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3話目 俺の知らない間に暴れまわっているのか

機嫌が直ったおばちゃんに手を引かれて、俺はトボトボとお日様が降り注ぐ道を歩いて行く。

先ほどまでとは逆の状況、どうしてこうなったぁ。


"ほらぁ、リュウ君、急いでよ。

旅団司令官を待たせちゃまずいでしょ。

とっとと用事を、そうねぇ10分で終わらせて、その後20分で官舎に帰宅。

食堂で朝の残り物をお昼の弁当として詰めてもらって。

出来るだけ脂っこいものがもちろん良いわよね。

その間にシャワーを浴びてと。

そして、弁当を持って、私の部屋で明日の朝まで「今晩」に突入ね。"


そんな真昼間から"今晩"というのは、如何なものなんでしょうか。


"大丈夫、厚手の濃い色のカーテンを買ったからそれを閉めればかなり暗くなるし。

そして、二人で布団を被れば、あ~ら不思議、真夜中の出来上がり。

雰囲気としても完璧な「今晩」を演出できるのよ。

わかったかなぁ、ポチ。"


ドンドン足が重くなるんですけど。


"とっとと行くわよ、ポチ。"


おばちゃんは俺の手を放したと思ったら今度は直ぐに俺の首の襟を掴んで、先を急がせようとする。


「とっ、ところでどうしておばちゃんだけが旅団司令官に呼ばれたのかな。

ちなみに俺は呼ばれていないよね。」


このままおばちゃんのなすがままに付いて行ったらドンドン今晩への道を転げ落ちて行きそうで、俺は再々度旅団司令官に呼び出された理由を問うことにした。

おばちゃんは俺の襟首から手を離して、考え込む風にして答えた。


「う~ん、作戦の伝達だったらやっぱり全員を会議室に呼ぶと思うのよね。

うちの部隊って全部でたった4個小隊でしょ。旅団の会議室の半分も埋まらないのよね。」

「じゃぁ、他の独立旅団との合同作戦とか。

イリーナたちは第103独立旅団に引き渡されてからはいろいろ尋問されているんだよな。

そこから何か有益な情報が上がって来て、次の作戦は2個旅団合同で行うことになったんじゃないのか。

第103独立旅団の方はあまり人に顔を見られたくないので、中隊長のおばちゃんだけ呼んで出来るだけ少人数で今回の任務の指示を受けるんじゃないのか。」


俺の言葉におばちゃんはさらに考え込むようなポーズを取った。


「イリーナの情報がらみかぁ。

確か自称魔族社会の公家のお嬢様だったわね、彼女。

リュウ君の説が正しければ魔族の支配層のきな臭い噂を第103独立旅団が得た。

それを使って人類軍が優位に立つためにいろいろ工作をしようということになり、その工作の実戦部隊に私たち第104独立旅団が選ばれて、出撃・・・・・・。」


「「ないな。」」


二人でハモった。その上、一緒に頷いた。


"これぞ似たもの夫婦って奴ね。

と言うことはリュウ君も「今晩」をもすごく楽しみにしているってことね♡。"


なんで魔族の支配層のきな臭い噂から俺が"今晩"を楽しみにしていると話につながるんだ。


"そのきな臭い噂と言うのが魔族の支配層の乱れた男女関係なのよ、きっと。"


魔族の支配層の乱れた男女関係を利用していろいろ工作し、魔族軍を弱体化させるのが次の俺たちの任務・・・・・


無いな・・・・。

"ないわね。"


