が早いと思うんですけど。」

「いいのいいの。敵をやっつけて、且つ、ポチを亡き者にするにはこれが一番良いの。

さっ、ととっとやるわよ。」


しいちゃんは迷いながらも鬼気迫る形相のおばちゃん、まさに鬼婆と化したおばちゃんに逆らえるはずもなく、素直に俺のショートソードに魔法を転写してきた。

そして、俺の方に近づき、そっと耳元で囁いた。


「武士の情けです。ファイヤーボール・レベル3を転写しました。

これを振りまきながら敵に突撃してください。

高密度ならファイヤーシールドを纏っているように見えると思います。」


おぉっ、マジ俺の天使。しいちゃん。

鬼婆にもっとむごい指令を与えられる前に敵に突撃します。

初めからそうしていれば良かった。


俺は俺の周囲にファイヤーボール・レベル6をいくつか出現させ、ファイヤーシールドのように運用しながら、魔法防御の範囲から出て、対戦相手のいる方に突撃を開始した。


熱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、燃えるぅぅぅぅぅぅ。

ファイヤーシールドと変わんねぇぞ、これ。

俺はそのまま炎の中に埋もれた。



ここまでの成果

魔力回復: 0%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: --時間--分

(逝っちゃった・・・・・・。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願い致します。


本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。

本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。


"聖戦士のため息シリーズ "

シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。


・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます

・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき

・別伝2 : 優しさの陽だまり

・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから

・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記

・別伝4 : 炎の誓い


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