「まず一端、イリーナと第103独立旅団がらみの線から話を外さないと訳が分かんなくなりそうだよ。

第103独立旅団絡みの作戦でなくて、おばちゃんだけ旅団司令に呼ばれるってどんな要件なんだろうな。」

「作戦を受けとるなら少なくても姉御も一緒に呼んでもらわないとね。

私ひとりじゃ、聞き洩らしや勘違いがあるかもしれないし。

まぁ、今回はリュウ君が側にいるから・・・・・・・

ははははっ、姉御がいないとだめね。」


おばちゃんがそうつぶやきながら力なく笑った。

俺と二人じゃ、作戦指示を受けるのが不安だって言うのか・・・・・・

まぁ、否定はしない。むしろ、全面的に肯定しよう。

第一に次の作戦内容なんて話を聞かされたら、10秒後には間違いなく俺の必殺スキル、第2スキルの方が発動するな。

気が付いたら官舎に戻っていて食堂で昼飯を受け取るためのトレーを持ってましたとなるな。

その間はずっと立って寝てましたと言うことになりかねん。


「姉御が呼ばれていないとすると次の作戦の指示を下される線もなさそうね。」


2人で道を歩きながら首をひねる。


「作戦の指示が下されるんじゃないとするとなにか相談事かなぁ。

作戦概要だけを伝えられて、具体的な作戦内容は旅団の宿舎に帰って、時々"今晩"を挟みながら、宿舎の会議室で具体的な作戦を旅団メンバー皆で立案。

まぁ、作戦を立案する間はリュウ君は次の"今晩"に備えて栄養補給と睡眠ね。」


何で作戦会議の途中で"今晩"を挟まなきゃなんないんだ。

"今晩"はいらんだろ。

早く作戦を立案すべきだろ。


"リュウ君は作戦会議の間はどうせ暇で第2スキル発動で爆睡でしょ。

作戦会議に参加してないよね。

だったら、作戦立案で疲れた私を癒すために「今晩」を盛り上げるのは夫としてのリュウ君の義務よね。

家事は夫婦で分担しなきゃね、幸せな結婚生活を維持するためには。"


えっと、いろいろ突っ込みどころが満載な念話だったので、すべて聞こえなかったことに致しますです、はい。


「そうかぁ、次の作戦の相談かぁ。

それならおばちゃんだけ旅団司令官に招集されるのはわかるな。

んっ、きっとそうだ。

それを持ち帰って、作戦立案が終わるまで宿舎の会議室に皆で缶詰だな。

休憩もなしだよ。

重要な、きっと人類軍の将来に関わる重要な作戦だから早く作業を終らせないといけないはずだ。

前回の第27師団の案件のように。

よし、俺も頑張って第2スキルを発動しないように必死に自分を制御するぞ。

期待してくれおばちゃん。

あっ、御子息様だけは第2スキルを発動させておくからな。

"今晩"なんて余計な仕事をおばちゃんにさせないように、爆睡させておきますね。」


"ポチのいけずぅ、素直に野生に還りなよ。

第一に御子息様をそう簡単に制御できるのなら、誰も前かがみになんてならないわよね。

男の子が所かまわず前かがみになるのは自分の分身の御子息様の躾が成ってないからなのよね。"


くぅぅぅぅっ、痛いところを突いて来たな、おばちゃん。


"さぁ、私の網掛けメロンを見て触って元気におなりなさい、御子息様。

たっぷりとかわいがってあげるからね♡、今晩も明晩も。"


俺の御子息様をまずは手懐けるつもりだな。

そうはいくか。


俺が鉄の意志でご子息様を制御しようと心に決めていると、おばちゃんが俺の腕を取って網掛けメロンをぷにょ~ンと押し付けてきた。

途端に元気になる御子息様。

俺の鉄の意志をこんにゃくにするおばちゃんの網掛けメロン。


"御子息様のように、素直になんなよ、ポチ。

御子息様は直ぐにでも「今晩」に突入する気満々よ。

ポチも早く野生に還ってよ。"


そうきたかぁ。

あっ、そろそろ軍の総司令部に着ききそうだよ。

ちょっと前かがみのままじゃ、旅団司令部に入れないんだけど。


"ちっ、運のいい奴め。

まぁ、今は腕を放してあげるけど、帰りは覚悟しておきな。

官舎に戻った頃にはまだ誰も訓練から戻って来ていないと思うから、その場で御子息様を暴れさせてやるからね♡、じゅるり。"


ここまでの成果

魔力回復: 5% + 40%(ボーナス♡) + 15%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 21時間32分

(あぁなんだぁ、帰りは第2スキルが爆動して、御子息様共々暴れることはないな。)

(リュウ君は知らないかもしれないけど、御子息様は別人格よ。

リュウ君に第2スキルが発動中でもご子息様は元気に暴れまわっているってことを知っている? (おばちゃんターン))

(えっ、そうなの。)

(ヒント、朝寝ている時。ぷぷぷっ♡(おばちゃんターン))

(あぁぁぁぁぁ、確かにぃぃぃぃぃ。)

(弩阿呆君。それって、ジェンカちゃんじゃなくても元気になるってことよね。

つまり、朝ならエン君でも・・・・・♥(腐女帝様ターン))

(御子息様、ちょっとはご自重してください。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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